◇3月11日 ニッパツ三ツ沢球技場 7,026人
 横浜FC 0−0 愛媛FC
 シュート16本で無得点。決定力不足に泣き、愛媛は開幕節に続く勝ち点3を逃した。だが、試合後のイヴィッツア・バルバリッチ監督は「選手のパフォーマンスには満足している。ボールをしっかり奪って、前への早いつなぎができた」と一定の評価を下した。

 確かに内容は横浜を上回っていた。相手がボールを持てば、素早く体を寄せて奪う。そして空いたスペースへボールを供給する。両サイドバックのアライール、内田健太が高い位置でプレーし、そのケアをボランチが務める。指揮官がかねてから求めてきたサッカーを体現できている。

 前半は立ち上がりから司令塔トミッチの縦パスにFW有田光希が抜け出し、チャンスを演出。左サイドハーフの前野貴徳が何度もクロスを放り込むなど、完全な愛媛ペースだった。劣勢の横浜はミスも目立ち、前半24分には自陣でパスをカットされ、シュートまで持ち込まれた。ただ、愛媛も31分、39分とたてつづけに有田がシュートを放つが、ゴールには至らない。

 後半に入っても愛媛は決定機をつくる。4分には有田のポストプレーからトミッチが左サイドの前野にボールを渡すが、シュートはゴールキーパー正面。14分には右サイドから大山がアーリークロスを送ったものの、フリーで受けた内田が左足で振りぬいたボールはバーの上に消えた。

 ここまで点が獲れないと、さすがに流れは横浜に移る。「ワンタッチで背後をとるよう指示を出した」と横浜・岸野靖之監督がが語ったように、前線へシンプルにボールを入れられ、守勢の時間帯が増えてくる。後半40分には途中出場のFW田原豊にゴール前でクロスを合わせられるピンチ。これは枠を外れ、救われた。

「クロスへの対処はできていた。(自陣での)競り合いには勝てていた。守備に関してはやりたいことができたと思う」
 新加入のボランチ村上巧は2試合連続無失点の結果を前向きにとらえた。守りは安定しているだけに課題はフィニッシュの精度だ。若い選手も多いせいか、ゴール前でのプレーに硬さが見られる。7本のシュートを放ちながら、得点につなげられなかった有田は「自分の力不足」と唇をかんだ。

 バルバリッチ監督は「今のサッカーを続けていけば点は獲れる」と悲観していない。キャプテンの前野も「誰かが点を獲れば、変わると思う」と話す。次節(17日)はJ1から降格したヴァンフォーレ甲府戦。2012年の愛媛スタイルがどこまで通用し、得点につなげられるのか。今季を占う試金石の一戦となりそうだ。

<両チームメンバー>
愛媛FC
GK 37 秋元陽太
DF  5 アライール
   22 園田拓也
    2 浦田延尚
    8 内田健太
MF  3 トミッチ
   26 村上巧
   17 大山俊輔 
    7 前野貴徳 
FW  9 有田光希 → 15 久場光(89分)
   23 小笠原侑生 → 11 石井謙伍(67分)

横浜FC
GK 31 関憲太郎
DF 32 杉山新
   20 渡邊将基
    4 ペ・スンジン
    2 阿部巧
MF  3 ホベルト → 13 野崎陽介(67分)
    5 八角剛史
    7 内田智也
    6 高地系治 → 8 佐藤謙介(89分)
FW  9 難波宏明
   39 大久保哲哉 → 34 田原豊(73分)