女子78キロ超級・杉本、銀メダル 男子は史上初の金ゼロ 〜柔道〜
3日、柔道は最終日を迎え、女子78キロ超級の杉本美香(コマツ)は決勝でイダリス・オルティス(キューバ)に旗判定で敗れ、銀メダルだった。一方、男子100キロ超級では上川大樹(京葉ガス)が2回戦敗退。男子は過去ワーストの金1個に終わったソウル五輪を下回り、金メダルなしの屈辱を味わう結果となった。男女全14階級で日本勢は今大会、金1個(男0、女1)、銀3個(男2、女1)、銅3個(男2、女1)と低調な成績に終わった。
<杉本、「もっといい色欲しかった」>
「金と銀じゃ全然違う」
表彰式後の杉本は笑顔をみせながらも、悔し涙をこらえていた。
日本勢不振の柔道を金メダルで締めくくるには追い風が吹いていた。この階級では最強を誇るトウ文(中国)が準決勝で敗れる波乱。決勝の相手、イダリス・オルティス(キューバ)には過去4勝2敗と勝ち越していた。
杉本自身の調子も良かった。初戦、準々決勝といずれも開始1分以内に一本勝ち。準決勝は地元・英国のカリーナ・ブライアントに対し、足を払って揺さぶりながら、先手先手で攻めていく。これで相手の攻撃を封じ、ブライアントには指導2が与えられて有効ポイントを得た。これが決め手となって勝ちあがり、金メダルは目前だった。
だが、オルティスは杉本の取り口を研究して決勝の畳に上がっていた。内股や払い腰をみせたところに返し技を合わせる作戦だ。杉本は立ち上がりこそ、前に出て技を繰り出すが、返しを警戒するあまり、徐々に仕掛けの回数が減っていく。残り1分15秒の段階で指導も受けた。
結局、試合は膠着状態でゴールデンスコア方式の延長戦に突入。旗判定も視野に入れて攻勢をみせたい杉本だが、いい組み手になっても慎重さが目立つ。逆に残り45秒で、オルティスに袖釣り込み腰をみせられ、審判の印象は大きく相手側に傾いた。
「応援してくれる人たちへ、感謝の気持ちを金メダルで伝えたかった。もっといい色が欲しかった」
そう杉本は決勝での敗戦を悔やんだ。決して実力がないわけではないのに勝ち切れない……。今大会で浮き彫りになった日本柔道の課題をある意味で象徴する銀メダルになった。
<上川、最後の砦も崩壊……>
悪い流れは最後まで断ち切ることはできなかった。前日、エース穴井隆将がまさかの2回戦敗退を喫した男子日本柔道。銀2、銅2と計4個のメダルを獲得しているものの、ロンドンのセンターポールに日の丸を掲げてはいない。
実は24年前、男子柔道は同じような危機を迎えていた。ソウル五輪、日本は最終日を残し、金メダルはゼロだった。だが、背水の陣で臨んだ斉藤仁が見事、金メダルを獲得。なんとか日本柔道のプライドを保った。果たしてソウルの再現となるのか。それとも史上初の金メダルゼロという屈辱を味わうこととなるのか――すべてはこの男にかかっていた。
大きなプレッシャーを抱えながら、挑んだ1回戦、上川は開始わずか15秒、払い腰で一本勝ちをおさめ、好スタートを切った。そして迎えた2回戦、相手はアテネ五輪100キロ級金メダリスト、33歳のイハル・マカラウ(ベラルーシ)。お互いに組み手を嫌い、なかなか技をかけない2人に、開始1分22秒、早くも指導が与えられる。ここから上川は積極的に足技をかけにいき、優位に試合を進めているかのように見えた。
ところが、残り2分30秒を切ったところで、マカラウが一本背負いを試みると、上川の体勢が崩れたところをすかさず寝技にもちこんだ。袈裟固めで一本を狙うマカラウに対し、上川はなんとか19秒で逃げ切った。だが、15秒を過ぎていたため、マカラウに有効が入り、ポイントをリードされてしまう。残り1分52秒――。
上川は足技でマカラウの体勢を崩そうとするも、マカラウは顔を上川の胸元につけ、技をかけさせない。残り1分を切ったところで、上川が体落としを試みるも、惜しくもポイントとはならなかった。
残り15秒、再び体落としをかけたが、マカラウは倒れない。逆に上川がマカラウの下敷きとなり身動きがとれず、時間だけが無情にも過ぎていった。残り6秒のところで「待て」がかかる。「はじめ」の合図とともに、マカラウに突進していった上川は、最後の望みを託して、足を掛けにいくも、これをうまくかわされてしまう。上川の右足が空をきると同時に、終了のブザーが鳴った。
柔道が正式競技として採用された1964年東京五輪以来、26個もの金メダルを獲得してきた日本男子柔道。最後の砦として挑んだ上川だったが、救世主とはならなかった。
<杉本、「もっといい色欲しかった」>
「金と銀じゃ全然違う」
表彰式後の杉本は笑顔をみせながらも、悔し涙をこらえていた。
日本勢不振の柔道を金メダルで締めくくるには追い風が吹いていた。この階級では最強を誇るトウ文(中国)が準決勝で敗れる波乱。決勝の相手、イダリス・オルティス(キューバ)には過去4勝2敗と勝ち越していた。
杉本自身の調子も良かった。初戦、準々決勝といずれも開始1分以内に一本勝ち。準決勝は地元・英国のカリーナ・ブライアントに対し、足を払って揺さぶりながら、先手先手で攻めていく。これで相手の攻撃を封じ、ブライアントには指導2が与えられて有効ポイントを得た。これが決め手となって勝ちあがり、金メダルは目前だった。
だが、オルティスは杉本の取り口を研究して決勝の畳に上がっていた。内股や払い腰をみせたところに返し技を合わせる作戦だ。杉本は立ち上がりこそ、前に出て技を繰り出すが、返しを警戒するあまり、徐々に仕掛けの回数が減っていく。残り1分15秒の段階で指導も受けた。
結局、試合は膠着状態でゴールデンスコア方式の延長戦に突入。旗判定も視野に入れて攻勢をみせたい杉本だが、いい組み手になっても慎重さが目立つ。逆に残り45秒で、オルティスに袖釣り込み腰をみせられ、審判の印象は大きく相手側に傾いた。
「応援してくれる人たちへ、感謝の気持ちを金メダルで伝えたかった。もっといい色が欲しかった」
そう杉本は決勝での敗戦を悔やんだ。決して実力がないわけではないのに勝ち切れない……。今大会で浮き彫りになった日本柔道の課題をある意味で象徴する銀メダルになった。
<上川、最後の砦も崩壊……>
悪い流れは最後まで断ち切ることはできなかった。前日、エース穴井隆将がまさかの2回戦敗退を喫した男子日本柔道。銀2、銅2と計4個のメダルを獲得しているものの、ロンドンのセンターポールに日の丸を掲げてはいない。
実は24年前、男子柔道は同じような危機を迎えていた。ソウル五輪、日本は最終日を残し、金メダルはゼロだった。だが、背水の陣で臨んだ斉藤仁が見事、金メダルを獲得。なんとか日本柔道のプライドを保った。果たしてソウルの再現となるのか。それとも史上初の金メダルゼロという屈辱を味わうこととなるのか――すべてはこの男にかかっていた。
大きなプレッシャーを抱えながら、挑んだ1回戦、上川は開始わずか15秒、払い腰で一本勝ちをおさめ、好スタートを切った。そして迎えた2回戦、相手はアテネ五輪100キロ級金メダリスト、33歳のイハル・マカラウ(ベラルーシ)。お互いに組み手を嫌い、なかなか技をかけない2人に、開始1分22秒、早くも指導が与えられる。ここから上川は積極的に足技をかけにいき、優位に試合を進めているかのように見えた。
ところが、残り2分30秒を切ったところで、マカラウが一本背負いを試みると、上川の体勢が崩れたところをすかさず寝技にもちこんだ。袈裟固めで一本を狙うマカラウに対し、上川はなんとか19秒で逃げ切った。だが、15秒を過ぎていたため、マカラウに有効が入り、ポイントをリードされてしまう。残り1分52秒――。
上川は足技でマカラウの体勢を崩そうとするも、マカラウは顔を上川の胸元につけ、技をかけさせない。残り1分を切ったところで、上川が体落としを試みるも、惜しくもポイントとはならなかった。
残り15秒、再び体落としをかけたが、マカラウは倒れない。逆に上川がマカラウの下敷きとなり身動きがとれず、時間だけが無情にも過ぎていった。残り6秒のところで「待て」がかかる。「はじめ」の合図とともに、マカラウに突進していった上川は、最後の望みを託して、足を掛けにいくも、これをうまくかわされてしまう。上川の右足が空をきると同時に、終了のブザーが鳴った。
柔道が正式競技として採用された1964年東京五輪以来、26個もの金メダルを獲得してきた日本男子柔道。最後の砦として挑んだ上川だったが、救世主とはならなかった。