4月12日(日)、2015シーズンの四国リーグを戦うFC今治を応援するため、今治市桜井ふれあい広場サッカー場を訪れた。
 2009年から2011年の間、愛媛FCの下部組織として「愛媛FCしまなみ」の名前で活動していた現FC今治。その2009シーズンの四国リーグ開幕戦からコールリードと太鼓で応援していたこともあり、同チームには、個人的な思い入れも感じている。
(写真:満員となったホーム開幕戦の観客席)
 今や愛媛FCとは別組織になり、FC今治というクラブ名で、オーナーも元サッカー日本代表監督の岡田武史さんへと引き継がれ、様相も大きく変わってしまったのだが、いまだに親しい選手たちやスタッフの方も在籍している。また、現サポーターの方々とも古くから親交があるなど、その取り組みやリーグ戦での成績が気にかかるチームである。

 所属選手の中でも馴染みが深いのは、長年、愛媛FCを支えてくれたMF赤井秀一選手。それから、愛媛FCの育成組織の生え抜きで、トップチームでも活躍していたFW岡本剛史選手。また、愛媛FCジュニアユース出身のMF松平京選手にも面識があり、その活躍に期待している。

 この日は、FC今治にとって新体制となり、初めてのホームゲーム。その注目度は高く、試合開始は13時30分なのだが、朝早くから大勢のマスコミの方々が来場し、大変な賑わいを見せていた。注目を浴びるだけでなく、地元からも躍進が期待されているだけに、ホーム開幕戦を是非とも成功させたい。今回は、ホームゲーム・イベントにも力を入れている様子だった。

 試合前の午前中、会場のピッチには今治市内のアマチュアチームやジュニアユース年代のチームが招待され、新オーナーの岡田さん指導の下、サッカークリニックやミニゲームなどの楽しい企画も行われていた。また、会場外には、飲食販売店やグッズ売り場が設営され、クラブとしての充実ぶりが窺える。
(写真:新オーナー岡田さんによるサッカークリニック)

 時刻が正午を過ぎる頃には、一般の観客を乗せた車やバスが、続々と会場の駐車場に到着し、大勢の人々が行列をなして入場口へと詰めかけ、みるみるうちに観客席は、人の波で埋まっていった。桜井ふれあい広場サッカー場の固定スタンド席は、500名程を収容する規模だが、それをはるかに上回る900人近くの観客が、この日の会場を訪れたのである。そのため、ピッチ上のタッチライン際には、仮設の芝生席が設けられ、スタンド席に座れない観客の方々が誘導され、腰を下ろしていた。

 四国リーグの一会場が満席になるなんて、本当に驚きである! 愛媛FCや愛媛FCしまなみを通じて四国リーグを17年近く観戦してきたが、通常の公式戦にて、こんな光景を見たのは初めてのことである。昨年、同会場にて当時のFC今治が集客活動を行って、やっと200人ほどを動員できたレベルだったのに、新体制になっただけで、こんなにも状況が変化するものかと唖然としてしまった。

 今回は、クラブのスポンサーでもある芸能事務所「LDH」に所属する人気グループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のメンバーも応援のため会場に駆け付けており、その方々を目当てに訪れているファンや、お客さんも少なくはないのだろうが、改めて岡田武史さんのパワーを感じた瞬間でもあった。

 試合(四国リーグ2015第2節)は、多度津FCとの対戦だったが、エース・ストライカー岡本選手が先制点を含むハットトリックの活躍などもあり、スコア8−0でFC今治が大勝利を収めた。

 チームが勝利し、会場も良い雰囲気だったのだが、試合後、岡田さんやEXILEのメンバーが観客席の前に挨拶に来られた時、多数の観客が進入禁止のロープを越え、ピッチ上に雪崩れ込むという危険なシーンが見受けられ残念に感じた。駆け付けた係員によって制止され、ことなきを得たようだが、一瞬ヒヤッとする状況だった。

 普段、サッカー観戦や応援をしている私たちにとっては、ピッチに入らないことは当然のマナーであると考えている。運営ルールにも定められ、サポーターとしても日頃から心得ていることなのだが、今回、おそらくは初めてのサッカー観戦ということで来場され、知識のない方もおられたのであろう。

 今後は、FC今治の立派なサポーターとして、サッカーを観戦する際のルールやモラルを勉強し、マナーを身につけてもらいたいと思う。また、運営サイドも動員数を予測し、必要に応じて警備員を配置したり、観戦マナーを会場でもアナウンスするなど、安全に試合を楽しめる環境を整えてもらいたいものだ。せっかく新体制となり、地域クラブとして順風満帆の船出となったのだから、水を差すような事態を招かないようにしていただきたい。

 思いのほか、来場者が多く、ハプニングもあったが、この日のホーム開幕戦の雰囲気は素晴らしいものだった。今季の目標である「JFL昇格」への航海は、ライバルも多く存在し、厳しく険しいものになるかもしれないが、この新体制を地域とともに強固なものにできれば、きっと荒波も乗り越えられることだろう。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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