伊予銀行テニス部

(写真:愛媛県代表としては初の国体出場となる片山)

 9月30日から開幕する第72回国民体育大会「愛顔(えがお)つなぐえひめ国体」テニス競技の愛媛県代表が決まった。伊予銀行テニス部からは成年男子の部で、片山翔と佐野紘一が代表に選ばれた。同女子の部は波形純理が、愛媛県松山市出身の華谷和生(はなたに・なぎ=Ravie Court)と代表入り。昨年は成年男子が6位、女子が優勝でテニス競技の総合成績4位に貢献した。今年は男女揃っての優勝、競技別総合1位を目指す。

 

 

 7月15、16日に愛媛・松山中央公園テニスコートで行われた国体選手選考最終予選(成年男女)の結果をもとに、県テニス協会常任理事会で4人の精鋭が選ばれた。同予選には男子は伊予銀行からは片山、佐野、弓立祐生、飯野翔太の4人が参加。女子は波形と長谷川茉美の伊予銀行勢に加え、華谷と清水真莉奈(愛媛信用金庫)が出場した。

 

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(写真:入行7年目の佐野。国体では2度のベスト4進出に貢献)

 男女ともに総当たり戦で行われた予選。男子は片山が3戦全勝で1位、弓立が2勝1敗で2位、飯野が1勝2敗で3位、佐野が0勝3敗で4位に終わった。唯一のプロ選手で、愛媛国体のために愛媛にやって来た片山は順当にトップ通過だ。「プレッシャーの中で、安定したテニスを展開して結果を出したことは素晴らしいと思います」と秀島達哉監督も高く評価した。

 

 精度が高く、スピードのある高速ストロークが持ち味の片山。ここのところ、ITF(国際テニス連盟)のツアーで3週連続優勝を果たすなど、好調を持続している。伊予銀行での役割同様、チームのエースとしてポイントゲッターを任される。その片山の相棒に指名されたのが佐野だ。

 

 予選では4位と振るわなかったものの、秀島監督は選考理由をこう説明する。

「佐野は2位ではありませんでしたが、国体はダブルスの要素も非常に大きい。予選では結果が出なかったものの、これまでの国体の実績や勝負強さなどを総合的に判断しました」

 

 国体の代表選手は2人。シングルス2戦、ダブルス1戦の2戦先勝方式のため、当然ダブルスの出来は勝敗に大きく左右する。その点で片山は全日本選手権のダブルスで優勝経験がある。佐野も全日本選手権のダブルスで2度の準優勝を経験している。「最後の最後まで常任理事会でも意見が別れた」という苦渋の決断ではあったが、すべては地元国体で結果を残すためのシビアな選択だった。

 

 佐野はネットプレーを得意としており、ストローカーである片山との相性も良いはずだ。「片山が後方で高速ストロークを駆使し、試合をつくる。そして佐野がネット際で動いて決めるパターンになる」と秀島監督。そのコンビネーション精度を高めるため、今後はダブルスのトレーニングを中心に仕上げていく意向を示した。

 

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(写真:経験豊富でクレバーな戦いをできる波形)

 一方の女子は昨年からの連覇がかかる。予選でも昨年の優勝メンバーである波形と長谷川が今年も代表権を勝ち取るかと思われたが、結果は違うものになった。そこに割って入ってきたのが22歳の華谷だ。順位は華谷が3勝0敗で1位、波形が2勝1敗で2位、長谷川が1勝2敗で3位、清水が0勝3敗で4位だった。秀島監督は「華谷も長谷川もプレッシャーがあった中で、どちらも頑張った。波形は腰にトラブルがあって、華谷の勢いを止められなかった。それを差し引いても華谷がよく我慢して、最後まで自分のテニスをやり切った」と予選を総括した。

 

 女子は華谷と波形と順位通りの代表選考となった。秀島監督は2人をこう評する。

「華谷はITFツアーを中心に腕を磨いてきた。世界を回っているだけあって、テニスに対する意識が非常に高いです。それがメンタルとプレーがついてきて、我慢するところは我慢できているし、打つべきところは打てている。ゲームの流れをわかってきている感じがしますね。試合のやり方が上手になった。波形はダブルスもシングルも両方できる元日本代表。グランドスラムの経験もあり、昨年の国体成年女子優勝の立役者です。自分が何をやらなければいけないのかを考えて動ける選手。彼女がオールラウンドで穴のないテニスをしっかりやってくれれば、結果は必然とついてくると思っています」

 

 秀島監督の見立てによれば、男子は来年の開催県である福井県に加え、埼玉県ら関東勢と和歌山県と大阪府などの関西勢が脅威だという。福岡県などそれ以外の県も含めて「どこが勝ってもおかしくない」混戦が予想される。女子は昨年優勝の愛媛県、同準Vの京都府、筑波大学のトップ選手を揃える茨城県に福井県を合わせた4強争いが濃厚だ。

 

 秀島監督は2009年3月より伊予銀行テニス部監督に就任した。国体はこれで9度目を迎える。

「国体は日本最大のスポーツの祭典。私たち地方銀行にとっては愛媛を盛り上げたい。愛媛にスポーツで貢献したい。日本リーグとは違った意味合いで緊張もしますし、なんとか結果を出したいという気持ちは非常に強いです」

 

 今年は地元開催。重圧も決して小さくはない。秀島監督は自らの役割をこう意気込んだ。

「選手たちは愛媛県代表の自覚と愛媛県に貢献しようという気持ちを持ってやってくれています。あとは選手がストレスなく気持ち良くプレーできるようにするのが私の仕事です。選手とコミュニケーションを取りながら、皆で優勝を勝ち取りたいと思っています」

 

 プレイヤーズ・ファーストを心掛ける指揮官のもと、秋の決戦に挑む。楽な戦いはないだろう。だが、それを乗り越えて手にした勝利の喜びはひとしお。愛媛で栄光を掴み取ることができれば、選手、スタッフ、そして関係者の最高の笑顔が待っているはずだ。

 

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