Vol1.ダイジェストトーク セルジオ越後「家で1人で見るなら、パブへどうぞ!」
二宮清純スペシャルトーク「ハッピーアワー@HUB」が、6月10日、セルジオ越後氏をゲストに迎えて開催された。
当日はあいにくの雨模様となったが、トークショー開始の12時30分までに、会場の英国風パブ「HUB」新宿区役所通り店の店内は約50人の参加者で埋まった。それぞれ好みのビールやカクテル、ソフトドリンク、そしてHUB名物のフィッシュ&チップスなどをテーブルに並べて準備万端。トークショーはセルジオ氏の「カンショー!」の発声でスタートした。ちなみにこの発声はトークショー直前、「乾杯は完敗=カンパイにつながりそうだから、完勝=カンショー! にしましょうよ」との発案により、急遽決まったものだ。
さて日曜日の午後、ビール片手というシチュエーションながら、トークショー前日(9日)、日本代表がスイスに0-2で敗れたこともあり、客席はやや暗い雰囲気に包まれていた。セルジオ氏は「日本代表、全然強くなっていないよ」と切り出し、日本代表だけにとどまらず日本サッカー界の問題点をバッサリ切り捨てた。
常日頃から辛口評論で鳴らすセルジオ氏だが、根本には「日本サッカーを強くしたい、良くしたい」という思いがあるのは周知の通り。この日も辛口ながらもジョークや皮肉を交えるセルジオ氏らしい語り口で、店内は笑いあり、そして拍手あり。ある参加者は「ズバリと言ってもらってすっきりした」と、開始前の悲壮感はどこへやら。精進落としの後のような表情を浮かべていた。
トークショーは前半45分、後半45分、そしてアディショナルタイム(質問コーナー)を加えて大いに盛り上がった。ドリンク、フード、そしてサッカー談義で皆、ホロ酔いの昼下がりとなった。
なお「ハッピーアワー@HUB」は現場優先の”ここだけの話”が基本コンセプトだが、当日の模様の一部を以下、ダイジェストでお届けしよう。
二宮「では、ここで挙手によるアンケートをとりましょう。日本代表はグループリーグで勝ち点いくつか。1勝1分けで勝ち点4、2分けで勝ち点2、1分けで勝ち点1、全敗で勝ち点ゼロ。さあ、どれ?」
--客席に勝ち点2の挙手が一番多いのを見たセルジオ氏、こう続けた。
セルジオ「みんな、愛国心があるなあ(笑)。でも僕も愛国心があるから言うけど、今回日本は勝ち点ゼロだと思う。というよりも将来のためにここは勝ち点ゼロの方がいい。引き分け2つで勝ち点2をとったら、また”よくやった!”という雰囲気になって、反省もないまま4年後に向かってしまう。今回は全敗して、それを反省して本気で強化に取り組んだ方がいい」
二宮「ちょっと待ってください。お店から”勝ち点2に挙手した方はドリンクを愛国者割引”ですって?」
セルジオ「あ、じゃあ僕も勝ち点2だと思います(笑)」
決定力不足の要因は?
--西野ジャパンになって無得点(10日時点。ガーナ戦0-2、スイス戦0-2)という話になり、セルジオ氏はズバリとこう言い切った。
セルジオ「決定力不足って何年言っているんだという話ですよ。もう決定力ではなくて実力不足ですよ」
二宮「実力不足とは手厳しい。要因は何でしょうね?」
セルジオ「直接、関係ないかもしれないけどブラジルと日本のシュート練習の話をしましょうか。ブラジルでプロ時代、僕がやらされたシュート練習は”3本決めたら終わり”というものでした」
二宮「3本決めるって、それ試合だったらハットトリックじゃないですか!」
セルジオ「しかもプロのキーパーが代わる代わる守っているところで3本決めなきゃいけないんですから。日本では”シュート、20本打ったら終わり”と言われた。そりゃあ打つだけなら誰でもできる」
二宮「ジーコは”シュートは枠に置きにいけ”と言ってましたね。”打て”とは言わなかった」
日本は”種目文化”
セルジオ「僕はいろんなスポーツを見ます。サッカーだけじゃなくてね。テニス、バスケットボールとなんでも。でもテニスに行くと”なんで、来たんですか?”って言われる。バスケットだってそう。”なんで? サッカーの人じゃないの?”って。そういうときに日本はまだスポーツ文化ではなくて、種目文化だなと思いますよ」
二宮「競技・種目によって垣根があったら本当の意味での文化は育たない、と」
セルジオ「そうです。種目文化ではなくてスポーツ全体を楽しむ文化が出来上がれば、どのスポーツも強くなると思いますよ。やる方も見る方も垣根がない方がいい。ところで、僕が行っても”なんで来たの?”って言われないスポーツがあります。何かわかります?」
二宮「え、なんでしょう?」
セルジオ「ゴルフ。”なんで?”と言われないのはゴルフに行ったときだけですよ(笑)」
ロシアへ行くよりHUBへ
セルジオ「イングランドでは皆で集まってサッカーを見て、勝ったり負けたり、喜んだり悲しんだり、というワイワイやる歴史があり、そのための場所としてパブがある」
二宮「ビッグマッチのときはサポーターが集まって盛り上がっていますよね。現在、HUBは全国に105店舗あるそうです。日本でサッカーを楽しむ場所として最適じゃないですか」
セルジオ「こうやってワーワーやるのはどこのお店でもできるものじゃない。せっかくそれだけHUBの店舗があるのに、そういう使い方が社会的に伝わっていないところがあるんじゃないかなと思いますね。もったいない」
二宮「ワールドカップもHUBで見た方が面白い?」
セルジオ「やっぱり家で1人で見るのは暗いよ。負けたらなお暗くなる。今回、ロシアに行けない人とか、普段だったらJリーグの試合をスタジアムに行けない人とか、やっぱりこういうパブに行って、そこで友達ができることによって、それが雪だるま式につながりが増えて、そういう人の輪があちこちに出来上がる。それがサッカーを後押しして、日本を強くしてくれるんじゃないかな。そういう感じがするんですよね」
二宮「パブ文化がサッカー文化を育てるわけですね」
セルジオ「そうです。しかもJリーグのスタンドに行く人もそれだけじゃ年間に見る試合が少なすぎるんですよ。ここHUBだったら日本の試合も世界の試合も見られるんだから。ぜひこういうパブ文化が育ってほしいと思いますね」
二宮「日本にはフーリガンもいませんからね」
セルジオ「そうね。あっちだと突然、ビンやカンも飛んでくるから(笑)。それだけはマネしないで」
ゲストのセルジオ氏、そして参加した皆さんのおかげで初回は盛況のうちに終了した。二宮清純スペシャルトーク「ハッピーアワー@HUB」、次回は9月に開催予定だ。スポーツ界のレジェンドをゲストに迎えて、今度はどんな話が飛び出すかお楽しみに。ダイジェストではなくフルに楽しみたい方は会場までぜひ足を運んで下さい。
<まとめ・SC編集部西崎ノブユキ 写真・SC編集部 監修・二宮清純>
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