広島カープのリーグ4連覇に赤信号が灯っている。8月19日現在、首位・巨人に6.5ゲーム差の3位。ペナントレースも折り返し地点を過ぎてこのゲーム差はきつい。

 

 

 7月21日放送のTBS系「サンデーモーニング」において、巨人OBの張本勲は「セ・リーグは巨人のもんでしょ」とサラッと語っていた。

 

 6.5ゲーム差をひっくり返すのは容易ではない。というのもクライマックス・シリーズが導入されて以降、首位のチームが独走を始めると、置き去りにされたチームは2位、もしくは3位狙いに目標を切り換える傾向が強くなってきているからだ。

 

「昔は2位も6位も一緒と言われていた。ローテーションを崩してでも優勝を狙いに行ったものだが、今そんなことをしてAクラスを逃したら、逆に親会社からお叱りを受けちゃう。ポストシーズンゲームの収入がなくなっちゃいますから」

 

 そう語るのは、在京球団の監督経験者だ。

 

「2位に入ればファーストステージで最大3試合の主催が保障されます。3位でもファーストステージ、ファイナルステージを勝ち上がり、日本シリーズに出場すれば、本拠地で試合ができます。だからペナントレースも後半に入れば、“最低でもAクラス”と監督も“守りの采配”になりがちなんです」

 

 そうした傾向は2016年から18年にかけての広島の3連覇が如実に物語っている。16年は6月5日に首位に立って以降、1度もその座を譲らなかった。2位・巨人とのゲーム差は、実に17.5。17年は5月28日に阪神から首位を奪取すると、そのまま突っ走った。最終的に阪神には10ゲーム差をつけた。

 

 そして昨シーズンは早くも4月24日に首位に立つと、危な気なく逃げ切った。2位東京ヤクルトとのゲーム差は7だった。

 

 以上の事実を踏まえると、令和元年のセ・リーグペナントレースは巨人が逃げ切る可能性が高い。リスクを犯してでも追いかける球団は現れないものか。まだ秋風の季節には早過ぎる。

 

<この原稿は2019年8月12日号『週刊漫画ゴラク』に掲載されたものを一部再構成しました>

 


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