愛媛スポーツ飛躍の年、2016年を振り返る

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 今季最大のトピックは10月1日から11日まで行われた「2016希望郷いわて国体」での好成績だ。愛媛県は目標以上となる天皇杯(男女総合)7位、皇后杯(女子総合)5位で大会を終えた。

 当初の目標として掲げていた「天皇杯10位以内、皇后杯8位以内」という目標を大きく上回る躍進の原動力について、愛媛県体育協会はこう分析している。

「個人競技4、団体競技5の9つの優勝と、合計300名(個人51名、43団体249名)の入賞者が出たこと。これは昨年のわかやま国体に比べて64名も増加している。獲得ポイントも天皇杯で300点以上の上積み(1203.5→1531点)があり、ここが愛媛県躍進の原動力になった」

 

 また大会の結果を見ると、ラグビー(成年男子7人制)、サッカー(女子)、テニス(成年女子)、ゴルフ(成年男子個人)が競技初優勝、相撲と弓道の2競技が競技別総合優勝を果たすなど、各競技の底上げが着実に進んでいることがうかがえる。来年のえひめ国体に向けて期待の高まるところだ。

 

弓道部/優勝争いまでレベルアップ

 

 いわて国体にはダイキ弓道部から弓道・成年女子代表に主将の佐々木磨理と玉木里奈が選抜された。遠的、近的ともに準優勝で弓道総合優勝に貢献したが、年初から国体をターゲットにして練習に励んできた成果が出た。

 

「練習に際してはただなんとなく数をこなすのではなく、必ずテーマを決めて矢を射ることを心がける」
 今年のはじめに目標を聞かれてこう答えていた玉木は、5月の住吉大社全国弓道遠的大会の団体優勝など着実に力をつけて、いわて国体でも団体準優勝に貢献した。

 

 佐々木は「ダイキのメンバーで国体に出場して遠的、近的の両方での入賞」を目標としていたが、いわて国体の準優勝は目標以上であった。「準優勝という成績をあげられたが優勝できなかった悔しさがある。決勝戦では遠的、近的ともに緊張のあまり平常心で矢を射ることができなかった。それが今後の課題」と反省も口にしている。

 

 えひめ国体での天皇杯制覇に向けては、成年女子を中心とした弓道のさらなる活躍が不可欠となる。
「いわてが終わり、もう目標はえひめに切り替えて準備を始める。県外での試合を増やして精神力を鍛えたい」
 地元のえひめ国体に向けて、ダイキ弓道部はさらなる精進を続ける。

 

ボート部/ベテランとして代表を牽引

 

 ダイキボート部の武田大作は、今年も選手と愛媛県ボート協会強化部長という2つの大役をこなした。
 選手としての武田は今季、4月から11月の全日本まで、長いシーズンを想定してオフのトレーニングに取り組んでいた。

 

「4月は中日本レガッタ、5月に朝日レガッタ、そして全日本軽量級。後半は10月いわて国体、11月の全日本と長いシーズンになる」
 こうオフシーズンに語っていた武田はトレーニングの強度をアップした。乳酸対策のために有酸素運動の割合を増やしてスピードへの反応を高めるプログラムを組んだ。しかしこれが原因で腰を痛め、オフのプログラムに若干の狂いが生じた。幸いにも腰の負傷は軽度で済んだが、以後、武田はケガやアクシデントに泣かされることになった。

 

 リハビリを兼ねて出場した中日本レガッタを準優勝で終えたものの、4連覇を目指した朝日レガッタ・シングルスカルでは、強風によるコンディション悪化で1000mのレースが500mに短縮された。スプリント系の練習が不足していた武田にとって、この距離短縮が災いしコンマ43秒差で2位に終わった。

 

 5月29日の全日本軽量級選手権では現地(戸田)入りしてからヒザを痛めた。テーピングや痛み止めを飲んで決勝に進んだ武田は準優勝でレースを終えた。この10日後に県代表選考会が実施され、なんとかヒザの痛みに耐えて選考会で結果を残した武田は、いわて国体にはダブルスカルでの出場となった。

 

 8月の関西選手権(舵手つきフォア)で準優勝を飾り、目標としていたいわて国体に向けて準備は着々と進んでいた。しかし、再び武田をアクシデントが襲った。いわて国体の練習中に艇が波にあおられた際にヒザをひねってしまったのだ。
「予想もしてなかったアクシデントでペアの選手に迷惑をかけてしまった」
 本番では本来の力を発揮できなかったものの、7位にしぶとく粘りいわて国体を終えた。

 

 この12月に武田は43歳になった。ベテランとして来シーズンも選手、そして強化部長として愛媛県選手団を引っ張る所存だ。
「男子は強いメンバーがそのまま残っていてレベルもアップした。少年男子は優勝という結果も残したし、来年に向けては全員での練習を増やしてチームワークをもっと出していきたい」
 愛媛県代表を鼓舞、牽引する存在として、武田はまだ意気軒昂である。来年はケガもなく、そして復活の年になることを期待したい。

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