ストーブリーグの主役は巨人である。派手さはないが、ツボを押さえた補強を行っている。

 

 

 FAでは、この制度を導入後、12球団で初めて3人の選手を獲得した。

 

 FAで獲得できる人数は行使した選手が20人以内なら2人までだ。2008年からチーム内の年俸に応じて、A、B、Cと3つにランク分けされるようになった。

 

 AとBの選手なら、これまでどおり2人以内だが、Cの選手は、それに含まれない。この制度改革により、2人以上のFA選手を獲得することが可能になった。

 

 この新制度を利用して巨人は横浜DeNAで16年に11勝をあげた山口俊(B)と福岡ソフトバンクの左のセットアッパー森福允彦(C)を獲得した。

 

 さらには北海道日本ハムで4度のゴールデングラブ賞を受賞している陽岱鋼(B)も契約合意に至った。

 

 FA補強は、チーム強化の観点から見れば“劇薬”である。即効性が高い反面、それに依存し過ぎると副作用をもたらせかねない。

 

 かつて、FA市場にスター選手が出回ると、根こそぎかっさらっていった巨人が、このところやや抑え気味になっていたのは、数々の失敗に学んだからである。

 

 しかし、今回の補強は筋がいい。アッと驚く大物はいないが、手堅い印象を受ける。

 

 タフさが売り物の山口はリリーフもこなすことができる。森福は貴重な左の中継ぎとして、このところやや衰えの見られる山口鉄也の代役としての期待がかかる。また球界屈指の守備力を誇る陽の加入は、要のセンター不在の外野陣を大いに活性させるだろう。

 

 課題の外国人は、日本で経験のあるケーシー・マギーをデトロイト・タイガースから獲得した。東北楽天が球団創設初のリーグ優勝、日本一に輝いた13年の主砲である。守備も悪くない。

 

 料理で言えば、素材は揃った。あとはシェフである監督の腕次第である。

 

<この原稿は2017年1月2日号『週刊大衆』を一部再構成したものです>

 


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