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(写真:「2019年に向けてトップリーグは協力しないといけない」と語り、大会方式変更に理解を求める太田委員長)

 30日、ジャパンラグビートップリーグは2017-18シーズンの大会方式を2カンファレンス制で行うことを発表した。大学の出場枠がなくなった日本選手権はトップリーグの総合順位決定トーナメント(4位以上)を兼ねる。開幕戦を8月18日に開催することも決まった。

 

 日本ラグビーは過密日程を解消するため、ひとつの決断を下した。トップリーグ委員会の太田治委員長は「我々としても日本代表強化を一番に置きまして、トップリーグがどうサポートできるかという観点で決めた」と語る。その答えが、来シーズンのレギュレーション変更だ。

 

 15チーム総当たり制だった16-17シーズンから、来季は2カンファレンス制へと移行する。全16チームを2組に分けて、リーグ戦を行う。同一カンファレンス内での総当たり7試合と、異なるカンファレンスのチームとの6試合の合計13試合の勝ち点を競う。各カンファレンス上位2チームが、トップリーグ優勝をかけたプレーオフを兼ねた日本選手権に進出。3位以下も順位決定トーナメント(5~8位、9~12位、13~16位)に進むかたちだ。シーズンは8月18日に開幕し、1月中旬に終える。

 

 これには昨年11月に就任した日本代表のジェイミー・ジョセフHCから「(日本選手権決勝からスーパーラグビー開幕まで)5週空けてほしい」との要望も大きかったという。スーパーラグビーに出場する代表選手の負担を考慮し、休養を含めた準備期間を作る狙いがある。一方、トップリーグの各チームは「最低でも15試合はやりたい」との希望を持っていた。

 

 各チームの大半が総当たりのリーグ戦を望んだというが、中断期間を設けられないことを懸念した。11月のテストマッチ期間に試合を組み込めば、代表を多く輩出するチームの戦力ダウンは否めない。興行的にも観客減は避けられなくなり、リーグ側としてもダメージがあるだろう。週2回開催も選手の負担を考えれば、現実的とは言えない策だ。

 

 各チームが望む15試合を確保しつつ、例年より早く試合を消化するために選んだ2カンファレンス制。チーム編成は16-17シーズンの順位を反映して振り分けられた。偶数順位と奇数順位ではなく、1つのカンファレンスに2位、3位、6位、7位、10位、11位、14位、15位が入る。カンファレンス間の交流戦は6試合。つまり2チームは対戦しないこととなる。以前にも採用したことがあるため、太田委員長も「(各チームに)浸透していて納得しやすい」と言うが、公平性に関しては担保できなかった。

 

 あくまで2019年W杯に向けてのレギュレーションで、現状は2シーズン限定だ。すべては代表強化のため。新方式のメリットはトップ選手の負担を少しでも軽減できることだが、デメリットとしてはスーパーラグビーのチームや日本代表に入っていない選手の試合数を失うことだ。それを補填するための大会やマッチメイクも検討はしているという。ただし、プレーする側だけがラグビーファミリーではない。観ている人、応援する人もその一員だ。空白期間もラグビー熱を冷まさないプロモーションが重要となってくる。トップリーグの価値も含め、自国開催のW杯への機運を下げないことを期待したい。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

【トップリーグ2017-2018編成】 ※カッコ内は16-17シーズン順位。TCLはトップチャレンジリーグ

 

・Aカンファレンス(仮称)

サントリーサンゴリアス(1位)、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(4位)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(5位)、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(8位)、東芝ブレイブルーパス(9位)、クボタスピアーズ(12位)、近鉄ライナーズ(13位)、NTTドコモレッドハリケーンズ(TCL1位)

 

・Bカンファレンス(仮称)

ヤマハ発動機ジュビロ(2位)、パナソニック ワイルドナイツ(3位)、リコーブラックラムズ(6位)、キャノンイーグルス(7位)、NECグリーンロケッツ(10位)、宗像サニックスブルース(11位)、コカ・コーラウエストレッドスパークス(14位)、豊田自動織機シャトルズ(15位)