(写真:対抗戦デビューで先制トライを記録したルーキーの木村)

 18日、関東大学ラグビー対抗戦グループAは帝京大学が明治大学を41-14で破った。通算成績を6戦全勝とした帝京大は、1試合を残して7年連続8度目の優勝が確定した。リーグ最終節の筑波大学(26日)に引き分け以上で単独優勝が決まる。現在、4勝1敗の早稲田大学、慶應義塾大学も優勝の可能性を残している。

 

 雨のニッパツ三ツ沢球技場。今年も深紅の王者は揺るがなかった。対抗戦6連覇、大学選手権8連覇中の帝京大は無傷の6連勝で対抗戦V7を決めた。

 

(写真:尾﨑<右から2番目>と吉田<3番目>ら4年生の活躍が目立った)

 序盤から猛攻を仕掛けたのは帝京大だった。4分にWTB木村朋也(1年)、9分にはFB尾﨑晟也(4年)が右隅にトライを決める。幸先良くスコアしたが、いずれもWTB竹山晃暉(3年)がコンバージョンキックを外してしまう。今季9割を超えるキック成功率を誇る点取り屋が連続ミスをする。

 

 竹山は14分のPGとHO堀越康介(4年)のトライで得た20分のコンバージョンキックをなんとか決めた。20-0と大きくリードを奪い、このまま帝京大のワンサイドゲームになるかと思われたが、明大の反撃を食らう。24分、SH福田健太(3年)に自陣でインターセプトされると、そのまま独走を許し、トライを奪われる。32分にはFWにゴール前で押し込まれて、6点差まで迫られた。

 

 1トライ1ゴールで逆転を許す展開。流れは明大にあったが、最後までゴールラインを割らせず、リードしたまま試合を折り返した。「結果を気にし過ぎず、どんな相手でもクロスゲームを想定しています」と帝京大の竹山。岩出雅之監督は「試合中に喝を入れる必要もなかった」と振り返る。競った場面でも焦りはない。

 

(写真:竹山はスピードを生かしたアタックでトライを量産)

 後半に入っても均衡した状況が続いた。前半を含め約30分間、両軍スコアできない。試合が動いたのは24分だった。左サイドにボールを展開すると、タッチライン際を駆け抜けたのは竹山だ。「相手のディフェンスサイドが僕らのデコイランで止まっていた。チームで練習してきたことが出た」。快速を飛ばし、トライ&コンバージョンキックで7点を追加した。

 

 勝負どころで価値ある追加点を奪い、流れを再び手繰り寄せた。28分とロスタイムにNo.8吉田杏(4年)が馬力のある突進で2つのトライを決めて、終わってみれば27点差の快勝だった。明大の丹羽政彦監督は「スコアできなかったことが差」と口にすれば、キャプテンLO古川満は「相手は勝ち方を知っている」と舌を巻いた。

 

(写真:会見に臨む堀越<左>と岩出監督。指揮官は最初にキャプテンに試合の総括を命じた)

 指揮官が「出来の良いシーズンではない」と語る通り、帝京大のここまでの6連勝も厳しい戦いがなかったわけではない。2週間前の慶大戦では3点差で辛勝。タフなゲームを乗り越えて、選手たちのスイッチが入った。「気合いの入れ方を選手も掴んだのかな」と岩出監督。

 

 帝京大は対抗戦7連覇を達成し、早大に並ぶ最多記録である。キャプテンの堀越は「ホッとしていません。ここで安心してしまっては成長は止まる」と気を引き締める。前人未到の9連覇を目指す大学選手権に向け、まずは次週の筑波大学戦で単独優勝を決めたいところだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)