第99回全国高校野球選手権大会の決勝が23日に行われ、花咲徳栄(埼玉)が広陵(広島)を14-4で破り、埼玉県勢初となる夏の甲子園優勝を果たした。初回に2点を先制した花咲徳栄は3回に2点、5回に6点、6回に4点と得点を重ねた。守っては綱脇慧(3年)―清水達也(3年)の必勝リレーで、今大会で大ブレイクの中村奨成(3年)を擁する広陵打線を4得点に抑えて圧勝した。

 

◇決勝

 16安打14得点、決勝の舞台でも猛打爆発

花咲徳栄(埼玉) 14 = 202|064|000

広陵(広島)    4 = 011|011|000

 

 試合開始早々から花咲徳栄の“勝ちパターン”がハマった。花咲徳栄は1回戦から準々決勝までの4試合全てで先制している。2回戦の日本航空石川戦で初回に5点、3回戦の前橋育英戦では初回に4点を取って勝った。序盤で大きくリードを奪い、守っては綱脇慧(3年)-清水達也(3年)の必勝リレーで逃げ切る展開を決勝でも目論んでいたに相違ない。一方の広陵にとってはエースの平元銀次郎(3年)を中心とした投手陣がカギを握ると見られていた。

 

 初回、花咲徳栄は広陵の先発・平元を攻め、無死一、二塁のチャンスを作った。3番の西川愛也(3年)の打球はセンターとセカンドの間に落ち、3連打で2点を先制する。広陵はその裏、1死一塁で注目の中村奨成(3年)がレフト線にツーベースを放ち、好機を作るも後続が倒れて無得点に終わった。 

 

 2点を先制された平元は、2回に自らのバットでタイムリーを放ち1点を返すも、続く3回にも2失点を喫してしまう。2-4と広陵2点ビハインドで迎えた5回、平元は四球とヒットで無死一、三塁の場面で、打席に3番・西川を迎える。ここは踏ん張りたいところだったが、1ストライクからの2球目を痛打され、センターオーバーの2点タイムリースリーベースとなって2-6。続く打者にもタイムリーを許し、スコアが2-7となったところで平元は二番手投手にマウンドを譲った。5回途中8失点での降板となり、中井哲之監督の期待に応えることはできなかった。花咲徳栄は、この回結局打者10人の猛攻で6点をあげ、続く6回にも4点を加えて大勢を決した。投手リレーでは先発の綱脇が5回途中まで3失点。後を引き継いだ清水が5回以降を1失点に抑え、決勝の試合を締めくくった。

 

 広陵の中村は、第2打席で今大会初の三振を喫してしまうが、第3打席では内野安打を記録した。さらに9回の第5打席では1死一塁からレフト線にツーベースを放つ。これで今大会通算19安打となり、1986年の水口栄二(松山商)の大会記録に並んだ。また、二塁打も通算6本とし、1大会最多二塁打記録に並んだ。前日に1大会最多本塁打、打点、塁打数の記録を更新した中村。決勝も3安打と気を吐いたもののホームランは出ず、チームを勝利に導く一打を放つことはできなかった。

 

“怪物・中村”を擁した広陵だったが、夏4度目の決勝でまたも初優勝には届かなかった。自慢の猛打と継投で広陵を圧倒した花咲徳栄が、埼玉県勢初となる深紅の優勝旗を手に入れた。