みなさん、こんにちは。

 きょうはみなさんへ、大切なご報告がございます。既にご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、私、福田健二は2015~2016シーズンをもって、現役を引退することになりました。

 

 1996年に名古屋グランパスに入団してから、はや20年。日本のみならず、パラグアイ、メキシコ、スペイン、ギリシャと世界のあちこちでプレーさせていただき、そして香港にやってきて約3年半。本当は愛媛FCで現役を終える覚悟でいましたが、自分に納得がいかなくて香港にやってきました。

 

 現役を10年続けたとき「あと10年できたら」という思いもありました。段々とその20年が近づくにつれ、極端なことを言ってしまうと、「この日が現役最後の日だったらどうする?」と自分に問いかけながら、悔いなく毎日を過ごしてきたつもりです。やり切ったと思うし、悔いはありません。納得して現役生活を終えることができました。いろんな方々にサポートしていただき、大好きな香港で引退できることを僕は誇りに思います。

 

 ラストゲームとなったのが最終節のアウェー、Yuen Long戦(5月7日)です。勝利すればプレーオフ出場の可能性があるなかで、残念ながら1-2で敗れました。僕は90分フル出場しましたが、ゴールを挙げることはできませんでした。

 

 暑いなかでの試合で、自分のパフォーマンスも良くありませんでした。逆に「やっぱり辞めどきだな」と踏ん切りもつきました(笑)。自分を応援してくれた方々、支えてくれた方々に感謝の意を伝える意味でも、「プレーで示したい、頑張りを見せたい」と意気込んで試合に臨んだのですが……。これも自分の実力なのでしょう。

 

 Yuen Longのホームスタジアムまで日本人の応援団が200人も来てくれました。とてもとても嬉しかったです。

 

 試合が終わってスタンドから声援をいただくと、自然と熱いものがこみ上げてきました。泣くつもりなんてサラサラなかったんですけど抑えられませんでした。チームメイトが胴上げしてくれたのですが、聞いていなかったのでびっくりするとともに感動しました。

 

 この1年、選手兼コーチとしてドリームメトロギャラリーの一員でプレーできたことを本当に誇りに思います。コーチと言っても、若い選手たちに何かを教えたという感覚はありません。チームに問題や課題が生じたら、ともに共有してともに乗り越えていった感じです。試合の1週間前、チームメイトに引退することを告げて、感謝の言葉も伝えました。

 

 年齢を重ねると、どうしても体の回復が遅くなります。チームメイトは若い選手ばかりなので、僕は「負けたくない」と思って強がってやってきました。疲れているところは、やっぱり見せたくないですからね。そんな僕のことを彼らはリスペクトしてくれていました。僕も選手一人ひとりと大切に接してきたつもりです。心と心がつながって、プレーできていたという自負があります。本当に最高の仲間たちでした。

 

 そして僕を支えてくれた家族にも感謝しなければなりません。

 妻と3人の娘たち。

 いつも試合には応援に駆けつけてくれて僕の背中を押してくれる存在でした。最後の試合が終わった後、家族から花束を受け取ると、また熱いものがこみ上げてきました。

 

 でも最後は笑いました。家族5人でピッチのうえで笑いました。最後は気持ち良く笑顔で終わりたいというのがありましたから。さわやかにピッチを去ることができたのも、家族のおかげだと思っています。

 

 この20年、振り返ってみるとあっという間でした。途中、サッカーに対する情熱が消えそうになった時期も正直ありましたが、それを含めても僕にとってはかけがえのない時間でした。

 

 今後は日本に戻って、また違った形でサッカーに関わっていきたいと考えています。僕の経験を次の世代に活かしてもらいたいという気持ちはありますし、いずれ僕みたいな選手が僕の目の前に現れたとき、いいアドバイスができればいいなという思いがあります。

 

 そしてこの20年で得た一番の財産は出逢いです。世界中に仲間ができましたし、引退の際もあちこちからメッセージをいただきました。いずれ世界にいる仲間たちとも、サッカーの世界で関われたらいいですよね。

 

 次のチャレンジはもう始まっています。勉強して、しっかりと準備していきたいと考えています。


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