日本時間1日、世界フィギュアスケート選手権の女子シングルフリースケーティング(FS)がフィンランド・ヘルシンキで行われた。ショートプログラム(SP)1位のエフゲーニャ・メドベージェワ(ロシア)はFSでも154.40点でトップをキープ。合計233.41点で世界選手権連覇を達成した。2位はケイトリン・オズモンド、3位にはガブリエル・デールマンのカナダ勢が入った。日本勢トップは三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)が197.88点で5位。樋口新葉(日本橋女学館高)が188.05点で11位、本郷理華(邦和スポーツランド)が169.83点で16位だった。上位2人の合計順位により与えられる平昌五輪の出場権は、日本勢が2枠、ロシアとカナダとアメリカが3枠を獲得した。

 

 圧巻の演技だった。17歳の世界女王がその実力を改めて証明して見せた。この日、メドベージェワがヘルシンキ・ハートウォールアリーナの主役だった。

 

 SPで自己ベストに迫る79.01点の高得点をマークしたメドベージェワ。大会連覇のかかるFSは最終グループの4番手に登場した。直前の6分間練習では「すごく緊張していた」という彼女だが、リンクに上がると表情は落ち着いていたように映った。

 

 映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のサウンドトラックの曲を用い、憂いある表情で氷上を舞った。音に合わせて受話器を取る仕草から物語は始まる。リンクを広く使い、長い手足で魅せる。冒頭に3回転のコンビネーションジャンプを決めて、彼女のショーは幕を開けた。

 

 メドベージェワの演技構成点は76.13点と高難度のはずだが、ミスは見当たらないほどの完璧なパフォーマンスだった。ずば抜けた表現力で観客を引き込み、そしてジャッジをも魅了した。技術点は71.73点。彼女は自らが持つFSの歴代最高点を更新する154.40点が発表されると、キス&クライで喜んだ。トータル233.41点も歴代最高点を叩き出した。

 

 グランプリファイナルを含め、GPシリーズ2戦、欧州選手権などで優勝。今シーズン無敗の女王は世界選手権も制した。大会連覇はミシェル・クワン(アメリカ)以来16年ぶり。2位には15点以上の差をつける圧勝で、“メドベージェワ時代”を証明した。

 

 五輪出場枠「3」確保できず

 

 今大会は平昌五輪の国・地域の出場枠がかかっていた。上位2人の順位が合計で13以下ならば3枠。28以下は2枠、それ以上は1枠だ。2006年トリノ五輪から3枠をキープしている日本は、安定感抜群のエース宮原知子(関西大)をケガで欠くなど苦戦を余儀なくされた。

 

 全日本選手権2位の樋口、同3位の三原に加え、同優勝の宮原の代わりは本郷が務めた。しかし、SPは樋口が9位、本郷が12位、三原が15位。このままでは与えられる出場枠は2枠までだ。

 

 巻き返しが期待されたFS。日本勢の一番手は三原だ。第2グループの最終滑走で登場した三原は映画『シンデレラ』のサウンドトラックに乗った。エメラルドグリーンの衣装を纏い、軽快なパフォーマンスを見せる。

 

 3回転ジャンプ、コンビネーションジャンプの着地を次々と決める。身長154cmの小さな身体がリンクで躍動した。世界選手権は初出場。硬さもあってSPではミスで出遅れたが、FSはノビノビと演技を披露して見せた。

 

「SPでの経験が生かされて、楽しんで滑るということに切り替えることができた」と三原は振り返った。FSは四大陸選手権でマークしたばかりの自己ベストを更新する138.29点。FSだけを見れば全体4位の好成績で、SP15位から5位にジャンプアップした。

 

 後を滑った本郷、樋口はミスもあって点数は伸びなかった。本郷は4つ順位を落として16位、樋口は2つ下がって11位に終わった。結局、五輪の出場枠は2002年ソルトレイクシティ五輪以来、4大会ぶりの2枠となることが決まった。

 

◇女子シングル

1位 エフゲーニャ・メドベージェワ(ロシア) 233.41点

2位 ケイトリン・オズモンド(カナダ)    218.13点

3位 ガブリエル・デールマン(カナダ)    213.52点

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5位 三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ) 197.88点

11位 樋口新葉(日本橋女学館高)       188.05点

16位 本郷理華(邦和スポーツランド)     169.83点

 

(文/杉浦泰介)