今季の徳島は昨季から大幅にチームが入れ替わります。投手では山口直紘、岩根成海、野手では大谷龍次、神谷厚毅といった主力が退団しました。オリックスから育成選手として入団する東弘明もいません。独立リーグは選手にとって最終ゴールではありませんから、メンバーが変わっていくのは、ある意味で宿命です。
 チームづくりをする上で、まず先発投手の確保は重要になるでしょう。その第一候補として期待しているのは2年目の福岡一成です。昨季は主に中継ぎで22試合に登板し、防御率2.01とまずまずの結果を出しました。

 彼の武器は伸びのあるストレート。先発でもこれをアピールするには、ストレートを生かす変化球の習得が欠かせません。現在、使える変化球はスライダー程度ですから、長いイニングを抑えるにはフォークなどの落ちるボールが必要になるでしょう。得意のストレートを磨くことはもちろん、幅を広げてワンランク上を目指してほしいと考えています。

 新人では3位指名した浅田俊平(神戸国際大付高−神戸国際大)が先発の一角に入ってくるかもしれません。トライアウトで見た際、冬場の悪条件でも140キロ近いストレートが放れる点に惹かれました。身長は176センチながらマウンド上で大きく見え、体の使い方も悪くありません。本格派として育てられるのではないかとみています。

 もちろん、実際のキャンプ、オープン戦を経て、構想は変わるでしょう。海外トライアウトで獲得したダニー・フェルナンド・クルスも長いイニングを投げられ、クイック投法もできるピッチャーだと聞いています。場合によっては中継ぎエースの入野貴大を頭に持ってくることもあるかもしれません。入野にとっても今季はドラフト指名を賭けた勝負の年。どのような起用法がプラスになるのか、本人とも相談したいと思っています。

 リリーフにはBCリーグ・新潟からロバート・ブースを補強しました。先発陣が不確定な中、昨季以上にブルペンはフル回転が予想されます。継投をする上で、軸になるピッチャーは必要不可欠です。ブースは日本の高校(八王子実践高)、大学(亜細亜大)で投げ、マイナーリーグや台湾プロ野球でもプレーしています。新潟では抑え経験もあり、四国でも1イニングを任せられるでしょう。

 またサウスポーは高卒の山藤桂(島根中央高)が入団します。球速はまだまだですが、コントロールはまずまず。言うまでもなく、左腕はNPBでも貴重です。野球への取り組みもまじめそうですから、時間をかけてチームの主力になってほしいと願っています。

 野手に関しては、東の代わりに地元出身のルーキー増田大輝(小松島高−近畿大)がショートを守れますし、神谷の穴も鷲谷綾平(志学館高−桐蔭横浜大−WIEN'94)が入団します。井生広大松嶋亮太吉村旬平大谷真徳らレギュラークラスが残留しましたから、そこに新戦力が加われば攻撃力が大きく落ちることはないでしょう。練習生も含めて競争しながら、チームが活性化することを望んでいます。

 選手の力をより引きだす上で、コーチ陣も一新されました。中島輝士コーチと武藤孝司コーチです。中島コーチは日本ハム時代の先輩。スカウト、指導者としてのキャリアも豊富で、昨年までは台湾プロ野球で監督をしていました。いい兄貴分として選手たちに接してくれることでしょう。

 武藤コーチは近鉄時代のチームメイトです。現役時代は俊足の内野手で、機動力を強化するには適した人材だと感じました。選手の走塁面を鍛え、より相手に嫌がられるチームになればと期待しています。   

 昨季は優勝とNPB行きという2つの目標は達成できたものの、独立リーグ日本一とドラフト本指名は逃し、宿題が残りました。チームが変わっても、目指すべき高みは変わりません。今季も1年間、コーチ、選手と一緒になって頑張ります。皆さんの応援をよろしくお願いします。


島田直也(しまだ・なおや)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
1970年3月17日、千葉県出身。常総学院時代には甲子園に春夏連続出場を果たし、夏は準優勝に輝いた。1988年、ドラフト外で日本ハムに入団。92年に大洋に移籍し、プロ初勝利を挙げる。94年には50試合に登板してチーム最多の9勝をあげると、翌年には初の2ケタ勝利をマーク。97年には最優秀中継ぎ投手を受賞し、98年は横浜の38年ぶりの日本一に貢献した。01年にはヤクルトに移籍し、2度目の日本一を経験。03年に近鉄に移籍し、その年限りで現役を引退した。日本ハムの打撃投手を経て、07年よりBCリーグ・信濃の投手コーチに。11年から徳島の投手コーチを経て、12年より監督に就任。
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