四国アイランドリーグplusはBCリーグとの日本一を決めるグランドチャンピオンシップ(グラチャン)も終わり、今はシーズンオフ。来季に向けた鍛錬のときが始まりました。10月9日から30日まで、宮崎県で行われたフェニックスリーグにアイランドリーグ選抜チームが参加。私は監督を務めました。

 

 フェニックスリーグはNPBのイースタン7球団、ウエスタン5球団に韓国プロ野球から3球団、そして四国IL選抜の計16チームが参加する秋の教育リーグです。アイランドリーグの選手にとって1年の中で目玉といってもよく、NPB1軍に近いレベルの選手との戦いは非常に良い経験になります。

 

 今年は台風の影響で中止が多く、ゲームが飛び飛びでしたが、それでも選手は良い戦いをしていたと思います。私が指揮を執った前半に限っていえば、巨人戦で10失点した以外は東京ヤクルトと埼玉西武に2失点、横浜DeNAに1失点など、投手陣は失点が少なく試合をつくっていましたね。

 

 野手については前半はグラチャンと日程が重なったことで徳島インディゴソックスの主力選手が参加できませんでした。それでもホームラン王をとったクリス(香川)などベストに近いメンバーで戦えて、クリスはバッティングについて若干ですが、何かをつかんだようです。

 

 フェニックスリーグの最初の試合後、クリスに「4番打者とは」という話をしました。4番を筆頭に3番、そして5番、いわゆるクリーンアップにはポイントゲッターとして打点が求められます。でも全部のボールを打ちにいってはダメで、自分の打てる球を絞り込んで、一振りで仕留める。それが中心となる4番の心構えです。特に初球に甘いボールが来たら見逃さずにとらえなきゃいけないんです。

 

 打者と裏表になりますが、投手は初球の入り方、特にランナーを出したときの初球には最新の注意が必要です。甘くいけば狙われるし、ボール先行では自分で自分を苦しめることになる。フェニックスリーグでIL選抜の投手は、NPBを相手にそのことを意識して投げていました。

 

 結局、フェニックスリーグは11試合を戦い4勝6敗1分。勝ち負けよりも来季につなげる何かをつかんでくれていたら四国ILに関わる者としてこれほど嬉しいことはないですね。

 

 優勝に向けて始動

 26日、NPBのドラフト会議が行われました。アイランドリーグからは徳島の伊藤翔が埼玉西武にドラフト3位、同じく徳島の大藏彰人が中日に育成1位指名を受けました。伊藤翔は高卒1年目ですが、非常に完成度の高いピッチャーという印象です。

 

 175センチと体格はそこそこながら、投げるボールは回転もいいし、変化球のキレもすごい。ドラフト3位という高い評価も納得です。伊藤翔はチャンピオンシップとグラチャンでMVPをとるなど、今季は大活躍でした。それでドラフト3位指名ですから、プロ入り前に運を使い果たしてなきゃいいんですが(笑)。当然、NPBで活躍するには課題はまだ山積みですが、ぜひ頑張ってほしいですね。

 

 今回のドラフトでは残念ながら我が香川オリーブガイナーズから指名される選手はいませんでした。2006年から続いていたドラフト11年連続指名が途切れたのは残念です。

 

 今季、香川のエース・原田宥希は大車輪の活躍でした。球速もマックスで148キロが出るようになり、最多奪三振のタイトルもとりました。後期優勝のためによく働いてくれて、本人もやりきった印象があったでしょう。私は長くアイランドリーグの監督をやっているので、「この選手、今年はドラフトにかかる」という手応えを感じることがあり、今年の原田もそうでした。今回、ドラフト指名がなかったことで本人はショックもあるでしょう。

 

 ただ原田はまだ23歳と若いので、ここから気持ちを切り替えて来季を迎えてもらいたい。指名漏れした選手が翌年のドラフトで指名されることは過去何例もありましたからね。

 

 来季に向けて香川はすでに動き出しています。フェニックスリーグに参加していた選手も戻ってきて練習に合流しています。岡村瑞希、井戸川祐太といった20歳、21歳の選手がひと皮むければグッとチーム力が上がると思っています。何かをつかんだクリスも楽しみですし、来季も勝てるチーム、そしてNPBドラフトに一人でも多くの選手を送り出せるようにしたいですね。

 

 選手、首脳陣、スタッフ全員が地域の人たちや企業のサポートのおかげで野球ができることに喜びを感じています。来季はもっと大きな恩返しができるように頑張りますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

 

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