日本野球機構(NPB)は9日、11月12日から開催される「2014SUZUKI日米野球」に臨む日本代表(侍ジャパン)メンバー28名を発表した。既に発表されていた前田健太(広島)、金子千尋、糸井嘉男(ともにオリックス)らの他、2013年WBC代表の牧田和久(埼玉西武)、内川聖一、松田宣浩(ともに福岡ソフトバンク)らが選ばれた。昨年の台湾遠征で代表入りした井納翔一(横浜DeNA)、菊池涼介(広島)、銀次(東北楽天)らもメンバー入りし、新たに大谷翔平(北海道日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、小林誠司(巨人)、山田哲人(東京ヤクルト)、柳田悠岐(ソフトバンク)などが加わった。球団別ではソフトバンクとオリックスが5名ずつで最多。中日からは唯一1選手も選ばれなかった。
(写真:「勝ちに行くオーダー、作戦を考える」と抱負を語った小久保監督)
 また来日するMLBオールスターメンバーも追加発表され、7月にメジャー昇格して4勝をあげた和田毅(シカコ・カブス)がメンバーに選ばれた。その他、エバン・ロンゴリア(タンパベイ・レイズ)、エリク・アイバー(ロサンゼルス・エンゼルス)らが参加する。

 現在の実力に、将来性を加味した陣容だ。
「2017年WBCに向けての強化試合」
 今回の日米野球をそう位置づける小久保裕紀監督が選んだメンバーは、「現役バリバリのベテラン」と「若くて経験を積ませたい選手」をミックスしたかたちになった。

「(WBCは)出た人でないと分からないものがある。選手同士で、そういうものを意見交換してもらいたい」と昨年のWBCメンバーを7名選出。昨年の台湾遠征に参加した選手も11名入り、侍ジャパンとしての継続性も持たせた。

「経験を積ませたい選手」として指揮官は山田と柳田の名前をあげた。山田は4年目の今季、開幕からレギュラーを張り、ヒットを量産。藤村富美男が保持していた日本人右打者最多安打記録を64年ぶりに塗り替え、シーズン193安打を放った。29本塁打とパンチ力もみせ、今回選ばれたメンバーでは4番候補の中田翔(日本ハム)の本数(27本)をも上回っている。一方の柳田は今季、全試合に出場してリーグ3位の打率.317を残し、リーグ優勝に大きく貢献した。

「代表での経験をしっかりと自分のものにして、今後の野球人生にいかしてほしい」
 小久保監督は若手のメンバーに大きな期待を寄せる。自身もプロ入り3年目で日米野球のメンバーに選ばれ、カル・リプケン・ジュニアやバリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、ペドロ・マルチネスといった名だたる面々と戦った。「レベルが高いなと感じた。一番最初に出た日米野球が野球人生にプラスになった」と指揮官は振り返る。

 そんな若手の中で、MLBサイドからも注目を集めそうなのが二刀流の大谷だ。今季は、あのベーブ・ルース以来となるシーズン10勝&10本塁打以上を達成。投げては日本人最速となる162キロの球速を記録した。日米野球でも投打にわたる活躍をファンは楽しみにしているが、小久保監督は「基本的にはピッチャーとして考えている」と二刀流は今回に関しては“封印”となる見込みだ。

 この日米野球ではルールもWBCにのっとり、ピッチャーには球数制限が設けられる。投手陣は「1試合に先発が2人必要」と西野勇士(千葉ロッテ)と高橋朋己(西武)以外は先発投手が選ばれた。また内野手出身監督らしく、「ショート、セカンドはチーム編成上、大事」とショートの坂本勇人(巨人)、今宮健太(ソフトバンク)、セカンドの菊池、山田と二遊間は厚い布陣だ。

 過去の日米野球では、オフ期間で体のケアや休養を優先して参加を辞退する選手もいたが、今回は小久保監督によると、「(選びたくても選べなかったケースは)ほとんどなかった」という。「代表のユニホームを着て戦いたいという選手が増えてきている」と選手の意識の変化を感じている。

 MLBオールスターチームはジャスティン・モーノー(コロラド・ロッキーズ)、ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)と今季の両リーグ首位打者が名を連ね、3割30本塁打100打点以上の成績を10年連続で残したアルバート・プホルス(ロサンゼルス・エンゼルス)、6年連続打率3割をマークしているロビンソン・カノ(シアトル・マリナーズ)と強打者揃いだ。

「日本はピッチャーのレベルの高さで(WBCの)2大会を優勝した。今の日本のピッチャーではトップの選手を選んだ。しっかりとゲームをつくってもらうことが大事になる」と小久保監督は勝負のポイントをあげる。投手力を中心にした守りの野球で、侍ジャパンはパワー自慢のメジャーリーガーたちをねじ伏せる。 

 侍ジャパンのメンバーは以下の通り(数字は背番号)。

<監督>
90小久保裕紀(元ソフトバンク)

<コーチ>
73奈良原浩(ヘッドコーチ、埼玉西武守備・走塁コーチ)、89鹿取義隆(投手コーチ、第1回WBC日本代表投手コーチ)、41稲葉篤紀(打撃コーチ、日本ハム)、88矢野燿大(バッテリーコーチ、元阪神)、87仁志敏久(内野守備・走塁コーチ、元巨人)、83村松有人(外野守備・走塁コーチ、ソフトバンク3軍外野守備・走塁コーチ)

<投手>
11岸孝之(西武)、12松葉貴大(オリックス)、14則本昴大(楽天)、15井納翔一(DeNA)、16大谷翔平(日本ハム)、17藤浪晋太郎(阪神)、18前田健太(広島)、19金子千尋(オリックス)、21西勇輝(オリックス)、26西野勇士(ロッテ)、29小川泰弘(ヤクルト)、35牧田和久(西武)、43高橋朋己(西武)

<捕手>
10小林誠司(巨人)、22伊藤光(オリックス)、37嶋基宏(楽天)

<内野手>
2今宮健太(ソフトバンク)、3松田宣浩(ソフトバンク)、4菊池涼介(広島)、6坂本勇人(巨人)、13中田翔(日本ハム)、23山田哲人(ヤクルト)、33銀次(楽天)

<外野手>
1内川聖一(ソフトバンク)、7糸井嘉男(オリックス)、9丸佳浩(広島)、44柳田悠岐(ソフトバンク)、60中村晃(福岡ソフトバンク)