◇４月15日 正田醤油スタジアム群馬 2,488人
ザスパ草津 １−０ 愛媛FC
［草津］ リンコン（35分）
前節、ホームで４ゴールをあげて快勝した勢いを持ち込めなかった。下位だった草津にホーム初勝利をプレゼントする無得点での敗戦。「攻守にアイデアの足りないサッカーになった」と試合後のバルバリッチ監督の表情は険しかった。
キックオフ直後は左サイドハーフの前野が中へ切り込み、シュートを放つなど、サイドから崩すスタイルが出ていた。ところが、その後はボールは前へ運ぶものの、フィニッシュまで持ち込めない。ラストパスの精度を欠いて相手DFラインの後ろを取るような決定的なチャンスを演出できず、手詰まり感が漂った。
前半32分には左CKからDF内田健太が左足を振りぬくが、これが立ち上がり以来、久々のシュート。しかも、うまくヒットせず、ゴールキーパーの正面を突いた。
愛媛にとってはもどかしい展開が続く中、草津にワンチャンスをものにされる。35分、ゴールほぼ正面、30メートルの地点でFKを与えると、MFヘベルチの低く速いキックはハーフバウンドしてGK秋元陽太の正面へ。変化する弾道もあって秋元がキャッチしきれず、はじいたところを詰めていたFWリンコンに押し込まれた。「不用意なファールによる不運な失点」と指揮官が振り返ったゴールで愛媛は先制を許す。
反撃したい愛媛は40分、CKのチャンスから、こぼれ球をつないで最後はDF園田拓也がペナルティーアークから右足シュート。しかしボールは無情にもバーを叩く。さらに41分にも、ファーサイドへ放り込んだCKをDF浦田延尚がうまく頭で合わせるが、相手キーパーにセーブされた。
思い通りにいかないフラストレーションはレフェリーのジャッジにも向けられる。前半ロスタイムには愛媛にとっては不可解なファウルをとられ、バルバリッチ監督がエキサイト。レフェリーに詰め寄る場面もあった。
後半も最初の10分は右サイドバックの関根永悟を起点にゴール前に迫るも、相手のDFラインを崩すには至らない。次第に愛媛の選手たちには焦りが見え始め、ミスからボールを奪われる場面が増えていった。
「自分たちで自分たちのボールを失うことを繰り返した。相手は蹴りこんで走りこむだけのサッカーをやってきた」
バルバリッチ監督がそう語ったように、リードする草津はシンプルにカウンターで前がかりになった愛媛の裏をとる。DFラインが何度も対応に追われるうちに、少しずつ前線の選手との距離が広がっていった。
キャプテンの前野貴徳は「（選手同士の）距離が遠くて選手が孤立した。いい形で攻撃できなかった」と悔やんだ。途中出場したベテランFWの福田健二も「どうしても（前線へ）上がりきれない部分が出てしまった。２次攻撃、３次攻撃と厚みのある攻撃ができなかった」と唇を噛んだ。後半24分には途中から左サイドバックにポジションチェンジした前野から前線にアーリークロスが供給されるが、オフサイドの判定。その５分後にはFW有田光希が中央突破して、左サイドを駆け込んだ今季初出場のMF東浩史につなぐも、角度のないシュートは枠をとらえきれなかった。
その間、何度も草津にカウンターでゴール前にボールを持ち込まれ、時間はどんどん過ぎていく。愛媛は40分に前野が左サイドを突破し、シュート。42分には東から有田とつないで左足を振り抜くが、ゴールネットは揺らせなかった。
「ここまで大分戦で負けたり、横浜FC戦では引き分けだったが、いい試合をやってきた。だが、今日は相手選手からボールを奪い取り、いかに早くつなぐかというマインドセット（心の準備）が足りなかった」とバルバリッチ監督は指摘する。今季ワーストとも言える試合内容に帰りのバスに乗り込む選手たちの足取りは一様に重かった。「前節は良いサッカーができたのに、今回は悪かった。好不調の幅を縮めていかないと、６位以上の目標は達成できない」とキャプテンの前野は課題をあげた。次節（22日）はホームでのロアッソ熊本戦。今季無敗のニンジニアスタジアムで、もう一度、愛媛のスタイルを取り戻すしかない。
（石田洋之）
＜両チームメンバー＞
愛媛FC
GK 37 秋元陽太
DF 13 関根永悟
２ 浦田延尚
22 園田拓也
８ 内田健太 → FW 24 福田健二（60分）
MF ３ トミッチ
26 村上巧
16 赤井秀一 → 14 東浩史（65分）
17 大山俊輔 → 18 加藤大（77分）
７ 前野貴徳
FW ９ 有田光希
ザスパ草津
GK 22 北一真
DF ２ 保崎淳
13 有薗真吾
23 小柳達司
４ 永田拓也
MF 19 後藤涼
30 松下裕樹
６ 櫻田和樹
14 熊林親吾
10 ヘベルチ → ８ 遠藤敬祐（90＋２分）
FW ９ リンコン → 15 小林竜樹（39分）
11 金成勇 → DF 18 杉本裕之（76分）