1日から12球団一斉にスタートしたキャンプもいよいよ最終クールに入り、実戦モードに入りつつある。選手たちの仕上がり具合が気になるところだ。そんな中、23日からはオープン戦が開幕し、3月24日まで111試合が行なわれる予定だ。同29日の開幕に向けて、各球団がどんな戦いをみせてくれるのか。今シーズンを占う意味でも注目したい。
 オープン戦の序盤でのみどころといえば、やはりルーキーや若手の台頭だろう。今シーズンはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で各球団の主力選手が不在だけに、例年以上に若手へのチャンスは広がると予想される。なかでも注目したいのはルーキーの投手陣だ。今シーズンは、1年目から1軍での活躍が期待される好投手が顔を揃えているだけに、オープン戦での見どころは例年以上に多い。

 昨年、春夏連続で甲子園優勝投手となった藤浪晋太郎(阪神)。その甲子園でのマウンド姿を心待ちにしているファンは少なくない。それも計算に入れているのだろう。オープン戦でのデビューは3月7日、甲子園での千葉ロッテ戦となる見通しであることが伝えられている。既に4月3日の中日戦での公式戦デビュー、しかも先発としての起用が予定されているという情報もあり、首脳陣からの期待の大きさがうかがい知れる。

 その藤浪は197センチの長身をいかしたダイナミックなフォームから最速153キロの真っ直ぐとカットボールを武器としている。いい時のボールは威力抜群で、一軍でも十分に通用すると高い評価を得ている。だが、課題は疲労が蓄積した時にボールが抜ける点だ。これを見逃す一軍バッターはいないだろう。試合を重ねるごとに疲労は蓄積されることは想像に難くないだけに、オープン戦ではデビュー戦よりも2試合目、2試合目よりも3試合目と、後半でのピッチングにこそ、真価が問われる。

 2年越しの夢をかなえ、希望通り巨人の一員となった菅野智之も順調な仕上がり具合を見せている。初めて紅白戦に先発した16日には、2回を1安打無失点に抑える好投を披露した。その内容はというと、初回はわずか9球できっちりと3人で終わらせたが、続く2回はボール先行のピッチングが災いし、投球数は31と、決していいとは言えなかった。

 それでも高橋由伸、矢野謙次、古城茂幸といった実績のある打者を相手に、自ら“生命戦”という内角を突く強気のピッチングで1安打に抑えたところに、実戦での強さがうかがえた。オープン戦での初登板は24日の東北楽天戦が予定されている。1年間浪人した菅野にとって、対外試合としては実に480日ぶりとなる。紅白戦では投げなかったフォークボールを加えれば、さらにピッチングの幅は広がるはずだ。自ら目標とする「3回を50球以内」を目指す。

 ほぼ順調と言える藤浪と菅野とは逆に、キャンプの中盤以降、本来のピッチングを見せられずに苦しんでいるように感じられるのが、東浜巨(福岡ソフトバンク)だ。14日の紅白戦初登板では、2回無失点2四球と制球の乱れが目立った。17日には2度目の紅白戦登板を果たしたが、1回を無失点ながら1安打1四球1三振。ヒットと四球が2死からという内容に彼らしさがうかがえない。

 20日にはキャンプ最多の166球を投げ込んだが、自ら制球面の課題を口にしている。高校、大学時代と抜群のコントロールで安定感が光っていた東浜。オープン戦では、東都リーグで通算35勝を挙げた右腕の本領発揮となるか。