昨日、香川オリーブガイナーズは高知ファイティングドッグスとの最終戦を終えて、前期3位に決まりました。前期の優勝は愛媛マンダリンパイレーツです。残念ながらガイナーズは、4月は­投打ともになかなか噛み合いませんでした。序盤に結果を残せなかったことが前期の優勝争いに絡めなかった原因でしょう。

 

 ­どこのチームにも言えることですが、アイランドリーグは選手の入れ替わりが多いので、チームの戦い方を確立するまでに時間がかかります。とくに今季のガイナーズは、ベテランが抜けて新入団選手や若手が非常に多くなりました。そういうチーム状況の中、4月は失点が目立ち、先発陣になかなか勝ち星がつきませんでした。

 

 とはいっても、徐々に戦い方が確立され、5月に入ってからはチームの状態も上がってきました。上昇気流に乗ったきっかけのひとつに、今季から入団した間曽晃平を先発からリリーフに回したことがあげられます。

 

 間曽はBCリーグで2年連続最多勝を獲得していました。その実績を買って、当初は先発の柱にと考えていましたが、なかなか状態が上がりませんでした。彼にはキャリアがありますし、もともと先発をやっていたこともあってロングリリーフがききます。間曽を中継ぎに転向させると、ブルペンのやりくりが非常にスムーズになったんです。本人の状態も次第に良くなるなど相乗効果も生まれました。

 

 前期、チーム最多の3勝を挙げたウェスリー・エドワーズは素晴らしい活躍でした。今年でアイランドリーグ2年目のエドワーズはNPB入りを目指している選手のひとりです。球速はありますが、牽制やクイックなど細かいプレーがまだまだです。現段階ではNPBの1軍で活躍できるレベルではありませんが、課題を克服すれば期待できる選手だと思います。

 

 打撃面に関しては、今年は長打力に欠けました。チーム打率は.260でリーグ1位でしたが、ホームラン数が他の3チームよりも少なかった。ホームランはゲームの流れを変える力があります。いくらチーム打率が良くても、一発などランナーを還す力がないと得点力はなかなか上がりません。

 

 昨年よりもホームランが少なくなった理由は、「選手の力不足」でしょう。前期の上位2チームにはランナーを還せる絶対的な“打の中心”選手が揃っていました。愛媛はリーグ首位打者のミッチ・デニング、徳島は東京ヤクルトに入団が決まったハ・ジェフンや5ホームランを放った小林義弘。今年のガイナーズには彼らのような“打の中心”選手がいませんでした。

 

 リーグ開幕前にも言いましたが、「打の柱」は昨年巨人に育成指名を受けた松澤裕介とキャプテンの宗雪将司に期待しています。3番・松澤と4番・宗雪が活気づけば、チームに勢いが生まれる。彼らの調子次第で後期は優勝争いに食い込めると思っています。打撃レベルの向上は後期に向けての大きな課題ですね。

 

 今季の目標に掲げている「育成元年」の方向性はブレていません。本来は戦力に考えていた小牧泰士や岡村瑞希らが故障明けで調子が上がらない中で、1年目の沢坂弘樹や2年目の伊東貴行が健闘してくれた。10代の井戸川祐太、古川大珠、湊亮将は、まだ波はありますが、試合の中で着実に成長を遂げています。若手たちはよく健闘してくれました。

 

 4月のコラムで、捕手の古川大珠を試合の中で育成していくと言いましたが、これは後期も継続していきたいと思います。古川は経験が浅い分、ピッチャーから信頼を得られるまで時間がかかるでしょう。正捕手を決めずに、白橋賢斗と高島優大とコナー・オゴーマンと古川の4選手をローテーションで起用していきたいと思います。

 

 先程、述べたようにガイナーズにはタレント力のある選手がいないので、後期も“全員野球”で全選手一丸となって戦い抜きたいと思います!

 

<このコーナーは毎月1日更新です>


◎バックナンバーはこちらから