160712乾杯写真(加工済み)二宮: 猛暑続きで、仕事の後にはキュッと1杯飲みたくなります。今回はそば焼酎『雲海』のソーダ割り「そばソーダ」を飲みながら城彰二さんとアトランタ五輪のことを語り合いたいと思います。

: 宜しくお願いします。この季節にはさっぱりするので、ソーダで割るお酒もいいですね。そば焼酎はクセがないから合いそうなイメージです。

 

 

二宮: いかがですか?

: これは美味しい。僕は鹿児島育ちなので焼酎が大好きなんです。最近は控え目にしているのですが、これは後味がスッキリしていて飲みやすい。ソーダで割ると、余計にスッキリ感が増しますね。確かに夏に合いそうです。

 

アトランタ五輪はステップボード

 

二宮: リオデジャネイロ五輪が間近に迫ってきました。今日は城さんにオリンピックの思い出についてお伺いしたい。城さんが出場された1996年のアトランタ五輪は、サッカー王国のブラジルから大金星を挙げた印象深い大会です。いわゆる“マイアミの奇跡”は私も現地で取材をしていましたが、正直、誰も勝つとは予想していませんでした。

: 選手である僕たちですら勝つとは思っていませんでしたからね(笑)。

 

二宮: この時の五輪代表は城さん、前園真聖さんは既にA代表に入っていた。そして後にA代表の中心選手となる中田英寿さん、川口能活さんらが名を連ねていました。

: やはり基本的にサッカーで頂点を決めるのはW杯です。五輪は23歳以下の選手と、使用するのであればオーバーエイジ枠の選手でチームを作ります。当時、僕たちのコンセプトは、“まずは世界を知ろう”でした。この年代の世界レベルを体感してみて、その先にW杯があるんだという感じでいました。

 

二宮: 98年のフランスW杯を視野に入れていたわけですね。

: 僕と前園さんはA代表には入っていましたが、まだA代表のレギュラーを獲るまでには至っていませんでした。僕たちは“五輪で結果を出して、A代表のレギュラーを獲る”と。つまりオリンピックをステップボードとして捉えていたんです。

 

二宮: 初戦の相手がブラジルと決まった時の感想は?

: ブラジルには到底勝てるとは思っていませんでした。だからブラジル戦を前に僕たち攻撃側のポジションの選手は「自分たちのサッカーをしたい」と主張しました。

 

二宮: 思い切りぶつかって実力を試してみたい、と。

: そうです。どのみち勝てないと思っていたので(笑)。「どのくらい通用するかやってみたい」と当時の監督・西野朗さんに言いました。ですが、西野さんは「冗談じゃない。やってみないと勝ち負けはわからない」と。そこでいろいろと口論になりました。

 

二宮: それは大会直前ですか?

: はい。結局、「グループリーグ敗退となると、たった3試合で終わってしまう。やはり上のステージに行って、少しでも多くの試合をしよう」と方向性が決まって、西野さんの守備的な戦術に従うことになりました。

 

二宮: その時のチームのまとめ役は?

: 川口、田中誠とかもいましたが、結局は前園さんがまとめたんですよ。

 

二宮: おぉ! キャプテンらしくないイメージもありますが……。

: 確かにあまりキャプテンらしくないかもしれませんね(笑)。でも、あの時代は前園さんが群を抜いてうまかった。みんなが前園さんをリスペクトしていました。あまり多くを話すタイプではなかったけど、前園さんが話すことに対してはみんなが「そうだよな」と納得し、チームが1つにまとまっていました。

 

二宮: それだけ皆さんが前園さんのことを一目置いていたんですね。

: そうなんです。だから守備的に戦うと決めた時も「どんな構成でいくか」ということを前園さんが話をして、みんなで「それでいこう」となった。アトランタ五輪は前園さんの大会だったと言っても過言ではなかったですね。

 

“捨て試合”がまさかの大金星

 

160712ワンショット(加工済み)二宮: ベスト8以上を狙うために、まずはブラジル、ナイジェリア、ハンガリーのいるグループで2位以内に入らないといけませんでした。

: 2勝は必要だと考えていました。初戦でブラジルに負けても残り2試合ありますから。実は僕たちの中でブラジル戦は“捨て試合”だったんです。

 

二宮: 94年W杯アメリカ大会でブラジルは優勝しています。その大会で活躍したFWベベット、DFアウダイールをオーバーエイジ枠で入れてきました。

: メンバーを見てもわかるように本気でブラジルは金メダルを獲りに来ていましたね。アトランタ五輪の時は運もありましたが、日本の戦術がうまくはまりました。

 

二宮: 試合が始まってからのブラジルの印象は?

: 正直、無理だと思いました。もう大人と子供のサッカーくらいレベルが違いました。実力で圧倒されて、自分たちのサッカーなんて到底できない……。

 

二宮: 大人と子供ですか……。

: まずボールが取れない(笑)。自分たちのボールになった時には、少しだけパスを回せました。でも肝心なところでのプレーは絶対にやらせてもらえない。

 

二宮: 何度も決定的な場面を作られましたが、守備陣が体を張りました。特にGK川口の出来が素晴らしかった。

: 本当にアイツは神がかっていました(笑)。あとはポストに助けられたりして、いくら時間が経過してもブラジルがゴールを決めきれない。だんだんブラジルの選手がイライラしてきているのがわかりました。意外に面白い展開だなと……。

 

二宮: そして後半27分、日本に待望の先取点が入りました。DF路木龍次が左サイドからアーリークロスを入れる。このボールに反応したブラジルのGKジダとアウダイールが交錯してしまい、MF伊東輝悦がこぼれ球を無人のゴールに押し込みました。城さんも伊東の近くにポジションをとっていましたね。

: あの形は狙い通りでした。ブラジルに大きな欠点はないのですが、ジダとアウダイールの連携がさほど良くないとミーティングでも話していました。当時の分析班の方々がいろいろなところに視察に行って、たくさんのデータを集めていたんです。

 

二宮: ジダとアウダイールがぶつかった直後、ボールはゴールへの坂道を転がっているように映りました。

: 本当にそんな感じでした。あとはテルさんがポンとゴールに蹴るだけ。入った時は信じられなかったですよ。ブラジル相手に1-0とリードしている。「これはすげぇ! こんなことが起きるのか」と驚きました。

 

二宮: 先制した後は守り切ろうという指示だったのですか?

: 1点を取ったら、もう全員で守ろう、と。

 

二宮: ブラジル相手にもう1点取りにいこうとはならないでしょうね。

: それはなかったです。そんな気力も実力もありませんでしたから。とにかく守ろうと、FWもラインを下げてプレスをかけました。それで最後までなんとか逃げ切れた。すべてがうまくいったので奇跡と言われて当然です。

 

現実を突き付けられたアトランタ五輪

 

二宮: 勝った時はどんな心境でしたか?

: 実感はありませんでした。シャワーを浴びて、ホテルへ帰るためのバスに乗り込んだ。そうしたらバスがブラジルサポーターに囲まれて、石を投げられた。その時に初めて「オレたち勝っちゃったんだ」と感じました(笑)。

 

160712身振りワンショット1(加工済み)二宮: えらいことをしてしまったな、という感じでしょうか。

: はい。でも実力がないまま勝ったことを実感していたので複雑な心境でしたね。勝ったけども、全く通用しなかったと……。

 

二宮: 逆に言えば、勝っただけでは良しとしない意識の高いチームだったわけですね。城さん自身の手応えは?

: シュートは2、3本打ちましたが、手応えのあるものはひとつも打たせてもらえなかった。勝ったことに浮かれることもなく、もう次の戦いをどうするかと頭を切り替えていました。

 

二宮: そして2戦目。ブラジルから大金星をあげたことでグループステージ突破が一気に見えてきましたよね。

: 1勝できたので、あと1つ勝てばいけると思っていました。いろいろと調べてみると、2勝している国はほぼグループステージを突破していましたから。

 

二宮: しかし、続くナイジェリア戦を落としてしまい、3戦目のハンガリー戦を迎えます。

: ハンガリーも強かったですが、“オレたちが勝って、決勝トーナメントにいくんだ”と思っていました。怒涛のように攻めたのですが、なかなか点が取れなかった。後半に入ってやっと点が入って、3-2で勝った。でも得失点差でグループステージ敗退となりました。

 

二宮: 勝ち点6で敗退とは悔しかったでしょう。

: でも得難い経験ができたと思っています。五輪にはメキシコシティ大会以来、28年ぶりの出場でした。最初なんて、誰からも注目もされなかったですし、ここまでやれるとは思ってもみませんでしたから。

 

二宮: 得たものと失ったものをはかりにかけると、はるかに前者の方が重かったのでは?

: いや、自信を得た反面、自信を失った面もありましたよ。「世界にはこんな選手がいるんだ。自分たちも頑張ってレベルを上げないと、世界では戦えない」と現実を突き付けられた大会でもありました。

 

二宮: 気が付けばもうグラスが空いてしまいましたね。

: 思い出話に花が咲いて、ついつい長くなってしまいました(笑)。もう1杯、おかわりをいただいてもよろしいでしょうか? 口が滑らかになるお酒ですね(笑)。

 

(後編につづく)

 

160712プロフ2(加工済み)<城彰二(じょう・しょうじ)プロフィール>

1975年6月17日、北海道生まれ。強豪・鹿児島実業高校を卒業後、94年にジェフユナイテッド市原に入団。プロ1年目で12得点をあげ、当時のJリーグ新人最多得点記録をつくった。97年にはイランと戦ったフランスW杯アジア最終予選のアジア第3代表決定戦で貴重な同点ゴールを決めるなどW杯初出場に貢献した。翌年のフランスW杯は3試合に出場。00年はスペインに渡り、バリャドリードでプレーした。その後は横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸、横浜FCを経て引退。現在はサッカー解説者を務める傍ら、インテル・ミラノの日本サッカースクールである「インテルアカデミージャパン」のスポーツマネジャーを務めるなど多忙を極める。J1通算230試合95得点。国際Aマッチ35試合、7得点。

 

 

 今回、城さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。


提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>
鉄板 かわなか
東京都渋谷区宇田川町34-6
TEL:03-3463-5318

ランチ 土曜日をのぞく毎日12時~14時半

ディナー 毎日夕方17時~23時半(日曜日のみ21時)

 

☆プレゼント☆
 城さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「城彰二さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は8月11日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

◎クイズ◎

 今回、城彰二さんと楽しんだお酒の名前は?


 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(構成・写真/大木雄貴)


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