2回戦
◇9月8日 Shonan BMWスタジアム平塚 1,478人
 湘南ベルマーレ 1−0 愛媛FC
[湘南] 大槻周平(48分)
 リーグ戦で11試合勝利から見放されている愛媛にとって、この天皇杯は心機一転、出直しができるチャンスだった。ところが、ピッチ上で繰り広げられたのはリーグ戦のVTRを見るような内容に乏しいサッカー。残暑厳しいデーゲームだった点を差し引いても、動きが悪くボールがつながらない。そうこうしているミスが生じ、ボールを奪われ、失点する。リーグ戦2位の湘南とはいえ、主力を温存した相手に一泡吹かせることができなかった。

「手でボールが扱えるようになれば、つながるかもしれない」
 打開策を問われたイヴィッツア・バルバリッチ監督は呆れた口調で答えるしかなかった。

 何より直近の3試合で1点もあげられていない攻撃にゴールの匂いが漂ってこない。エースストライカー有田光希の離脱もあり、2日のカターレ富山戦同様、3トップのシステムで臨んだ愛媛だが、前線での仕掛けに乏しく、中盤から先へボールが渡らない。

 供給されるクロスの精度も決して高いとは言えなかったが、それでも詰めている選手が動き出さなければ何も起こらない。せっかく高い位置までボールを押し上げてもクロスが誰にも通らず、ゴールラインを割る光景が何度も繰り返された。前半は2度のコーナーキックのチャンスも生かしきれず、スコアレスで試合を折り返す。

 すると後半の立ち上がり、一瞬のスキを突かれた。3分、相手陣内にドリブルしたところをインターセプトされ、縦パスを放り込まれる。走り込んできたFW大槻周平に突破を許し、そのままゴールを決められた。「(対応すべきセンターバックの)アライールがボールを見ていない。毎試合そうだが、相手にうまくやられたというより、相手にやりやすい状況をこちらがつくっている」。指揮官が嘆く守りのほころびが出て、愛媛は1点を失った。

 直後、愛媛はFW久場光がPA外、中央のエリアからミドルシュートを放つが、惜しくもバーに直撃し、ゴールネットは揺らせず。79分には途中出場のMF東浩史が右サイドを抜け出し、ゴール前まで迫ったものの、中央でパスを受けた石井謙伍のシュートはうまくヒットしなかった。

 失点後の愛媛は相手陣内でプレーする時間帯は増えたが、決定的な場面はこの2度ほど。これで公式戦は4試合連続でノーゴールだ。バルバリッチ監督も「パスをつないでコンビネーションで脅かしたいが、割り切って後ろから蹴りこむことも考えないといけない。それで偶然(の得点)を狙うしかない」と半ばお手上げ状態になっている。
 
 この2回戦、愛媛勢では四国リーグのFC今治がJ1のサンフレッチェ広島を2−1で破る大番狂わせを演じた。愛媛唯一のプロクラブとしての存在も形無しだ。内容も結果も伴わない悪循環をいつになったら抜け出せるのか。「チームを何とかしようと散々やってきたけど何も変わらない。これからは自分のためにプレーする」。ある選手はそう吐き捨て、クラブ内は空中分解寸前。次の試合(14日)はリーグ戦で横浜FCをホームに迎える。入り込んだトンネルは長く、そして暗い。

<両チームメンバー>
愛媛FC
GK 37 秋元陽太
DF 13 関根永悟
   22 園田拓也
    5 アライール
    7 前野貴徳
MF 26 村上巧 → 4 渡邊一仁(62分)
    6 田森大己 
   16 赤井秀一 → 34 伊東俊(71分)
    8 内田健太
FW 15 久場光 → MF 14 東浩史(77分)
   11 石井謙伍

湘南ベルマーレ
GK 21 松本拓也
DF 20 三原向平
   14 下村東美
   30 島村毅
MF 16 猪狩佑貴
   28 イ・ミンス → DF 22 大野和成(69分)
   15 岩上祐三
   26 亀川諒史 → 6 永木亮太(83分)
FW 17 馬場賢治 
   19 大槻周平 → MF 33 前田尚輝(90+1分)
   25 宮崎泰右