新体制で好スタート切った日本リーグ ~伊予銀行テニス部~
第32回日本リーグが開幕した。12月7日から4日間、ファーストステージが神奈川・横浜国際プール、兵庫・ブルボンビーンズドームで行われた。レッドブロックの伊予銀行テニス部はファーストステージを横浜国際プールで戦い、4連勝。来年1月のセカンドステージ(ブルボンビーンズドーム)へ好スタートを切った。
コーチから昇格した日下部聡監督にとっては初陣となる公式戦、日本リーグが幕を開けた。
初戦はプロ2選手を擁する山喜。日下部監督も「ファーストステージで一番強い相手」と警戒していたチームだ。シングルスNo.1片山翔、シングルスNo.2佐野紘一、ダブルスは飯野翔太&中島啓組。昨シーズンの軸となったオーダーで開幕戦に臨んだ。
シングルスは隣同士のコートで同時開始。エース片山のベンチにはキャプテンの廣瀬一義が入り、佐野側には日下部監督が付いた。チームにとっては今シーズン開幕戦。日下部監督にとっても指揮を執ってから初の大会だ。
「私自身はとても緊張しましたが、それを表に出さないように気を付けた。選手たちには『いつも通りでいこう』と声を掛けました」
片山は相手の棄権により、早々に勝利。伊予銀行はあと1勝で今シーズンの初白星が転がり込む。しかし、佐野の相手である笹井正樹とは決して相性が良くなかった。
第1セットは6-4で先取したものの、第2セットは5-7で奪われた。いずれのセットもどちらが取ってもおかしくはない内容だった。一進一退の攻防はファイナルセットも続いた。
一方がブレークすれば、取り返す。ファイナルセットは文字通り死闘となった。3セット合計で3時間半を超える熱戦はタイブレークまでもつれた末、粘り強さが身上の佐野が振り切った。ファイナルセットの途中、笹井が足をひきずるような素振りを見せるほど、タフなゲームだった。
「あそこで勢いがついた。ダブルスものびのびとやることができました」と日下部監督。昨シーズン無敗の飯野&中島組は6-2、6-3でストレート勝ちを収めた。
「選手ともミーティングで『ポイントとなる』と話していた。どうやって勝つかをチームで考えていたので、3対0で勝てたのはすごく大きかったです」
続くJR北海道戦にはシングルスNo.2に弓立祐生を起用した。入社2年目の弓立は日下部監督が「今年1年非常に頑張っていた。ランキングは高くはないですが、練習で片山に勝つこともあるなどポテンシャルを持っています」と期待する若手だ。チーム最長身の181cmから繰り出すパワーショットが持ち味。「プロにも通用する力がある」と指揮官が高く評価する弓立は、6-3、6-1のストレート勝ちで期待に応えてみせた。
「我慢して自分のテニスを貫いて結果を残してくれた。実力のある選手相手にストレートで勝てたことに成長を感じました。リーグ戦の収穫のひとつです」
日下部監督は弓立の進化を喜んだ。「緊張する試合を多くこなして成長に繋げていってもらえたらと思っています」との言葉通り、10日の九州電力戦でもシングルスNo.2に起用した。
9日のMS&AD三井住友海上戦は片山、佐野、飯野&中島組で3対0、10日の九州電力戦は片山、弓立、飯野&中島組で2対1。ファーストステージは4連勝だ。レッドブロックでは2連覇中のエキスパートシズオカ、昨シーズン2位のイカイが4勝0敗で並ぶ。日下部監督が「ほぼ100点に近い」という出来のファーストステージ4戦の内訳は11勝1敗である。片山、飯野&中島組は4戦全勝と抜群の安定感を見せた。佐野が2勝、弓立が1勝1敗。佐野に対しては「100点をあげたいぐらいの内容だった」と振り返る。
「片山の力の大きさを再認識しました。他のチームのNo.1相手に1つのセットも落とさず全勝。ダブルスは1+1が2にも3にもなっているんじゃないかなと感じますね」と日下部監督が絶大な信頼を置くシングルスNo.1とダブルスの2本柱。佐野、弓立が力を付けたことにより、「3本全部で勝負できるチームになった」と指揮官は胸を張る。1月のセカンドステージ、その先の決勝トーナメントに向けて大きな弾みがついたファーストステージだった。
年が明けて1月19日からの3日間、セカンドステージは場所を兵庫に移して行われる。初戦はイカイで、エキスパートシズオカ、リコーと続く。強豪との対戦が控えるが「挑戦者として食らいついていきたい」と意気込む。各ブロック上位4チームが進める決勝トーナメントの組み合わせはブロックの順位によって振り分けられる。ここ2年は準々決勝で敗れ、いずれも5位。セカンドステージ3戦がひとつのヤマ場だろう。
「まずは昨シーズンの成績を超えたい」と日下部監督。2月9日からスタートする決勝トーナメントの初戦に勝てばノルマは達成できる。準決勝からは過去最高成績の3位以上に挑む戦いだ。地元開催の「愛顔(えがお)つなぐえひめ国体」を男女アベック優勝で終えた2017年。2018年のスタートは日本リーグの好成績でスタートしたい。