テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有は21日、敵地でのロサンゼルス・エンゼルス戦に先発し、8回4安打1失点で16勝目(9敗)をあげた。日本人メジャーリーガーが1年目で16勝を記録したのは、松坂大輔(ボストン・レッドソックス)の15勝を抜いて最多。レンジャーズは1−1の同点から最終回にエイドリアン・ベルトレの2ランで勝ち越し、3−1で勝利した。
 本人は不満が残る内容だったようだが、安定したピッチングで白星をまたひとつ重ねた。
 同地区のエンゼルスとは今季5度目の対戦。相手打線の特徴はもう充分に把握している。夏場までは不安定だった立ち上がりも、初回、2回と三者凡退。これで3試合連続で最初の2イニングを3人で切って取った。

 最初のピンチは3回、初めての四球とヒットで1死一、三塁と走者を背負う。ここでリーグ打率2位のマイク・トラウトにはカウント2−2からインハイのストレートで空振り三振。盗塁を試みた一塁走者をキャッチャーのジョバニー・ソロが刺して三振ゲッツーを完成させた。続く4回はトニー・ハンター、アルバート・プホルスと続く強打者から三振を奪い、難なく3人で攻撃終了。5回も2度フルカウントに持ち込まれながら、しっかりと打ちとり、3者凡退で終わらせた。

 5回にレンジャーズは1点を先制し、2度目のピンチは6回。この試合、初の連打で無死一、三塁となる。しかし、迎えたトラウトはまたもインハイでバットに空を切らせ、ハンターは速球で詰まらせてショートゴロ。その間に三塁走者に同点は許したものの、最小失点で切り抜けた。

 試合はエンゼルス先発のザック・グリンキーも好投をみせ、1−1のまま8回へ。ダルビッシュは最後の力を振り絞るかのように、圧巻の3者連続三振を見せ、相手にチャンスを与えない。すると右腕の力投にようやく打線が応えた。9回、エンゼルス2番手のアーネスト・フリーリを攻め、無死1塁からベルトレがレフトへ特大の一発を放つ。この勝ち越し弾でダルビッシュに16勝目が転がり込んだ。

 9月のダルビッシュはすべて7回以上を投げ切り、4試合で3勝。防御率も3点台(3.90)になった。レギュラーシーズンでは残り2回の登板が予想される。日本人メジャーリーガーの年間最多勝は松坂の18勝(2008年)だが、今の内容なら、それに並ぶことも充分に可能だ。