23日から90回目のセンバツがスタートする。新3年生は2000年生まれの、いわゆる「ミレニアム世代」。高校野球は新時代に突入する。

 

 センバツはこのところ“私高公低”が続いている。公立校の優勝は09年の清峰(長崎)が最後だ。その前は1995年の観音寺中央(香川)。これは選手権大会についても同様のことが言える。公立校の優勝は07年の佐賀北(佐賀)まで遡らなければならない。

 

 センバツに話を戻せば、80年代は公立校の時代だった。80年=高知商(高知)、83年=池田(徳島)、85年=伊野商(高知)、86年=池田(徳島)、88年=宇和島東(愛媛)と優勝校の半数が公立校だ。そして、その全てが四国勢である。まさに四国こそは最後に残された“公立王国”だったのだ。

 

 だが、しかし――。近年はその四国においても公立校の衰勢が顕著である。今回、四国からは英明(香川)、松山聖陵(愛媛)、高知(高知)、明徳義塾(同)の4校が出場するが、全てが私立校である。2年前、センバツ第1回大会優勝校の名門・高松商が61年の春以来、55年ぶりに決勝に進出してオールドファンを喜ばせたが、昨秋の四国大会では準決勝で敗退し、センバツの切符を手にできなかった。

 

 かつて公立王国だった四国でも“私高公低”の波が押し寄せていると先に述べたが、例外が1県ある。徳島県である。ここは春夏合わせて、まだ一度も私立校が甲子園に出場していないのだ。公立校の独占状態が続いているのは全国47都道府県の中でも徳島だけである。これは“高校野球の7不思議”のひとつに数えられているが、原因を探れば意外でも何でもない。徳島では野球部を持つ私学が1校しかないのだ。

 

 徳島県勢で全国制覇を果たした高校は4つある。徳島商(47年春)、鳴門(51年春)、徳島海南(64年春)、池田(82年夏、83年春、86年春)。徳島県勢として最後(02年春)に決勝進出を果たした鳴門工(現・鳴門渦潮)も当然、公立校である。

 

 野球部を持つ県内唯一の私学が80年創部の生光学園だ。昨秋の四国大会では2回戦敗退ながら、今大会の「21世紀枠」県推薦校に選ばれていた。だが吉報は届かなかった。徳島の全国唯一の「公立独占」は、この先も続くのか、それとも…。

 

<この原稿は18年3月21日付『スポーツニッポン』に掲載されています>


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