13日、アジア代表浦和レッズ(日本)は決勝進出をかけて欧州代表ミラン(イタリア)と横浜総合国際競技場で対戦する。“挑戦する”という表現がふさわしいだろう。10日の準々決勝セパハン(イラン)戦で快勝した勢いをミラン戦に持ち込みたい。
 セパハン戦は、実に公式戦5試合ぶりの勝利だった。結果はもちろんのこと、内容も悪くなかった。ボールを支配し、中盤のプレスも効果的。左サイドを切り裂いたMF相馬をはじめ、全体が伸び伸びとプレーしていた。

 しかし、不調の相手に助けられた面も大きい。試合後、セパハンのルカ・ボナチッチ監督が「今夜はいつものセパハンではなかった。病気のチームだ。皆が健康な状態であれば、全然違うチームなのだが……」とコメントしたように、主力選手数人が体調不良だったセパハンは明らかに運動量が少なかった。それが、浦和がゲームを優勢に進めることができた理由のひとつだった。

 今度の相手は欧州屈指の強豪ミランである。“病気”のセパハンに勝ったからといって、兜の緒を緩めることはできない。加えて、ミランはベストの状態で浦和戦に臨むはずだ。これまではセリエAや欧州チャンピオンズリーグで週に2試合のペースだったが、今回は大会1週間前に来日して入念にコンディションを整えている。

 セパハン戦とはうって変わって、浦和は守勢を余儀なくされるだろう。真っ向勝負を挑めば、勝ち目はない。どれだけ試合をクローズすることができるか。言葉を変えれば、どれだけミランに本来のサッカーをさせないか。

 その意味で鍵を握るのが、ミランの大黒柱FWカカへの対応だ。ポジション的にボランチのMF鈴木、もしくはMF阿部がマッチアップする可能性が高い。しかし、1人で抑えられる相手ではない上、トップギアに入ってしまえば手がつけられないだろう。複数で厳しくマークして、前を向かせないこと、スピードに乗る前に潰すことを徹底したい。

 カカは昨季のCLでは10ゴールを記録した。同大会でFWインザーギが4ゴール、FWジラルディーノとMFセードルフが2ゴールということを考えれば、如何に危険な選手であるかがよくわかる。今季のセリエAでもチーム最多の7ゴールを挙げている。カカを封じることができれば、ミランの攻撃力は半減するはずだ。

 また、自陣ゴール近くで極力、ファウルを犯さないよう気をつけたい。ミランにはMFピルロという世界屈指のプレースキッカーがいる。場所が悪ければ、即失点につながってしまう。守勢の展開が続けば、つい不用意なファウルを犯してしまうものだが、集中力を高く保ちたい。

「ミランは欧州、いや世界でも最高のクラブの一つ。だが、もちろん我々にも道はある。勝つ可能性がないと思うのなら、家に帰った方がいい」
 12日の前日会見で浦和のオジェック監督はそう語った。全力で戦い、ジャイアントキリングを狙ってほしい。

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