27日(日本時間28日)、世界体操競技選手権大会の女子団体総合決勝が英国・グラスゴーで行われ、日本は4種目合計169.887点で前回大会の8位を上回る5位に入賞を果たした。日本は11大会ぶりの5位。優勝した米国は181.338点で世界選手権3連覇を達成し、中国が2位、地元・英国が初のメダル獲得となる3位に入った。予選6位の日本は、杉原愛子(梅花高)、笹田夏実(日本体育大)、寺本明日香(中京大)、湯元さくら(中京大)、内山由綺(スマイル体操クラブ)、宮川紗江(セインツ体操クラブ)、村上茉愛(日本体育大)のメンバーで戦った。1種目目の平均台で村上が落下して7位スタートと出遅れたものの、床運動(ゆか)と跳馬で得点を稼いで最終的に5位でフィニッシュした。

 

 平均年齢17.8歳。7人のメンバーのうち4人が初出場とフレッシュな日本代表がグラスゴーで躍動した。

 

 来年のリオデジャネイロ五輪の出場を決めた8カ国によって争われる決勝では、個人総合決勝の出場が決まっている寺本と村上が全4種目、宮川がゆかと跳馬、杉原が段違い平行棒、湯元が平均台に出場した。予選では全種目に出場した笹田と、内山はメンバーのサポートに徹した。

 

 日本の演技は、平均台から始まった。日本の1番手を任されたのは、今大会補欠メンバーから繰り上がった村上だ。トップバッターとしていい流れをつくりたいところだったが、村上は最初の大技である後方伸身の空中技で落下。得点は12.200に終わった。続く、寺本と湯元は安定の演技をみせたが、村上のミスが響き、合計40.066点と伸び悩む。第1ローテーション終了時点で日本は8チーム中7位でスタートした。

 

 続くゆかは予選で1位のシモーネ・バイルズ(米国)に次ぐ2位の14.900の高得点を叩き出した宮川に期待がかかった。2番手の村上が、予選で封印したH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)を見事に決めてみせた。いい流れでバトンを受け取った宮川は、H難度の後方伸身ダブル1回ひねりを決めると、前方伸身宙返りからダブルとつながる連続技を次々に成功させた。シリバスでは、右足がラインオーバーしてしまうものの、最後は着地を決めて14.633とハイスコアをマークした。ゆかの合計は42.565点。日本は村上と宮川の活躍で盛り返す。

 

 第3ローテーションの跳馬では、寺本が技の完成度を評価するEスコアを上げるために、予選よりも技の難易度Dスコアを0.8点落とした。その判断が功を奏し、Eスコア9.2とジャッジから非常に高い評価をもらい予選よりも得点を1点近く伸ばした。ゆかで見事な演技をみせた宮川は跳馬も得意とする。宮川はDスコア6.2点の大技チュソビチナ(前転とび前方屈身宙返り1回半ひねり)を決め、全体でも5位タイの15.166点を叩き出す。跳馬の合計は44.832点。日本はゆかと跳馬で得点を重ねた。3種目終了時点で4位につけ、最終種目の平行棒に入る。

 

 平行棒では、初出場の杉原が2番手で演技をした。7月のアジア選手権で個人と団体2冠の杉原は、初の大舞台にもミスなく終えて14.233点をマーク。最終演技者のキャプテン・寺本はフィニッシュ技のムーンサルトの着地をピタリと決めた。日本は4種目終わって合計169.887点で予選よりも順位を1つ上げて5位に入った。世界体操で女子団体5位は、2001年オランダ・ロッテルダム大会以来14年ぶりの躍進だ。

 

 1種目目にミスが出た村上は、すぐに気持ちを切り換えて、次の種目のゆかで大技シリバスを決めたのは見事だった。本人は「ミスは出てしまったが、その後は役割を果たせたので良かった」と試合を振り返る。16歳の若き新星・宮川は「予選で雰囲気をつかめたので、今日は楽しくやれました」と初の世界体操にも臆することはなかった。11月1日の種目別ゆかの決勝へは「結果は考えず、自分のできる最大限の演技をしたい」と意気込んだ。29日には村上と寺川は個人総合決勝に臨む。若き代表の活躍に期待したい。

 

<女子団体総合決勝>

1位 米国 181.338点

2位 中国 176.164点

3位 英国 172.380点

5位 日本 169.887点

 

(文/安部晴奈)