田崎健太

ノンフィクション作家

第12回 ドゥンガの知られざる一面<Vol.1>

 本当は、8月の終わりに僕は北京に行くはずだった。  サッカー男子ブラジル代表が決勝まで進んだ場合、僕はドゥンガのマネージメントを手がける人間と一緒に試合を見に行く約束をしていた。切符の手配はもちろん、ブラジル代表監督のドゥンガに頼むことになっていた。

第11回 ロベルト・バッジオ、“独占取材”の夜(後編)

 ロベルト・バッジオは、報道陣に一斉に取り囲まれた。 「ファブリツィオ、行こう」  ここで彼を捕まえるしか方法はないのだ。  ファブリツィオは、報道陣をかき分け、僕は後に続いた。イタリア人記者はなぜか道をゆずってくれた。そして、バッジオの顔が見えた。

第10回 ロベルト・バッジオ、“独占取材”の夜(中編)

 練習が終わると次々とパルマの選手が、練習場所から出てきた。フリスト・ストイチコフの姿が見えたので、手を挙げた。彼は頷くと僕たちのところにやってきた。 「ジーコは僕のことをなんて言っていたんだい?」  ストイチコフは上機嫌だった。

第4回 「広山望という生き方」(後編)

 2004年3月の最後の土曜、僕はフランス人の友人であるマニュエルが運転するシトロエンのワゴンに乗っていた。行き先はモンペリエのBチームの試合会場。  道の左右には葉が全て落ちた木々が、青い空を突き刺すように生えていた。夏になれば、青々とした葉が茂っているのだろうが、この時期は寒々しい印象を与えた。

第1回 「神様ジーコの憂鬱」(前編)

 2007年2月、トルコ・イスタンブール。タクシーから見える街並みは、僕の想像とは全く違っていた。  トルコの商業都市であるイスタンブールはアジアと欧州の文化が交わる場所と呼ばれている。アジア的な混沌とした街を僕は思い浮かべていたのだが、実際は高層ビルの間からタマネギの形をしたモスクが顔を覗かせていることを除くと、フランスやスペインの欧州の大都市と変わらなかった。

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