シーズンも佳境を迎えるプロ野球。既に中日の岩瀬仁紀、広島の新井貴浩、埼玉西武の松井稼頭央、独立L・栃木の村田修一などが現役引退を発表し、各球団の来シーズンに向けての準備も着々と進んでいる。ドラフト、トレード、FA……。毎年のように選手が入れ替わり、常に競争に身を置く世界である。この過酷な戦場で生き残るため、それぞれが下した『人生の選択』とは?

 

第1章 平成最後の「人生の選択」

 辻発彦――監督という選択は不意に巡ってきた/「赤ん坊」扱いだった一年目/〝際〟を制する者が勝負を制する/広岡・森・野村・落合、四人の名将の下で/「キャプテン・浅村」という選択/栗山英樹――「四番・中田翔」に代打を送った選択/「一番ピッチャー・大谷」という選択/「清宮はいじらない」という選択/清宮は理想の二番打者!?/異次元の才能・大谷翔平 など

 

第2章 「野球は天職ではない」と言った二人の天才

 前田智徳――天才ゆえの弧高なる思考/「死んだはずの天才」のその後/落合博満――野球は選択肢のひとつでしかなかった/建築家・落合博満

 

第3章 松井秀喜の選択

 プロの洗礼/進化する怪物/広角ホームラン宣言/「コマのように」/「両面待ち」/松井は『あしたのジョー』なのかもしれない、という仮説/「追い込まれている」のではなく「追い込ませている」

 

第4章 あがく男たちの選択

 西本聖――「スタートがいきなり逆境」だった男の選択/野口寿浩――「どうあがいても出世できない」男の選択/新浦壽夫――「早く二軍に落としてくれ」が本音だった/屈辱の最下位の戦犯として/地獄を見た男にはすべてが天国/鈴木尚広――代走でオールスターに出場した男/「足で生きていく」という決断/相手を意識するのではなく、いかに相手に意識させるか

 

第5章 監督たちの選択

 伊原春樹の選択/お人好しの三〇歳を生かす選択/一軍半の選手を大抜擢した理由/選手を人間としてまずとらえる/監督なんてすべて暫定政権/「フィールドアナリスト」という生き方/三原脩――「ノーサイン」という選択/仰木彬――野茂とイチローとの運命の出会い/育てる側と受け入れる側の選択

 

第6章 二番手からの野球人生

 高津臣吾――ゆるい球を投げる決断/相手の狙いが見抜けなかったら負け/元木大介――「プロではやっていけない」と思った男の選択/「くせもの」人生の選択

 

第7章 「遅い球で勝負」する男

「オレの投げた球をあの野郎、素手で捕りやがった!」/「おまえが遅い球を投げるから試合が長くなるんだ!」/「『どうぞ打ってください』って投げるように心がけています」/「一度くらいは一四〇キロの速球を投げてみたい」

 

(廣済堂新書/定価:850円+税/二宮清純著)