チームスポーツではあるが、イメージ的には宮本武蔵と佐々木小次郎の“巌流島の戦い”だ。

 

 

 今秋スタートする男子プロバスケットボール・Bリーグの開幕カードがアルバルク東京と琉球ゴールデンキングスに決まった。

 

 トヨタ自動車が母体のアルバルクは2015~16シーズンで最高勝率を記録したNBLの雄。片やキングスは4度の優勝を誇るbjリーグ最強チームだ。

 

 企業チーム中心のNBLと地域密着を理念とするbjは05年以降、水と油の関係だった。

 

 国際バスケットボール連盟(FIBA)が日本バスケットボール協会(JBA)に対し、資格停止処分を科したのは14年11月のことだ。制裁解除の条件の中にはNBLとbjの統合も含まれていた。

 

 それを断行したのがJBAを改革するために設けられたタスクフォースのチェアマンに就任していた川淵三郎である。

 

 開幕カードをアルバルク対キングス戦のみにしぼり、プレミア感を演出したのは、川淵のアイデアによるものか。

 

 既視感がある。川淵が初代チェアマンを務めた93年5月のJリーグ開幕戦はヴェルディ川崎対横浜マリノスの1試合のみだった。ヴェルディの前身の読売クラブとマリノスの前身の日産自動車は、Jリーグ創設前の日本リーグにおいてライバル関係にあり、新リーグが提供できる最高のカードだった。

 

 国立競技場での開幕戦はマリノスが2対1で逆転勝ちをおさめたが、オープニングを飾るに相応しい素晴しい内容だった。

 

 個人的にはヴェルディの柱谷哲二がマリノスの井原正巳に仕掛けたスライディングタックルが印象に残っている。2人はともに日本代表DFであり、5カ月後には米国W杯アジア最終予選が迫っていた。

 

 ケガでもしたら、どうするのか。記者席から上がった「マジかよ!」の声は今でも耳の奥に残っている。

 

 Bリーグの興廃は開幕戦にかかっていると言っても過言ではない。

 

<この原稿は『週刊大衆』2016年6月27日号に掲載されたものです>

 


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