日本時間2日、ワールドシリーズ第7戦が行われ、ヒューストン・アストロズがロサンゼルス・ドジャースを5対1で下し、初のワールドシリーズ制覇を成し遂げた。アストロズは初回に2点をあげると、2回にも3点を追加し、序盤から大量得点に成功した。アストロズは先発のランス・マッカラーズが3安打無失点ながら3回途中で降板、継投で逃げ切りを図った。6回からは先発右腕のチャーリー・モートンがマウンドに上がり、1失点したものの最後まで投げ切り、歓喜の瞬間を迎えた。

 

◇第7戦

 スプリンガー、通算5本塁打でシリーズMVP(アストロズ4勝3敗、ドジャースタジアム)

ヒューストン・アストロズ     5 = 230|000|000

ロサンゼルス・ドジャース    1 = 000|001|000

勝利投手 モートン(1勝0敗)

敗戦投手 ダルビッシュ(0勝2敗)

本塁打  (ア)スプリンガー5号2ラン

       

 アストロズは初回からドジャースのダルビッシュ有に襲い掛かった。先頭のジョージ・スプリンガーが二塁打を放つと、続くアレックス・ブレグマンの打球はファーストのコディ・ベリンジャーへ。ベリンジャーはベースカバーに入ったダルビッシュに送球したが、これが悪送球となり、アストロズがわずか4球で先制に成功した。この間に二塁に進んでいたブレグマンが三盗を決めて無死三塁となり、3番のホセ・アルトゥーベのファーストゴロで2点目のホームを踏んだ。

 

 勢いに乗ったアストロズは続く2回にも無死ニ、三塁のチャンスから内野ゴロで3点目を奪う。すると、スプリンガーが甘く入ったストレートをとらえ、左中間に豪快な2ランを叩き込んだ。これで5対0とし、ダルビッシュをノックアウトした。

 

 一方の、アストロズ先発のマッカラーズは無失点ながら4死球など制球に苦しみ、3回途中に降板。ここからアストロズは先発投手陣をリリーフ登板させる総力戦に出た。2番手には今季レギュラーシーズン13勝(2敗)のブラッド・ピーコックが上がり、2イニングを無失点に抑えた。

 その後2投手を挟んで、6回からは今季14勝(7敗)のモートンが登板。6回に1死一、二塁からアンドレ・イーシアのライト前タイムリーで1点を返されたが、試合終了までの4イニングを投げ抜いた。2安打1失点に抑え、世界一までのロングリリーフという大役をこなした。

 

 ドジャースも3回表から中2日でエースのクレイトン・カーショーを登板させ、7回からはクローザーのケンリ―・ジャンセンをマウンドに上げるなど29年ぶりの世界一へ執念を見せる。これ以上の失点は防いだものの、主砲ベリンジャーがノーヒットに抑えられるなど反撃することができなかった。

 

 ダルビッシュは2回途中3安打5失点でシリーズ2敗目。ポストシーズン9試合で2勝0敗防御率0.84と大活躍していた前田健太は第7戦は出番がなかった。

 

 アストロズは通算成績4勝3敗で、球団創設56年目で初のワールドシリーズ制覇となった。今シーズン開幕前に大ベテランのカルロス・ベルトランを補強。シーズン半ばの8月にはサイ・ヤング賞投手のジャスティン・バーランダーをデトロイト・タイガースからトレードで獲得するなど、投打の精神的支柱の存在がチームに安定した強さをもたらした。彼らの経験値が生え抜きスターのアルトゥーベやカルロス・コレイア、ダラス・カイクルらと融合し、今年の躍進につながった。計画的なチーム作りが功を奏したと言えるだろう。今後強さを維持し、常勝チームへと成長することができるかどうか。来季以降のアストロズに注目したい。

 

(文/交告承已)