サッカー・パリ五輪アジア最終予選を兼ねるAFC U-23アジアカップ・グループBの日本代表対中国代表の一戦が16日、カタール・ドーハで行なわれ、日本が1対0で勝利した。試合は前半8分、MF松木玖生(FC東京)の得点で先制した。しかし17分にDF西尾隆也(セレッソ大阪)が相手選手への肘うちによるレッドカードで退場した。数的不利の中、虎の子の1点を守り切り、日本は喉から手が出るほど欲しかった勝ち点3を得た。

 

 西尾、挑発にのり一発退場(ドーハ)

日本代表 1-0 中国代表

【得点】

[日] 松木玖生(8分)

 

 16チームが4グループに分かれ、各組上位2チームがノックアウトステージ(トーナメント)に進出する。上位3チームにはパリ五輪の出場権が与えられる。3位決定戦で敗れると、アフリカ4位・ギニア代表との大陸間プレーオフに回る。

 

 先制したのは日本だった。前半8分、敵陣右サイドで右サイドバック・関根大輝(柏レイソル)と右サイドハーフ・山田楓喜(東京ヴェルディ)でパス交換。山田が左足でクロスを供給すると、これに松木が飛び込みながら左足で合わせた。

 

 このまま順調に試合を進めたかった。17分、ボールと関係のないところで西尾が相手に肘うちを見舞い、VAR(ビデオ判定)結果、一発退場となった。映像では相手選手が先に西尾に体当たり気味に当たってきたように映る。

 

 熱くなり報復に走った代償は大きい。AFCの倫理規定によると、肘うちなどの乱暴な行為による一発退場の場合、「3試合または最低2カ月の出場停止処分」が科される。映像検証の結果などで「先に相手が西尾に当たってきた」とAFC側が判断し、処分を軽減するなどの”特例”がない限り、西尾は最低でも準々決勝まで試合に出場できない。

 

 38分、中国のMFタオ・チャンロンがエリア外右から左足を振り抜く。強烈なミドルは左上のバーを叩いた。42分には日本から見て右サイドからアーリークロスを入れられ、FWベイヘラム・アブドゥワイリに頭で合わせられた。これを日本の守護神・小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)が横っ飛びのビッグセーブを見せた。さらに前半アディショナルタイムにはDFたジュー・ユエのロングシュートが枠内に飛んできたが、小久保がファインセーブを見せた。

 

 後半に入ると、中国は日本のDFライン裏を狙ってきた。後半開始早々、DFラインの背後にMFシエ・ウェンノンに飛び出され、右足のつま先でシュートを打たれたが、小久保が懸命に伸ばした左足と左手で阻止した。

 

 17分にはMF平河悠(FC町田ゼルビア)が左サイドからクロスを入れたが、惜しくもFW細谷真大(柏レイソル)には合わなかった。日本は、数的不利で苦しい戦いを強いられたものの、運動量を落とすことなく戦い切った。

 

 大きな勝ち点3を勝ち得た日本は、中2日でUAE代表と対戦する。

 

(文/大木雄貴)