MLBで6年間プレーし、7年ぶりに東京ヤクルトに復帰した青木宣親が3月13日、甲子園での阪神とのオープン戦に4番で起用された。4回には2点タイムリーを放ち、存在感を発揮した。「4番青木」は本番に向けてのテストといっていいだろう。

 


 かつて小川淳司監督は、「青木は1番向き」と語っていた。2010年6月、高田繁監督の休養を受け、監督代行として指揮を執った小川は、青木を3番からトップに戻すことで難局の打開を図った。これが功を奏し、代行就任時には19もあった借金を完済し、4つの貯金を積み上げることに成功したのである。


 青木を1番に戻した理由を、小川はこう語っていた。


「青木のバッティングに対する集中力は凄まじいものがある。その代わり、守備や走塁にはあまり興味を示さない。同じリーダー格でも、チーム全体のことを考えてプレーする宮本慎也とはそこが違っている。では、どうすればチームを引っ張ってくれるのか。彼は数字にこだわるタイプなので、それに集中させようと……」


 このシーズン、青木は3割5分8厘の高打率で3度目の首位打者に輝き、チームのV字回復の原動力となった。


 その成功体験を元に、てっきり今季、小川は青木を切り込み隊長役で起用するものとばかり思っていた。ところが、どうもそうではなさそうだ。


「人間的にも成長したし、(野球への)考え方もかわってきた」


 最新の小川の青木評だ。青木にチームを背負ってほしいとの思いがにじむ。


「彼にはリーダーの資質がある」


 そう語るのは第4回WBCで侍ジャパンの投手コーチを務めた権藤博だ。


 1次リーグ初戦のキューバ戦。ファインプレーを演じた青木はベンチに帰るなり仲間とハイタッチを交わした。


「これがものすごく気合が入っていた。“オー、行くぞ!”とね。あれで勢い付いたんだ」


 ツバメは再び舞えるのか。そのカギを握る「4番青木」である。

 

<この原稿は2018年4月2日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 


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