第94回選抜高校野球大会の決勝戦が31日、兵庫・阪神甲子園球場で行われ、大阪桐蔭が近江(滋賀)を18対1で下し、4年ぶり4度目の優勝を飾った。

 

◇決勝

 大会新のチーム1大会11本塁打

大阪桐蔭(大阪)

18=113|014|440

1=000|010|000

近江(滋賀)

本塁打 (大)松尾2ラン、田井ソロ、海老根3ラン、谷口満塁

 

 

 大阪桐蔭の強力打線が、決勝でも歴史をつくった。28日の準々決勝(対市和歌山)で、1984年のPL学園に並ぶ、センバツ1試合最多6本のアーチをかけた大阪桐蔭打線。今大会チーム7本塁打で臨んだ決勝で、またしても大記録を打ち立てた。

 

 1回表、マウンドに上がったのは近江のエース山田陽翔だ。身長175センチ、体重77キロの右腕は、この日まで4試合すべてを一人で投げ抜いてきた。大阪桐蔭はいきなり先制のチャンスを迎える。相手の失策で無死三塁とすると、打席には2番の谷口勇人。カウント1-1からインハイの直球を思いきり引っ張ると、打球は一、二塁間を破りライトへ。三塁ランナーの伊藤櫂人が悠々と生還し、幸先よく先制する。

 

 2回表に1点を追加した大阪桐蔭は、3回表、無死一塁で3番の松尾汐恩に打席が回る。準決勝で、甲子園2季連続となる本塁打を放っていたスラッガーは、真ん中付近の甘いストレートをフルスイング。快音が球場に響くと、打球はライナーでレフトポール際に飛び込んだ。これで4対0。松尾が右拳を突き上げ一塁を回る頃、打たれた山田は首を横に振りながら交代を求めるジェスチャーをした。今大会、山田が投じた594球目だった。

 

 その後、大阪桐蔭は近江の2番手・星野世那に4、5番を打ち取られたものの、2死走者なしで6番・田井志門が魅せた。フルカウントから高めの直球をうまく引きつけ振り抜くと、打球はセンターバックスクリーンへ。点差を5点に広げる一発は、84年に桑田真澄、清原和博の「KKコンビ」を擁したPL学園の1大会最多記録を超える、今大会9本目のホームランだった。

 

 大阪桐蔭は最後まで攻撃の手を緩めなかった。6回表に5番・海老根優大の3ラン、8回表には谷口の満塁ホームランが飛び出し、計16安打18得点の猛攻。チーム本塁打記録を11に伸ばした。投げては先発の2年生左腕・前田悠伍が7回1失点(自責0)の好投で、補欠校からの繰り上がり出場だった相手の快進撃をストップ。近江を力でねじ伏せ、大阪桐蔭が4年ぶりに紫紺の優勝旗を手にした。

 

(文/古澤航)