2月14日、Jリーグは『2007Jリーグ観戦者調査分析報告会』の一部を報道陣に公開した。同リーグは、2010年までに総入場者数1100万人を目指す『イレブンミリオンプロジェクト』を推進している。
 Jリーグの観戦者調査分析は92年に始まった。2007年の調査は6月16日から10月21日までスタジアムにおける11歳以上の観戦者を対象に行われた。

 調査の結果、様々なデータが明らかとなった。
 リーグ全体の観戦者の平均年齢は36.5歳。毎年、約0.5歳ずつ上がる傾向にある。2001年に全体の5割だった30歳以上の客層は2007年には7割に増加した。その一方で、Jリーグ黎明期(93〜95年)からスタジアムに足を運んでいるファンは全体の21%にまで減っている。
 男女比の割合も変化している。当初は7対3だったが、現在は6対4と女性の観客が多くなっている。

 観戦頻度を見ると、J1年間34試合中14試合以上に訪れる『ヘビーユーザー』の数が増加傾向にある。05年の39.3%に対して、06年は43.3%。Jリーグでも屈指の熱狂的なサポーターで知られる浦和レッズにいたっては6割以上が『ヘビーユーザー』である。アクセス時間、シーズンチケットの購入度などを含めて考えると、「スタジアムの近くに住み、単独での来場が多く、金銭的な余裕があってシーズンチケットを保持している」という『ヘビーユーザー』の像を浮かび上がってきた。逆に、初めてスタジアムに訪れる『Jデビュー組』は05年の10.6%から06年の8.7%と減っている。
 
 講師役を務めた仲澤眞氏(筑波大学大学院准教授)は「データではヘビーユーザーへの依存傾向が強いと見る向きがあるが、その一方で安定的な顧客を確実に育てているとの見方もできる。クラブ側の営業の成果とも言えるだろう。ただ、その一方でスタジアムに初めて訪れる人の数をどうやって増やすか。いかにコアなファンがいても、年間総動員数が伸びていないならば、プロモーションなどを見直す必要がある」と分析した。

 Jリーグに関する情報を入手する手段としては、クラブ公式HPや新聞、サッカー雑誌などをおいて、テレビが最も利用されていることが明らかとなった。中でも『ライトユーザー』のテレビ利用の割合が多い。Jリーグの羽生英之事務局長は「イメージとして、地方のクラブはローカル局で地元のJクラブを扱う番組が多いけれど、都会のクラブは(テレビの影響は)そうでもないと思っていた。しかし、数字で見ると大都市でも(テレビが情報入手の手段として)50%を超えているクラブが数多く存在する。ここを着眼点として、議論した方がいいのかなと思う」と語った。

 また、日本代表とJリーグの関係も俎上に上がった。興味深いのは関東開催の代表戦観戦者と地方のそれとではJリーグに対する考え方が違うこと。「なぜJリーグを見に行くのか?」という問いに対し、関東開催の観戦者は「代表に関心があるからJリーグを見に行く」と答える人が多く、地方開催の観戦者は「地元にJリーグがあるから」との意見が多数派だった。
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