3月下旬、プロ野球とMLBが開幕しました。まずは20日に韓国で開幕したMLBについて。ロサンゼルス・ドジャースに移籍した大谷翔平選手は、今季打者一本で迎えるシーズンです。ワイドショーをはじめ野球以外のことを取り沙汰されていますが、必要以上に負いかけることはして欲しくないですね。彼が元気だと野球ファンも元気になりますから。

 

 私が今季の大谷選手に期待することは、あれだけの素晴らしいプレーヤーですから記録より記憶に残るプレーを期待したい。例えば果てしなく遠くに飛ばすホームランとかね。野球の原点である、速い球を投げる、打球速度が速く遠くへ飛ばす。数字は後からついてくるものですから、子どもたちに夢を与えるようなプレーが今年も観たいですね。

 

 もう1人の注目は、カープの後輩でもある鈴木誠也(シカゴ・カブス)です。オープン戦は打率4割5分9厘で出塁率は5割を超えました。6本塁打を放つなどOPS(出塁率+長打率)は1.593。今季は非常に活躍が楽しみです。メジャー1年目は14本塁打、昨季は20本塁打。今季は30本塁打くらい打ってくれそうな気がしています。

 

 今回は締め切りの都合上、プロ野球開幕戦について触れられませんが、オープン戦は中日と福岡ソフトバンクが好調でした。一方で昨季日本一を争った阪神とオリックスは下位。ただ首脳陣は、“オープン戦はオープン戦”と割り切っているはずです。チームの良し悪しを測るのは、シーズンが始まってからの20、30試合となるでしょう。

 

 今季、私が注目しているのは各チームの監督による外国人選手の起用法です。昔は打者なら1人でホームランを30本、40本打つ助っ人の存在がチームを上位に導いていました。今は突出した外国人選手を擁するよりも、登録枠以上の数の外国人選手を抱えるというチームも珍しくありません。好不調の見極めはもちろん、どういう使い分けをし、既存の選手たちとどう組み合わせるのか。監督目線で注目したいと思います。

 

リリーフ陣の奮闘

 さて、セガサミー野球部はJABA東京スポニチ大会(9~15日)、JABA東京都企業春季大会(20~25日)を終えました。前者はベスト4、後者は8位。振り返れば課題と収穫のあった3月でした。まずは東京スポニチ大会。2月からのキャンプからいい流れで入り、予選リーグ3連勝と好スタートを切れました。準決勝では優勝したHondaに1-3で敗れました。もちろん優勝して日本選手権の出場権を獲得できればそれに越したことはありませんでしたが、概ね悪くない結果だったと言っていいでしょう。

 

 4試合の内容で言えば、先発の一角として期待している館和弥が2試合8失点だったのは気になるところではありますが、他の投手陣が踏ん張りました。特に武富陸、岩本大地のルーキーを含めリリーフ陣は無失点に抑えてくれました。その中で課題を挙げるとすれば、打線でしょう。まだ主軸の状態が上がってきていない。固定して戦いましたが、得点圏で点が取れなかった。各打者がコンスタントに力を発揮できるようになっていって欲しい。そうじゃないと打線が線になっていきませんからね。

 

 勝ちながら選手を試していくのが理想ですが、続く東京都企業春季大会は歯車が嚙み合いませんでした。コールド負けが2試合(東京ガス1-9、明治安田生命2-11)。序盤に失点を喫し、ずるずるといってしまいました。連戦が続いていたとはいえ、1年を戦い抜く体力とメンタルを見据えていかなければいけません。

 

 都市大会予選のライバルとなる東京のチームの戦力を見られたことは、ポジティブに捉えています。スポニチ大会を優勝したHondaとベスト4だったウチが、7、8位決定戦へ進みました。逆に言えば各チームの力の差がないという証拠かもしれません。ウチの理想は5点以上取って、ピッチャーが2、3点以内に抑えて勝つ。今季は投手力が軸となりそうなので、いかに僅差のゲームに持ち込んでいけるかがカギを握るでしょう。

 

 編集部からの依頼で、3月の月間MVPを選びました。投手はリリーフで無失点だった田中法彦と荘司宏太。打者は宮川和人、須田凌平、砂川哲平のベテラン3人を挙げたいと思います。彼らには引き続き、好調を維持してもらいたい。故障者や結果が出ていない選手たちはここからどんどん調子を上げていって欲しいですね。それでは、今月はこのへんで。

 

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西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。


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