石川投手陣vs.香川強力打線 〜独立リーグ・グランドチャンピオンシップ〜
“もう1つの日本シリーズ”の幕がいよいよ開く。今年の独立リーグ王者を決定する史上初の試み「日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ」が20日、第1戦を迎える。対戦するのは四国アイランドリーグを2年連続で制した香川オリーブガイナーズと北信越BCリーグ初代チャンピオンに輝いた石川ミリオンスターズ。香川と石川を舞台に5試合制で繰り広げられる熱戦を展望してみた。香川オリーブガイナーズ
★今季成績
55勝23敗12分 勝率.705(前後期計)
チーム防御率 2.39(1位)
チーム打率 .259(1位)
投打ともに充実 注目はサブマリン・塚本
今季の香川は前後期シーズンとも1位通過。リーグチャンピオンシップも1つの星も落とさず、2位・愛媛を下した。四国アイランドリーグの中でもチーム力は頭ひとつ抜けている。
投手陣は先発から抑えまでコマが揃う。1、2戦でいずれかの先発が確実な松尾晃雅は右の本格派。140キロ台後半のストレートにスライダー、カーブで打者から次々と三振を奪う。今季は15勝3敗、防御率1.72、159奪三振で最多勝、最多奪三振の2冠に輝いた。
もう1人の先発の柱は塚本浩二。今季2ケタ勝利をあげた香川のサブマリンは、14日のフェニックス・リーグで北海道日本ハムを6回1失点に封じるなど、NPBスカウトの評価が高まっている。BCリーグにはあまりいないタイプだけに、慣れるまでは攻略が難しいだろう。(写真:安定感が増した塚本)
さらに接戦になれば、後ろには亮寛(元ロッテ)、天野浩一(元広島)と元NPBコンビが控える。決して相手を完璧に封じているわけではないが、経験から要所を締める術を心得ている。
打線も切れ目がない。なんといっても強力なのはクリーンアップ。堂上隼人、智勝、丈武といずれも今秋のドラフト候補が顔をそろえる。今季の打率はいずれも3割を超え、勝負強い。打撃のみならず、智勝と丈武は今季30盗塁以上を決めており、機動力も使える。
クリーンアップにつなぐ2番には盗塁王(40個)三輪正義、後ろを打つ6番にはオーストラリア代表の長距離砲、トム・ブライスとタイプの異なるバッターが座る。リーグ3年目を迎え、各選手のレベルは確実に上がってきた。NPB2軍相手に単独チームで勝利するなど、それは結果に出ている。実戦経験の差は大きなアドバンテージだ。
チームを今季から率いる西田真二監督は「独立リーグの先輩格として、勝って当たり前というプレッシャーがある。主力メンバーが直前までフェニックス・リーグに参加しており、コンディションの維持がポイント。いつもどおりの野球をしてくれれば負ける気はしない」と語る。四国のみならず、全国に名をとどろかせるチームへ――。今回、独立リーグチャンピオンの称号を得て、その強さをアピールしたいところだ。
石川ミリオンスターズ
★今季成績
43勝22敗7分 勝率.662
チーム防御率 3.02(1位)
チーム打率 .266(3位)
蛇澤が軸の先発3本柱と抜群の機動力で勝機をつかむ!
北信越BCリーグ初代チャンピオンに輝いた石川ミリオンスターズは、リーグトップのチーム防御率3.02を誇る、投手を中心とした守りのチームだ。特にエースの蛇澤敦を軸に渡辺孝矢、左の都卓磨と先発には3本柱が揃い、後ろには守護神・高田泰史が控える投手陣は、抜群の安定さを誇る。
第1戦での先発が決まっている蛇澤は今季25試合に登板し、15勝4敗、防御率2.42、奪三振120とリーグを代表とするエースに成長した。ストレートは130キロ台前半と決して速くはないが、キレのあるスライダーと最も自信を持つというシンカーを織り交ぜた巧みな投球術で打者に的を絞りきらせない。また15勝のうち9試合が完投とスタミナも抜群だ。加えてフィールディングや牽制は「NPBでも十分に通用する」と長冨浩志コーチのお墨付きを得る。
8月に行われた「日本独立リーグ・ベストプレーヤーズマッチ」では丈武に本塁打を打たれるなど、香川の主軸バッターに長打を打たれている。しかし、「自分の力がどこまで通じるのか」と、ストレート勝負を挑んだ結果。決して、本来のピッチングではない。それだけに真剣勝負の明日はどんなピッチングを見せてくれるのか、楽しみだ。
一方、打線は破壊力はないものの、機動力をいかし、数少ないチャンスを確実にモノにするソツのない攻撃を得意としている。1番・内村賢介はリーグ一の俊足の持ち主。選球眼もよく、出塁率は高い。2番にはチームトップの打率を誇る山出芳敬、さらにチャンスに強い3番・三宅翔平、4番・深澤季生、一発のある松岡慎弥と続く。ラストバッター・佐野憲一は内村に次ぐリーグ2位の盗塁数をマークする足があり、上位打線につなげるためにも大事な存在だ。相手投手としては佐野、内村と続く打線は要警戒だろう。
「短期決戦は勢いのある方が勝つ。相手に勢いづかせないためには先取点を取られないこと、最小失点に抑えることが重要。香川のクリーンアップは強打者揃いと聞いている。しかし、向かっていく姿勢を忘れず、内角をどんどん突いて積極的なピッチングをしてもらいたい。投手陣がきっちり抑え、相手の隙につけ入るような攻撃ができれば勝てる」とは長冨コーチ。守りからいいリズムを作り出し、自分たちの展開にもっていけば勝機は見えてくるはずだ。
BCリーグは今年が初年度。「創立3年目のアイランドリーグに胸を借りるつもりでぶつかるだけ」と長冨コーチが語るように、石川にプレッシャーはない。いつものように基本を重視した金森野球を思いっきりやるだけだ。
スピード感あふれる野球に期待 〜チャンピオンシップみどころ〜
実力的には、やはりリーグ3年目の香川が優位か。8月に両リーグの選抜メンバーが対戦した「日本独立リーグ・ベストプレーヤーズマッチ」では、香川の丈武が蛇澤、高田、都からそれぞれホームランを放っている。智勝も高田から満塁弾を打った。(写真:打って走れる香川の4番、智勝)
「石川の投手陣が香川のクリーンアップをいかに抑えるか。これがすべてと言ってもいいでしょう」
昨年まで香川の監督を務め、現在は石川球団運営部長の芦沢真矢氏は今回のポイントをこう指摘する。
石川はチーム打率がリーグ3位、本塁打数12はリーグ最少と攻撃陣は決して強力ではない。松尾、塚本ら香川の投手陣から大量得点を奪うことは難しいだろう。「石川が勝機を得るには、接戦に持ち込むこと」(芦沢氏)だ。
両リーグの1年目を現場でみてきた芦沢氏の目には「BCリーグはまだまだ四球、エラーが失点につながるパターンが多い」と映る。両チームともミスは許されないが、特に石川はもったいない失点を防ぎたい。
石川にとって追い風なのは戦い慣れたホームでの開幕であること、優勝決定から間がなく、チームに勢いがあることだ。「松岡が最後の5試合ですべてホームランを放ったり、予想外のバッターから一発が出たり、波に乗っています」と芦沢氏も雰囲気のよさを実感している。石川としてはなんとか第1戦をモノにして、流れを引き寄せたいところだ。
勝敗とともに楽しみなのは、両チームの機動力対決。香川は171個(1試合平均1.9個)、石川は94個(同1.3個)とリーグトップの盗塁数を誇る。NPBとは一味違ったスピード感あふれる野球がみられるだろう。
「できれば第5戦までもつれてほしいね」(芦沢氏)。どちらが勝つにしても四国、北信越の両ファンが手に汗握るチャンピオンシップになることを望みたい。
<グランドチャンピオンシップ概要>
【試合日程】
★北信越ラウンド
第1戦 10月20日(土) 石川県立野球場 19時
第2戦 10月21日(日) 石川県立野球場 19時
(予備日程 10月22日(月) 石川県立野球場 18時30分)
★四国ラウンド(funky timeシリーズ)
第3戦 10月27日(土) サーパススタジアム 18時
第4戦 10月28日(日) サーパススタジアム 18時
第5戦 10月29日(月) サーパススタジアム 18時
【チケット】
★北信越ラウンド 大人:1,500円、小・中学生:500円
★四国ラウンド 大人:1000円、小・中学生:500円
※いずれも全席自由、当日券のみ
【ルール】
・試合は9回まで。9回を終わって同点の場合、延長戦は行わず、引き分けとする。
・先に3勝、またはチャンピオンシップの勝ち越しを決めたチームがグランドチャンピオンとなり、以降の試合は行わない(5試合を終えて2勝1敗2分などの場合も勝ち越したチームが優勝。また2勝2敗1分など勝敗が並んだ場合は両チーム優勝)。