第207回 福井・小野瀬将紀「来季は“走塁メンバー”の強化を!」
キャプテンとして臨んだ今季は、1シーズンがものすごく早く感じました。開幕前から優勝することを目標に掲げてチームをまとめてきましたが、思うような結果を残すことができず非常に悔しいです。
チームは西地区で前期は2位、後期は4位でした。前、後期ともに石川ミリオンスターズが優勝したため、通期勝率2位の福井ミラクルエレファンツが地区チャンピオンシップ(CS)に出場しました。第1戦は2-1、第2戦は12-1と石川に連勝し、流れは完全に福井にきていました。
しかし、リーグチャンピオンシップ(CS)進出まであと1勝に迫ったところで、雨に邪魔されてしまいました。台風の影響で悪天候が続き、予備試合がことごとく雨天中止。結局、予備日を消化してしまったため、通期勝率1位の石川がリーグCSに進出することになりました。
今季のレギュラーシーズンは石川に対して4勝10敗2分と、だいぶ負け越していましたが、地区CSではこっちに勢いがあったので、できることならあともう1試合やりたかったです。こちらではコントロールできないところで敗れてしまいましたが、天気云々よりも、まずレギュラーシーズンで優勝できなかったことを僕は悔やんでいます。
前期は、福井が優勝マジックを先に点灯させたにもかかわらず、石川に逆転優勝を許してしまいました。今季の開幕戦は石川と戦いましたが、0-1で完封負けを食らっています。次のゲームは先制点を挙げたのは福井でしたが、7-8で逆転負け。開幕戦から2連敗を喫したときに、“今年の石川はちょっと手強いかな”という感覚を抱きました。
福井は長打力のあるバッターが少なく、足の速い選手が多いので、コツコツ当てて繋ぎながら、相手のミスを誘う野球をしています。しかし、今季から石川の守備がものすごく良くなり、機動力野球を全面に出してきました。昨年と戦い方を変えてきたので、戦いにくかったです。
キャプテンの任務
今季、僕はキャプテン1年目だったので、個人成績よりもチームのことを優先に考えてプレーしました。僕自身、キャプテンという役職に就くことが初めてだったので、すごくいい勉強になりました。シーズン中は、調子が悪くなる選手もいれば、調子を上げてくる選手もいます。メンタルケアという面でも、選手ひとりひとりとコミュニケーションをとることを大切にしました。実は「引き続き、来季もキャプテンをやってくれないか」という話をいただいているので、もう1年、引き受けようかと迷っているところです。
先ほども言いましたが、福井には長打力のあるバッターやズバ抜けた才能を持つ選手がいないので、皆がひとつの束になって試合に臨まないと勝てません。来季もキャプテンを続けるとしたら、試合に勝つためにチームワークをさらに高めていきたいと思います。
技術的な面でいうと、来季の目標はチームの盗塁数を増やすことを考えています。15年にチームへ帰ってきたときに、織田一生コーチから「盗塁数を増やしてくれ」と頼まれたんです。そこで、僕は何人か走れる選手を集めて、徹底して走塁の指導をしたんですけど、僕がキャプテンの仕事で手いっぱいになり、昨季よりも走塁の練習が減少してしまいました。
来季は、今季40盗塁の森亮太はじめ、浜崎裕太(6盗塁)、荒道好貴(10盗塁)、片山雄哉(8盗塁)の“走塁メンバー”をより一層強化したいと思っています。浜崎と荒道と片山の3人は、今季は思ったよりも盗塁数を伸ばすことができませんでしたが、鍛えればもっと走れる選手たちです。来季の課題は、“走塁メンバー”の盗塁数をいかに増やすか、ですね。
来年は、福井ミラクルエレファンツが設立されて10周年です。その記念すべきメモリアルイヤーを優勝で飾るために、来季は何が何でも優勝を目指します。
<小野瀬将紀(おのせ・まさき)>:福井ミラクルエレファンツ主将
1987年10月20日、茨城県出身。常磐大学を卒業後、長崎セインツ、紀州レンジャーズを経て、13年に福井ミラクルエレファンツに入団した。翌年、アメリカ独立リーグに挑戦する。1年間キャブスでプレーし、15年に福井へ復帰。今季からキャプテンに就任した。身長167センチ、体重75キロ。内野手。右投左打。