来年のえひめ国体に向けて着々と準備が進み、県内の開催機運も高まってきている。そんな中で、選手たちをサポートする新しい取り組み「えひめママ」がスタートした。
 これは愛媛県体育協会が、故郷を離れて練習している選手の生活をサポートするために組織したもので、8月8日に松山市内でえひめママ任命の委嘱式が実施された。

 

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(写真:愛媛県体育協会・大亀会長から「えひめママ」委嘱状の交付及び記念品の贈呈が行われた)

 そもそも愛媛にはお遍路さんをもてなす「お接待」の精神が培われている。今回のえひめママも、そんな遍路文化が培った他者をもてなす精神を活かしたものである。
 愛媛県体育協会の大亀孝裕会長は、こう語っている。
「我々の悲願である天皇杯・皇后杯を獲得するための競技力は、各競技団体、関係者の努力で相当に力をつけてきていますが、今後さらなる得点の上積みが必要です。
 このような状況の中でえひめ国体に貢献したいと、故郷を離れて慣れない愛媛の地で、厳しい練習をしている多くの選手がいることを忘れてはなりません。そうした選手に対して、さまざまな形で生活支援をし、心身ともに安心して競技活動ができるようにすることは、我々の責務であると考えています。より一層きめ細かで行き届いた支援をしたいと考え、えひめママを創設することになりました」

 

 この主旨に賛同し、すでに287名がえひめママとして名乗りを上げて、任命を受けている。式典では松岡道代・愛媛県ママさんバレーボール連盟会長がえひめママ代表として決意表明を行った。
「64年ぶりの開催になるえひめ国体を成功させること、特に天皇杯・皇后杯を獲得することは、私たち愛媛県民の悲願であります。えひめ国体に貢献するため、故郷を離れて、厳しい練習をされている選手のみなさんが、心身ともに安心して練習ができるよう、少しでもお役に立てればと願っています。大変微力ではございますが、遍路文化によって培われた『お接待の心』で、精一杯支援させていただくことを誓います」

 

 式典では委嘱状の交付とともに記念品のスポーツベストとタックブローチも贈呈された。スポーツベストは、胸に愛媛のみかんの花を図案化したものがついており、タックブローチは、みかんの花に真珠をあしらったもの。これらは大亀会長が自らデザインを一から考えて作成し、大亀スポーツ振興財団から寄贈されたものである。

 

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(写真:式典には287人中52名のえひめママが参加した)

まずは競技会の応援へ
 えひめ国体実行委員会会長を務める中村時広愛媛県知事も「開催まで1年あまりとなり、競技力向上対策も総仕上げの段階を迎えています。この度、えひめママとして故郷を離れて頑張る選手に対してサポートしてくださる方々に改めて感謝するとともに、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます」と、えひめママのサポートによる競技力の向上を期待している。

 ちなみにえひめママの活動内容は、選手の練習や試合などの応援協力、さらに将来的には選手の悩み相談など精神面のサポートもしていく予定だ。

 

 最後にサポートを受ける選手たちの声も紹介しておこう。まずはホッケー成年女子、長崎県出身の安也実だ。
「日頃からの温かいご支援に加えて、私たちがより一層安心してスポーツ活動ができるようえひめママが結成され、大変心強く思っています。温かいご支援に応えるために、より一層強化に努め、えひめ国体で高得点を獲得するよう精進したいと思っております。
 私ごとですがこの人情味あふれる愛媛県に定住して、将来は指導者として愛媛県のホッケーの競技力向上に少しでもお役に立ちたいと決意を新たにしております」

 

 続いて柔道・少年男子、小山内茉緒(大阪府出身)は、親元を離れて新田高校柔道部にて日々研鑽を積んでいる。
「憧れの新田高校柔道部で練習していますが、親元を離れているので、正直寂しいこともあります。でも先生や下宿の方、後援会のみなさんのご支援で、安心して充実した部活動を行っています。今回は愛媛県をあげて応援していただけるえひめママが創設され、大変心強く思っています。これらの温かい応援に応えるため、一生懸命練習して、えひめ国体の総合優勝に貢献できるよう頑張ります」

 

 このように来年のえひめ国体に向けて、県をあげての選手支援、強化対策が順調に進んでいる。また各地でリハーサル大会も実施され、さらにブロック予選の会場からは愛媛県勢の好調を伝えるニュースが伝わってきている。秋のいわて国体、そしてあと1年余りに迫ってきたえひめ国体に向けて、一層の期待が高まっている。


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