木村敬一(パラ水泳)第1回「手応えを掴んだアジアパラ」

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 北京、ロンドンと2大会連続でパラリンピックに出場し、ロンドン大会では2つのメダルを手にした水泳日本代表の木村敬一選手。昨年、パラリンピック3大会(アテネ、北京、ロンドン)で金1個を含む計5個のメダルを獲得した鈴木孝幸選手から水泳チームのキャプテンを引き継いだ。10月のアジアパラ競技大会では4種目を制し、エントリーした全6種目で表彰台に上がる大活躍を見せた。24歳の木村選手は現在、日本パラリンピアンズ協会の理事も務めている。名実ともに日本のパラスポーツ界を引っ張る若きリーダーが見据える未来とは――。

 

伊藤: 木村敬一選手は昨年10月に韓国・仁川で開催されたアジアパラ競技大会で4冠を達成しました。1年後に迫っているリオデジャネイロパラリンピックに向けても、大きな自信を得たんじゃないでしょうか。

木村: そうですね。パラリンピックの中間年ということで、ロンドンパラリンピックからの2年で自分の実力がどの程度ついているのか図る格好の機会でした。結果、メダルを沢山獲ることができ、どの種目とも順当に力がついているのかな、という好感触を掴めました。

 

二宮: 50メートル自由形、100メートル自由形、100メートル平泳ぎ、100メートルバタフライの4種目で金メダルを獲得し、200メートル個人メドレーが銀で、100メートル背泳ぎが銅と、どの種目でもレベルが高いことを証明しました。ご自身の中では、得意な種目と苦手な種目はありますか?

木村: 一番得意なのは、ロンドンでも銀メダルを手にした平泳ぎ(100メートル)です。銅メダルを獲得したバタフライ(100メートル)にも、平泳ぎと同じぐらい力を入れています。逆に苦手としているのは、背泳ぎですね。

 

二宮: とはいえ、苦手と言われる背泳ぎが含まれる個人メドレーでは銀、背泳ぎでも銅メダルを獲得しました。これだけマルチに結果を出そうと思ったら、トレーニングも多岐にわたります。筋力トレーニングにしても、それぞれの種目で重要になってくる箇所を鍛えないといけません。

木村: ええ。4種目に対応するため、幅広くやっていましたね。ただ今後はリオのパラリンピックに向けてというところになってきます。実際、大会で優勝を狙える種目は全部ではないですから、得意種目である平泳ぎとバタフライを重点的に強化していこうと思っています。

 

 結果で引っ張るリーダーシップ

 

二宮: 水が合う、合わないという言い方もありますが、ヨーロッパとアジアとではプールの水に違いは感じますか?

木村: 自分の中では泳ぎやすい、泳ぎにくいという感覚はあります。それこそ仁川のアジア大会のプールは気持ちよく泳げました。高校3年時に出場した2008年の北京のパラリンピックの会場も泳ぎやすかったですね。

 

伊藤: それは軟水と硬水の違いなのでしょうか?

木村: 水質なのか、プールの形状なのかはわかりません。入った瞬間に皮膚でわかるというか。とはいえ、泳ぎづらくても泳ぐしかないんですけどね。

 

二宮: ”じゃあ、やめます”というわけにもいきませんもんね(笑)。昨年からは水泳チームのキャプテンに任命されました。前任の鈴木孝幸選手の他にも、1992年のバルセロナ大会から6大会連続でパラリンピックに出場し、通算21個のメダルを獲得した河合純一さんも務めた重責です。

木村: 河合さんは憧れの存在です。とても恐縮しております。

 

伊藤: 実際、キャプテンになってみて、いかがでしたか?

木村: はい。アジア大会は派遣された選手の人数も多かったので、ベテランと若手をまとめるという点では難しいところもありました。

 

伊藤: 水泳は個人競技でありながら、チームスポーツの側面もあると言われています。チームを引っ張るリーダーの存在は重大です。

木村: もちろん、そういった点を担うべき、キャプテンの役割は大きいです。ただ僕自身は今のところ、大したことはしていませんよ(笑)。

 

二宮: オリンピックやパラリンピックにおいて、水泳に限らず、大会序盤に金メダリストが出ると、それに続くように他の選手が好成績を残すというケースがよくあります。全員を波に乗せるような役割もリーダーには求められますよね。

木村: そうですね。僕自身、一番は何よりも結果を残すことかなと思っているので、そういったかたちでリーダーシップを示していきたいです。

 

(第2回につづく)

 

木村敬一(きむら・けいいち)プロフィール>

1990年9月11日、滋賀県生まれ。増殖性硝子体網膜症で2歳の時に全盲となる。小学4年から水泳を始め、単身上京した筑波大学付属盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)で水泳部に所属。中学3年時に出場した世界ユース選手権大会で金、銀、銅と3個のメダルを獲得し、2007年の日本身体障害者水泳選手権では100メートル平泳ぎで日本記録をマークして優勝。高校3年時に臨んだ08年北京パラリンピックでは5種目に出場し、うち3種目で入賞した。日本大学に進学後、4年時に迎えた12年のロンドンパラリンピックでは100メートル平泳ぎで銀メダル、100メートルバタフライで銅メダルを獲得した。昨年から水泳チームのキャプテンを務め、アジアパラ競技大会(韓国・仁川)では出場した全6種目で表彰台に上がった。

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NPO法人STAND代表の伊藤数子さんと二宮清純が探る新たなスポーツの地平線にご期待ください。

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