21日、日本卓球協会は東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで世界選手権団体東京大会の日本代表を発表した。既に内定していた福原愛(ANA)、石川佳純(全農)、松平健太(早稲田大)、水谷隼(DIOジャパン)ら男女各3名に加え、女子は18日の全日本選手権シングルスで快進撃を見せた17歳・森さくら(大阪・昇陽高)、国際舞台の経験十分な平野早矢香(ミキハウス)を新たに選出。男子は丹羽孝希(明治大)と塩野真人(東京アート)が入り、男女各5名の日本代表が決定した。世界選手権は4月28日に開幕し、東京体育館と代々木第一体育館で行われる。
 地元開催の世界選手権まで、あと100日を切り、卓球NIPPONのチーム編成が決まった。前回のロッテルダム大会ではベスト8に終わった女子は福原、石川、平野とロンドン五輪のメンバーに森と田代早紀(日本生命)の初出場組が加わった。

 全日本女子の村上恭和監督は強化本部推薦枠で入った平野と森について、選考基準にある2点に該当したと説明した。

 まず「国際競争力の実績と評価」という点で、世界団体で4度の銅メダルに貢献し、ロンドン五輪でも日本卓球史上初の銀メダル獲得に貢献した平野が選出された。選考会ではあまり結果を残せなかった平野だが「こうして選ばれたのにも、私に役割があると思う。チームをまとめるという意味でも、自分がしっかり盛り上げて、1人1人がいいプレーをできるように頑張りたい」と、ベテランとしてコート内外をサポートする。

 もうひとつは「国際競争力向上への高い潜在性あると思われる選手」。こちらは強烈な両ハンドを武器に、全日本選手権で平野、福原を撃破し、準優勝した高校2年生の森だ。彼女が代表入りの報を受けたのは、前日の昼休み。「私自身、実績もないし、全日本で負けてしまったので選ばれる自信もなかった。連絡来た時はびっくりで、嬉しい気持ちでいっぱいでした」と、はにかんだ。初出場の17歳は「初めの大舞台で緊張すると思いますが、先輩方に色んなことを学びながら、自分のできることを全て出し切りたいです」と抱負を語った。

 ロンドン五輪ではメダルを獲得したものの、世界団体では31年もの間、決勝に進出すらしていない。奇しくもその時も東京開催。地元の歓声を背に福原と石川の両エースは「最高のプレー」を誓った。ロンドンで灯した卓球NIPPONの明るい光を、さらに輝かせたい。

 一方の男子は倉嶋洋介監督が「国際舞台において、最も力のある5名」と誇る陣容となった。松平、水谷、岸川聖也(ファースト)ら5人は、世界ランキング50位に入る。倉嶋監督は「目標はずばり金メダル」と力を込める。

 内定組の3人に丹羽と塩野の2人を追加した。丹羽は全日本選手権でベスト16止まりだったが、倉嶋監督は「彼は世界選手権パリ大会でベスト16。昨年の全日本選手権チャンプ。実績は申し分ない」と世界ランク18位のレフティーを選んだ。もう1人の塩野については「全日本選手権では初戦で敗れてしまったが、昨年1年間、日本人で最も世界からも注目を浴びた」とITTFワールドツアーで2勝するなど国際舞台での活躍を評価した。塩野は日本でも数少ないカットマン。バラエティ豊富な5人で世界に挑む。

 女子は前回のロッテルダム大会で5大会連続の表彰台が途切れたが、男子は3大会連続でメダルを獲得中。とはいえ、いずれも銅メダルで決勝進出は37年果たせていない。その一番の障壁となるのは、6連覇中の中国だ。女子同様に卓球王国を倒さないことには悲願は達成できない。そこでカギを握るのは、松平の存在。現在のITTF世界ランキングは16位だが、昨年の国際大会で世界ランク30位以内の選手4人以上に勝ち、そのうち3人が中国のトップ選手だった。倉嶋監督も、松平にはチームの軸としての期待を寄せている。

 男女ともに打倒中国を誓い、地元での栄冠獲得を目指す。舞台は東京。女子の村上監督が「決勝で中国に勝つことが目標。勝てなくても試合内容で“日本ここにあり”というところを見せたい。リオデジャネイロ、東京に繋がる卓球を見せたい」と意気込むように、これからへと弾みをつける大会にしたい。

【日本代表】
・男子
松平健太(早稲田大) 2大会ぶり2回目
岸川聖也(ファースト) 5大会連続5回目
水谷隼(DIOジャパン) 5大会連続5回目
丹羽孝希(明治大) 2大会連続2回目
塩野真人(東京アート) 初出場

・女子
福原愛(ANA) 6大会連続6回目
石川佳純(全農) 4大会連続4回目
平野早矢香(ミキハウス) 6大会連続6回目
田代早紀(日本生命) 初出場
森さくら(昇陽高) 初出場

※出場回数は団体戦のみの数字