9日、第23回冬季オリンピック競技大会が韓国・平昌で開幕した。冬季五輪史上最多となる92カ国・地域の2925選手がエントリー。大会組織委によると、マレーシア、シンガポール、エクアドル、エリトリア、コソボ、ナイジェリアの6カ国が冬季五輪初参加となるという。日本から124名の選手が派遣され、国ぐるみのドーピングで資格停止中のロシアからは169名が個人資格「ロシアからの五輪選手(OAR)」として出場予定だ。25日までの17日間、手に汗握る熱戦が繰り広げられる。

 

 平昌五輪は15競技102種目を実施。スノーボードの男女ビッグエア、カーリングの混合ダブルス、スピードスケートの男女マススタート、アルペンスキーの混合団体の6種目が新たに採用された。8日には開会式に先駆け、カーリングの混合ダブルスがスタート。昨年の世界選手権を制したスイス代表が2連勝と好発進した。金メダリスト同士が組んだカナダペアと地元・韓国のペアとOARのペアは1勝1敗だった。2日目となったこの日には全勝のチームがいなくなり、4チームが3勝1敗で並ぶ混戦模様となっている。

 

 ソチ五輪より採用されたフィギュアスケートの団体戦が始まり、男子シングルショートプログラム(SP)とペアSPの2種目を実施した。男子シングルショートプログラム(SP)では宇野昌磨(トヨタ自動車)が103.25点をマークしてトップに立った。パトリック・チャン(カナダ)、ネイサン・チェン(アメリカ)をはじめ有力選手に転倒が目立つ中、安定感抜群のパフォーマンスで観客を魅了。「特別な緊張感はなく、最後まで自分の演技ができた」と、宇野は強心臓ぶりを発揮した。ただ1人100点台をマークする高得点で、SP1位をもぎ取り、日本に10点をもたらした。

 

 続くペアは木原龍一&須﨑海羽組(木下グループ)が57.42点。1月の四大陸選手権で調子を上げており、木原と須崎は「いいイメージで臨めた」とパーソナルベストを更新した。しかし順位は8位で、3点を獲得するにとどまった。前回5位の日本は2種目を終え、カナダ、アメリカに次ぐ3位に入った。今後は11日に団体アイスダンスショートダンスと女子シングルSPが行われ、合計得点の上位5チームが決勝に進む。団体戦は12日に全種目が終了。メダルが決定する。

 

 夜に行われた開会式では華やかなセレモニーを行った。62番目に入場した日本は、旗手を務めるノルディックスキー・ジャンプの葛西紀明(土屋ホーム)を先頭に計37選手が行進。ノルディックスキー・ジャンプ女子の髙梨沙羅(クラレ)やスノーボードスロープスタイル&ビッグエアの鬼塚雅(星野リゾート)、男女カーリングのメンバーなどがにこやかに手を振り、和やかなムードを漂わせた。

 

 参加国最後の登場となったのが韓国と北朝鮮。五輪開会式で統一旗を持っての入場は2006年トリノ五輪以来、4度目のことだという。その後、平昌五輪大会実行委員長のイ・ヒボム委員長、IOCのトーマス・バッハ会長が挨拶。最後に韓国のムン・ジェイン大統領が高らかに開会を宣言し、花火が盛大に平昌の夜空へ打ち上げられた。

 

 選手、審判の宣誓の後、聖火が会場に届けられた。聖火はリレハンメル五輪&長野五輪ショートトラック女子金メダリストのチョン・イギョン氏を皮切りに、女子プロゴルファーのパク・インビ、サッカーのアン・ジョンファン氏に繋がれた。女子アイスホッケーの韓国と北朝鮮の合同チームの2選手に渡された聖火は、最後にバンクーバー五輪フィギュアスケート女子金メダリストのキム・ヨナ氏が受け取り、聖火台に火は灯された。

 

 韓国初の冬季五輪。果たして、どんなドラマが待っているのか――。

 

(文/杉浦泰介)