11月18日(日)、J2第50節の愛媛FC対サガン鳥栖が、ホーム(愛媛県総合運動公園陸上競技場)にて行われた。11月17日現在、愛媛FCは4連敗中。下位チームに星を取りこぼすなど、不振が続いている。過去4戦で1得点のみということで、決定力不足を指摘する厳しい声も多い。
(写真:相手陣内でシュートチャンスをうかがう愛媛)
 寒風吹きすさむ、本日の運動公園。時刻が19時をまわり、サガン鳥栖のボールで試合がスタートした。愛媛FCは果敢なサイド攻撃からセットプレーのチャンスをつかむなど、幸先の良いスタートを切った。しかし、前半7分を過ぎるあたりから、相手チームによる前線からの早いチェックに手を焼き、劣勢に立たされる場面が続いた。

 前半11分、相手にコーナーキックのチャンスを与え、簡単に失点を喫してしまう。連敗中で自信を失いかけている愛媛にとって、早い時間帯に先手を取られる展開は痛い。
 前半18分、センターサークル付近で、MF宮原裕司選手が相手のパスをカット。ボール拾ったFWジョジマール選手が、左サイドのMF赤井秀一選手にパスを送る。そのまま、赤井選手が、敵陣中央に向けて、ドリブルでボールを運ぶ。

 赤井選手は、前線に走り込んでいた宮原選手にパスを送り、その宮原選手はダイレクトパスでFW内村圭宏選手とワンツーを行う。宮原選手がゴール前に向けて供給したロビングのラストパスは相手DFに弾かれるも、こぼれたボールを、ペナルティアークまでオーバーラップしてきていたDF星野真悟選手が拾って、強烈なミドルシュートを放った。しかし、相手DFにコースを変えられ、ゴールマウスをとらえることはできなかった。
 それでも愛媛の素晴らしい連係による攻撃に対し、一気に会場が沸きあがった。先取点を奪われても、落ち込まずに奮起する選手たちの意地が感じられるプレーの連続だったのだ。

 前半21分、右サイドでDF森脇良太選手とMF大山俊輔選手のコンビによる攻撃から、コーナーキックのチャンスを得た。大山選手からのショートコーナーを受けた森脇選手が宮原選手とパス交換をして、ペナルティエリアに陣取る内村選手に向け、鋭いパスを供給。ペナルティエリアに向けて、攻めあがった森脇選手が再度ボールを受け取り、相手DFを背負いつつ、フリーの宮原選手へとボールを戻す。宮原選手が右サイドから狙い済ました低い弾道のアーリークロスを、ゴール前に向けて供給すると、ゴール前に陣取ったDF近藤徹志選手が、ジャンプ一番、相手DFに競り勝ち、ヘディングシュートを放つ。ボールはゴールマウス左上隅に向けて飛ぶ。相手GKもジャンプして手を伸ばすが届かず、見事にゴールイン。劣勢に立たされながらも、愛媛FCが短時間で追いついた。サポーターも喜びを爆発させた。

 その後も一進一退の攻防が続くが、前半は1−1で終了。後半の立ち上がり、愛媛はボールをキープできているものの、前線にボールを運ぶことができない、もどかしい展開が続く。その矢先の後半4分、サイドが手薄になった一瞬の隙を突かれ、ゴール前の対応ができないまま、相手にあっさりと2点目を献上してしまった。立ち上がり間もない失点のプレッシャーが愛媛の選手たちにのしかかる。

(写真:愛媛が果敢なオーバーラップからチャンスをつくる) 愛媛は反撃に向けて、後半30分、前節で4ヶ月ぶりに怪我から復帰したFW田中俊也選手を投入する。
 後半42分、敵陣中央にて宮原選手がキープしたボールを、大山選手が受け取り、ライン裏のスペースに向けて、絶妙のフィードボールを供給。このボールに追いついた田中選手が、ペナルティエリア内で相手DFをかわしつつ、シュート体勢に入るが、かわしたはずの相手DFに足を削られ、惜しくも得点ならず。

 その後も攻勢に出る愛媛FCだったが、ロスタイムを使い切り、ついにタイムアップとなった。1−2で愛媛FCの惨敗。悔しい5連敗となってしまった。

 試合後には、サポーターから「もっと、シュートを打ってくれ!」という悲痛な叫びも聞こえてきた。相手のシュート数12本に比べ、愛媛のシュート数は半分の6本。やはり寂しさを感じる。評価できる部分は、相手に先取点を奪われたものの、奮起して10分後に取り返せたところだろうか。

 また、田中選手の久しぶりのホームゲーム出場という明るい話題もある。残りゲームでの活躍が楽しみとなった。長かった2007シーズンも残り2試合。今年の総決算として、上位チームを相手に全力で戦い抜き、チームとして何かを得て、来年につなげて欲しいと感じている。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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