19日、日本サッカー協会(JFA)は2013年の各日本代表の試合日程を発表した。ブラジルW杯出場に王手をかけたA代表は2月6日のラトビア戦(兵庫・ホームズ)との親善試合で1年をスタート。3月のブラジルW杯最終予選(対ヨルダン、アウェー)の直前に、カタールで親善試合(対戦相手未定)を行うことも決まった。男子U−17代表は年明けから4カ国トーナメント(UAE)に参加し、10月に開幕するFIFA U−17W杯(UAE)へ向けて始動する。また、ロンドン五輪で銀メダルを獲得した女子日本代表“なでしこジャパン”は3月のアルガルベカップ(ポルトガル)が13年の初戦となる。会見にはA代表のアルベルト・ザッケローニ監督、U−17代表・吉武博文監督、なでしこジャパン・佐々木則夫監督が揃って出席し、今年を振り返るとともに、来年の抱負を述べた。
(写真:左から吉武監督、佐々木監督、ひとり置いてザッケローニ監督)
「13年の目標はまずW杯の切符をいち早く手にすること」
 ザッケローニ監督は念を押すように語った。3月の最終予選ヨルダン戦で本大会出場を決めれば、後のスケジュールをチーム強化に充てられるからだ。来年の9月、10月、11月には国際Aマッチデ―が各2試合ずつ設定されている。指揮官は「W杯出場を決めた後に、チームプランを考えたい」としたが、今年10月の欧州遠征(対フランス、ブラジル)のように強豪国と有意義なテストマッチを実施したいのが本音だろう。

 さらに6月にはコンフェデレーションズ杯も控えている。指揮官は各大陸王者が集う大会に「非常にワクワクしている」と大会での力試しが待ちきれない様子だ。今回、日本はブラジル、メキシコ、イタリアと同じグループAに入った。組み合わせについてザッケローニ監督は「ブラジルといい、メキシコといい、3チーム目はどこだったか忘れたが、タフな大会になる」と母国のイタリアを「忘れた」と語り、会場の笑いを誘った。

 また、今年については「我々にとって非常にポジティブな1年になった」と満足そうに振り返った。最終予選ではすでに王手をかけ、内容も5試合で13得点、2失点と攻守に安定している。しかも2失点はいずれもセットプレー(PK、FK)からで崩されてのものではない。これらを受けて指揮官は「バランスがとれている」と評価した。
 一方で今後の課題としては「チャンスの数とゴール数が比例していない」と決定力不足を指摘。その要因を「(選手の頭の中に)もしかしたら、ある程度“いつかチャンスがくるだろう”と入ってしまっているかもしれない。その意識は自分のなかにも少しある」と分析した。そして「強豪相手に今ほどチャンスを演出できなくなった時に、少ないチャンスをものにしていかなければいけない。(日本の場合は)技術的な問題ではない」と意識の面から改善を促すことを明かした。
「最終予選、コンフェデ杯とタフな1年になるが、大切なのは13年も引き続き、成長していくこと。11年から12年はいいかたちで成長できた。来年もこのまま右肩上がりで成長を続けていきたい」
 13年はザックジャパンにとって日進月歩の1年となるか。

 弟分であるU−17代表はA代表より一足早く“本大会”を迎える。予選を兼ねた今年のAFC U−16選手権で準優勝し、日本は出場権を手にした。だが、吉武監督は「横綱相撲で勝ち抜くのが最大の目標だった」と悔しさを口にする。一昨年に行なわれたメキシコ大会で今年のナビスコ杯ニューヒーロー賞・石毛秀樹(清水)らを擁し、過去最高タイのベスト8に進出している。UAE大会ではそれを上回り、史上初のメダルを目指す。

 来年は1月4日から始まる4カ国トーナメント(UAE)を皮切りに、3月にサニックス杯国際ユースサッカー大会(福岡)と海外遠征(詳細未定)を経て、7月は国際ユースサッカーin新潟、8月にも海外遠征(詳細未定)を予定。多くの実戦を重ねて、本大会に臨む。

 U−17代表は96年以降に生まれた選手たちで構成されている。吉武監督は選手たちひとりひとりを「作品」に見立てていると話す。
「質の高い作品に仕上げ、W杯で“96展覧会”を開くというようなつもりで、いろんなものを世界で試してほしいなと思っている」
 もちろん、選手たちにとってはU−17W杯が集大成ではない。U−20、五輪、A代表と“展覧会”は続いている。U−17W杯はその途中経過を見せる場だ。

 なでしこジャパンの2012年は、ロンドン五輪で日本女子初の銀メダルを獲得する快挙で幕を閉じた。来年は、15年W杯(カナダ)に向けてリスタートを切る1年になりそうだ。


JFAが07年に女子サッカーの目標を定めた“なでしこビジョン”には「2015年W杯で優勝」と書かれている。これを受けて佐々木監督は次のように来年の目標を掲げた。
「女子委員会が掲げた15年W杯優勝、我々にとっては“連覇”という大きな目標を掲げたなかでのベースアップ、新たな選手の発掘、強化。15年W杯のベースをしっかりと築きながら、予選に結び付けていきたい」

 今年はなでしこジャパンのみならず、U−20代表「ヤングなでしこ」が同W杯で史上初の銅メダルを獲得。田中陽子(INAC神戸)といった次代のヒロイン候補が台頭した。15年W杯では、ロンドン五輪で主将を務めた宮間あや(岡山湯郷)は30歳になり、他の中心選手たちも20代後半に突入する。世代交代が避けられないなかで、ロンドン組とヤングなでしこ世代をうまく融合させることが不可欠だ。

 その足掛かりとなるのが、3月のアルガルベ杯(ポルトガル、3月6日〜13日)。今年の同大会では、米国相手に初めて90分で勝利し、大きな自信を得た。

「気候もよく、非常に素晴らしいチームが出場する大会。08年に行なったキプロス遠征では負荷をかけながら、しっかりとベースアップを含めたキャンプと親善試合を行った。(来年の)アルガルベ杯もそういうことをイメージしている。かなりハードにはなると思うが、選手を見極めるなかで非常にいい大会にしていきたい」
 6月の欧州遠征では世界ランク2位のドイツと対戦することが決まっている(残る1試合は詳細未定)。7月には東アジア杯(韓国)、10月には東アジア競技大会が控えている。東アジア競技大会は日本としてはU−23代表として臨むことが基本路線だが、大会自体に年齢制限はなく、上田栄治女子委員長は「オーバーエイジを含めるかもしれない」と示唆。田中らヤングなでしこ組に加え、なでしこジャパンで出場機会の少ない選手が招集される可能性もある。

 会見ではフットサル、ビーチサッカーの日本代表のスケジュールも発表された。フットサル代表は来年5月中旬に国際親善試合を2試合(代々木、もう1試合未定)行い、6月26日〜7月6日に開催される第4回アジアインドア&マーシャルアーツゲームス(韓国)に出場する。ラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー代表は、1月21日〜26日にかけて、ビーチサッカーW杯アジア予選(カタール)に参加。3位以上に入れば、9月の本大会(タヒチ)出場権を得られる。

○2012年日本代表試合スケジュール

 A代表試合日程 ※確定分のみ
2月6日 対ラトビア代表(親善試合、ホームズ)
3月22日 相手未定(親善試合、カタール)
3月26日 対ヨルダン代表(W杯最終予選、ヨルダン)
5月30日 相手未定(親善試合、豊田ス)
6月4日 対オーストラリア代表(W杯最終予選、埼玉)
6月11日 対イラク代表(W杯最終予選、アウェー)
6月15日 対ブラジル代表(コンフェデ杯、ブラジル)
6月19日 対イタリア代表(コンフェデ杯、ブラジル)
6月22日 対メキシコ(コンフェデ杯、ブラジル)
7月20日〜28日 東アジアカップ(韓国)
8月14日 相手未定(親善試合、ユアスタ)

 男子U−17日本代表試合日程
1月4日〜8日 4カ国トーナメント(UAE)
3月21日〜24日 サニックス杯国際ユースサッカー大会(福岡)
3月下旬〜4月上旬 海外遠征(詳細未定)
7月13日〜15日 国際ユースサッカーin新潟
8月 海外遠征(詳細未定)
10月17日〜11月8日 FIFA U−17W杯(UAE)

 女子日本代表(なでしこジャパン)試合日程
3月6日〜3月13日 アルガルベカップ(ポルトガル)
6月20日 相手未定(親善試合、ベアスタ)
6月26日 相手未定(親善試合、海外)
6月29日 ドイツ代表(親善試合、ドイツ)
7月20日〜28日 東アジアカップ(韓国)
9月22日 相手未定(親善試合、長崎)
9月26日 相手未定(親善試合、フクアリ)
10月7日〜11日 東アジア競技大会(中国)※U−23で参加予定

 フットサル日本代表試合日程
5月中旬 相手未定(親善試合、代々木第一)
5月中旬 相手未定(親善試合、場所未定)
6月26日〜7月6日 アジア インドア&マーシャルアーツゲームス(韓国)

 ビーチサッカー日本代表試合日程
1月21日〜26日 FIFAビーチサッカーW杯アジア予選(カタール)
9月18日〜28日 FIFAビーチサッカーW杯(タヒチ)