桜が満開を迎えるこの季節。今年も女の闘いの幕が切って落とされた。
3月末、愛媛FCレディースが参戦している「2016プレナスなでしこリーグ2部」が開幕した。
第3節終了時点で1勝2引き分け(勝ち点5)と、まずまずの滑り出しを見せている愛媛FCレディース。ホームゲームでの今季初勝利を、早く愛媛サポーターへと届けて欲しい。
4月16日(土)、2016プレナスなでしこリーグ2部の第4節となる愛媛FCレディース対セレッソ大阪堺レディースの一戦が、愛媛県総合運動公園球技場にて行われた。
(写真:4月16日の試合前、ピッチ内練習を行う愛媛FCレディース)
この日、晴天に恵まれた運動公園には、大勢の来園客が詰め掛けており、愛媛FCレディースをアピールするには、絶好のチャンスとも言える。是非とも素晴らしい試合を魅せて、新規のファンを獲得して欲しい。
時刻は午後1時を過ぎ、穏やかな日差しが降り注ぐ中、愛媛のキックオフで試合がスタートした。
立ち上がり、愛媛は自陣のサイドスペースを相手に衝かれ、ピンチを迎える。それでもGK中村沙樹選手を中心に踏ん張りを見せる守備陣。相手に得点は許さない。
開始15分を過ぎる頃には、落ち着いてボールをキープし始める愛媛。
すると前半22分、敵陣左サイドのMF西川早弓選手から、中央を駆け上がるMF春山沙織選手へとパスが通る。そのままペナルティアークへとボールを持ち込む春山選手が左足でシュートを放つ。ボールは敵DFに当たり、ゴール前へとこぼれ出た。このルーズボールに素早く反応したのがFW阿久根真奈選手だ。右足を伸ばし、スライディングキックで浮かせ気味にシュートを放つと、ボールはGKの頭上を擦り抜け、見事ゴールイン!
スタンドから大歓声が沸き起こる。チームメイトと抱き合い喜びを表現する阿久根選手。
「スウィーギン スウィンギン愛媛 フォーエヴァー!」
サポーターも歓喜の大合唱だ。
前半は、スコアを1-0で愛媛がリードして終了した。
後半に入り、愛媛はDFラインを押し上げ、高い位置でのボールキープを試みる。しかし、一瞬の隙を衝かれてしまった。
後半8分、相手によるカウンターからの2次攻撃で、ミドルシュートを決められ、同点に追い着かれてしまったのだ。
勝ち越しに向けて、ロングフィードやサイドのスペースを活かした攻撃等を繰り出す愛媛。何度か決定機を創り出すものの、得点には結び付かず、イライラした展開が続く。
そんな中、終盤に大きな流れが押し寄せる。
後半41分、自陣左サイドでパスを受けたMF大矢歩選手が、そのまま同サイドをドリブルで突破し、敵陣の深くまでボールを運ぶ。これには、相手DFも後方からのタックルでしか止められず、ファウルと判定される。愛媛が好位置からのフリーキックのチャンスを得た。
後半42分、キッカーはファウルを受けた大矢選手。短めの助走から、敵ゴール前へ向けて低い弾道のセンタリングを供給する。このボールを捉えたのはFW上野真実選手だ。タイミングを合わせ、半身の構えから左足を振り抜きボレーシュートを放った。GKも反応を見せるが、時すでに遅しだった。ボールは敵ゴールマウス右隅へと突き刺さった! 見事なダイレクトボレー。素晴らしいゴールだ!
再び歓喜に包まれるスタンド。チームメイトやベンチスタッフとハイタッチを繰り返し、喜びを爆発させる上野選手! サポーターによる上野選手を称えるチャントが鳴り止まない。
1点リードのまま、時計は進み、アディショナルタイムへと突入間近。誰もが「この試合は、もらった!」と感じ始めた時に、悲劇の瞬間は訪れた。
後半アディショナルタイム、相手によるサイドチェンジから自陣右サイドの守備を崩される。サイドからのクロスを合わされ、同点ゴールを献上してしまったのである。
「あまりにも痛い失点……」
その後、反撃を試みるも無情にも時間は過ぎ去り、スコアは2-2のままタイムアップ。結局、両チームが勝ち点1を分け合う試合となった。
試合後、悔しさが溢れる表情で、サポーターの前まで挨拶に来てくれた愛媛の選手達。目標の1部昇格を成し遂げるには、今節のような接戦をモノにしなければならない。そのことを選手達も充分に理解していると思う。
今シーズン、未だに(第4節終了時点)ホームゲームでの勝利が無い愛媛FCレディース。次こそは、大勢のサポーターの前で勝利して、リーグ戦での良い流れを掴んでもらいたい。
<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja
Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
◎バックナンバーはこちらから