堂林翔太の背番号が、来季は13から7に変更になるそうだ。

 かのアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)のような内野手に育ってほしいという願いをこめての13番だったのではないのですか。A・ロッドから、なぜ野村謙二郎監督がかつてつけていた背番号に変えなくてはならないのだろう。野村よりは、A・ロッドのような内野手に育ってほしいけどなぁ。

 これは、堂林本人にはまったく責任のない話で、むしろ、彼をとりまく球団の問題である。
 そりゃ、1ケタの背番号は、スターの証だろう。堂林も悪い気はしないにちがいない。ただ、球団で寄ってたかって、堂林スター化計画に夢中になっている印象はぬぐえない。育成すべき若手は、堂林だけではないはずだ。

 来季以降のカープを考えるとき、まっさきに育成に力を入れるべきポジションは、捕手だと考える。
 石原慶幸がいるではないか、と言われるかもしれない。しかし、石原のバッティングが来季以降、劇的によくなるとは思えないし、リードはもともと、よく言えば堅実、悪く言えば常識的である。

 倉義和もいる。わかっています。倉はときおり、石原よりも難しいリードをすることがある。個人的には、石原よりもひいきにしている。しかし、彼もこれからさらに伸びるとは思えない。

 しかも2人ともベテランの域に入っている。来季は、石原が34歳、倉は38歳になる。チームの将来のために、捕手の育成こそは、喫緊の課題のはずである。

 第3の捕手といわれる若手の會澤翼は、カープの捕手の中ではおそらくバッティングは一番いい。さらに伸びる可能性もある。ただ、リードはまだまだ学ぶべきことが多いと言わざるをえない。

 その点、白濱裕太のほうが、リードは安心して見ていられる。しかし、彼は1軍で2割打つのがやっとではないだろうか。

 不思議なことに、そんな状況にもかかわらず、今年のドラフトで捕手は1人も指名していない。堂林だけ育成すればいいのか、と言いたくなる気持ちもわかっていただけよう。

 さらに若手で磯村嘉孝もいるけれども、少なくとも現時点で1軍というのは考えにくい。そうなると、今いるメンバーの中では、會澤を育成するしかない、ということになる。

 もちろん、今季の堂林のように、全試合、會澤でいけ、などと言うつもりはない。
 ただ、少なくとも、次代を担う捕手をどう育てるのか、そのビジョンを示すべきときではないだろうか。

(このコーナーは二宮清純と交代で毎週木曜に更新します)
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