31日(現地時間)にFIG世界体操競技選手権の男女種目別決勝1日目が英国・グラスゴーで行われ、白井健三(日本体育大)が床運動(ゆか)で16.233点を出して2大会ぶりに優勝を果たした。2位はマックス・ウィットロック(英国)、3位にライデルレイ・ミゲル・サパタ・サンタナ(スペイン)が入った。初出場の萱和磨(順天堂大)は、あん馬で15.500点をマークし、銅メダルを獲得した。金メダルは16.133点でウィットロックと2位にはルイス・スミスと地元英国勢のワンツーフィニッシュとなった。ウィットロックは団体銀、ゆか銀に続き3個目のメダルを手にした。

 初出場の2年前は金メダル、昨年は銀メダル。ゆかの世界王座奪還に挑む白井は、昨年よりもDスコアを0.2点上げた。最初の連続技を成功させると、G難度の大技である「リ・ジョンソン」(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)も難なく決めた。自らの名前が技名に入るF難度の「シライ2」(前方伸身宙返り3回ひねり)の着地が乱れてしまうものの、何とか踏ん張った。

 白井はフィニッシュのF難度「シライ/グエン」(後方伸身宙返り4回ひねり)を決めると、ホッとした表情をみせて拳を力強く挙げた。決勝に進んだ7人のスペシャリスト相手に難易度を示すDスコアはただ1人の7点台。7.6点と高難度の演技構成をほぼノーミスで終えた。掲示された得点は16.233点――。Eスコアは8.633点と技の出来栄えも高評価を得た。2位のウィットロックに0.6点以上の差をつけて、悲願の金メダルを手にした。2大会ぶりにゆかのトップに返り咲いた白井は「狙って獲った金メダルです」と、胸に掛かった金メダルを見つめながら最高の笑顔で締めくくった。

 続くあん馬には、白井と同年代19歳の萱が出場した。萱は予選4位で通過し、初出場ながら決勝に駒を進めた。昨年の金メダリストであるクリスティアン・ベルキ(ハンガリー)が予選で敗退したため、決勝に進んだ8人のうち誰が優勝しても初の世界一となる戦いとなった。4番目に演技した萱は、逆立ちで開脚しながらあん馬上を移動していくG難度の「ブスナリ」を成功させると、その後もミスなく演技をして15.500点。暫定トップタイにつけた。

 しかし、その後のルイス・スミス(英国)に16.033点で抜かれると、優勝最有力といわれたウィットロックが16.133点を叩き出した。開催国の英国がワンツーフィニッシュを果たした。3位タイで銅メダルを獲得した萱は「今までのなかで1番いい出来栄えだった」と試合を振り返ったが、「金メダルじゃないと嬉しくない」と悔しい表情を浮かべた。

 11月1日は、男女種目別決勝2日目が行われる。日本勢は男子の白井が跳馬、個人総合6連覇を達成した内村航平(コナミスポーツ)が鉄棒、田中佑典(コナミスポーツ)が平行棒にそれぞれ出場する。女子は初代表の宮川紗江(セインツ体操クラブ)がゆかで57年ぶりのメダル獲得に挑む。

 主な結果は次の通り。

<男子床運動・決勝>
1位 白井健三(日本体育大) 16.233点
2位 マックス・ウィットロック(英国) 15.566点
3位 ライデルレイ・ミゲル・サパタ・サンタナ(スペイン) 15.200点

<男子あん馬・決勝>
1位 マックス・ウィットロック(英国) 16.133点
2位 ルイス・スミス(英国) 16.033点
3位 ハルチュン・メルディニャン(アルメニア) 15.500点
3位 萱和磨(順天堂大) 15.500点 

 

(文/安部晴奈)