第二回3加工済み二宮清純: 相撲界では、“お酒を飲んで馬力をつける”という慣習があるとお聞きしました。これはいい話ですね。

旭道山和泰: このそば焼酎『雲海』の「そばソーダ」は飲み口がさわやかで上品ですね。しかも馬力がつくとあれば最高です。まだあと1、2本はいけますよ。

 

 

二宮: ところで現役の頃のお酒にまつわるエピソードは?

旭道山: 実は僕、若い頃は飲めなかったんです。

 

二宮: えっ!? それがどうやって一晩で一升瓶3本も飲めるほど強くなったんですか?

旭道山: 当時は兄弟子、新弟子、関係なく「乾杯」とグラスを合わせたら飲み干す、というルールがありました。

 

二宮: 残すのはダメなんですか。

旭道山: なるべくは……。新弟子が「乾杯」と言ってきても相手しないといけなかった。少し休憩しようと思っている時に新弟子が「乾杯」と言ってきたら、「オレ、今、休もうと思ってたのに乾杯すんな馬鹿野郎(笑)」と思いながら飲むんです。

 

二宮: アハハハ。

旭道山: そこも勝負だと思っていました。そういう場面で人間的に強いか弱いかがわかる。お酒が強いということは、馬力がある。馬力があれば体は強い。そうなると、相撲も強い。

 

二宮: ではお酒が弱いと相撲も弱い、と。

旭道山: ええ。それにお酒が飲めないと相撲界では「しょっぺぇな」と言われてしまうんです。

 

二宮: 「しょっぱい」とは“つまらない”“情けない”を意味する相撲界の隠語ですよね。ところで、旭道山さんが現役時代に籍を置いていた大島部屋はモンゴル人力士を初めて受け入れた部屋として有名です。モンゴル勢はお酒をよく飲むと聞きます。

旭道山: 旭鷲山や旭天鵬は、お酒が強かった。彼らが、「乾杯! 乾杯!」と言って兄弟子や僕と飲んでました。“この野郎”と思いながら一緒に飲んで、みんな潰れていくんです。それで最後に残ったのが、僕ですから。

 

二宮: やはり、飲んでいるうちに強くなったんですね。

旭道山: “酔ってはいけない”という兄弟子としてのプライドです。それと……。

 

二宮: それと?

旭道山: 最後にお会計をしないといけないという責任感。

 

第二回4加工済み二宮: 大変な額になりそうですね(笑)。支払のルールは?

旭道山: 番付が上の者が払ったり、兄弟子が払ったりといろいろでした。ですが、当時は僕が払っていました。全部、身銭を切っていましたよ。

 

二宮: 相撲部屋の後援者は必ずお酒を持って陣中見舞いに行きます。

旭道山: だから大島部屋にはほこりをかぶっていたお酒がたくさんありました。モンゴル勢はお酒が好きだから、“ちょうどいい!”と思って、「全部飲んでいいよ」と言ったんです。焼酎、ウィスキー、ハブ酒、薬用酒と何でも揃っていましたから。

 

二宮: さぞや喜んだでしょう。

旭道山: 酒が飲める! って嬉しそう飲んでいたんですよ、最初は。

 

二宮: 最初は?

旭道山: 段々と味を覚えてしまったんです。「これマズい」「これイヤ」などと言うようになりました。

 

タブーは煙草、寺切り、焚き付け

 

二宮: 相撲界でのタブーは?

旭道山: お酒は飲みましたが、煙草は吸わなかったですね。当時の稽古は、煙草を吸うとついていけない。ですから、他の力士にも吸わないように僕が取り締まっていました。

 

二宮: 隠れて煙草を吸っても、バレてしまいますか?

旭道山: わかりますね。煙草を吸っている連中は稽古中、唇が真っ青になったり、泡を吹いたりするんです。相撲は煙草を吸いながらやれるような甘い世界ではありません。

 

二宮: 風紀委員長みたいですね。

旭道山: 煙草、寺切り、焚き付け、この3つは厳しく取り締まっていましたね。

 

二宮: 寺切りとは寺銭泥棒のことですか?

旭道山: そうです。要は「盗み」のことです。力士は部屋での共同生活が基本です。ですから、これはご法度ですよ。

 

二宮: 3つ目の焚き付けとは?

旭道山: 部屋の情報を外部に漏らすことです。相撲において情報はとても大事ですから。

 

二宮: 関取の故障箇所の情報があまり出回らないのは、焚き付けがタブー視されているからでしょうか。

旭道山: 故障箇所の情報が流出してしまうと、そこを相手につかれてしまう。これだと、相撲が取れなくなってしまいます。それをペラペラと外部に話す行為は裏切りととらえられます。

 

二宮: 土俵に上がってからも“情報戦”を展開されているそうですね。

旭道山: 土俵上で仕切っている時も事前に仕入れた情報をもとに、いろいろ考えるんです。今までのデータを思い出しながら、戦略を立てています。“相手がこう来たら、自分はこうする”とシミュレーションするんです。

 

二宮: 深いですね。

旭道山: 戦いの前なので目にグッと力は入っていますが、相手を睨みつけているわけではない。よく誤解されてしまいますけどね(笑)。相手の目線で「あれ、こいつ、オレから見て右をずっと気にしている。もしかしたら、右から来るのか」などと狙いがわかるんです。

 

第二回5加工済み二宮: 目線の方向でわかるんですね。目で相手の心理を読めてしまう、と。

旭道山: 「立ち合いで変わるな」と読めるんです。やっぱり人間は、目で見て確かめたいですからね。思っている以上に、目はモノを言いますよ。

 

二宮: ところで現役時代の一番の思い出は?

旭道山: やはり十両に昇進した時です。十両になれて、やっと一人前の関取ですからね。幕下筆頭までは力士養成員ですから。

 

白まわしと黒まわし

 

二宮: 1980年5月に初土俵を踏み、1988年7月場所で新十両となりました。

旭道山: はい。8年がかりですから。苦労しましたよ。

 

二宮: 十両と幕下では、待遇が全く違います。

旭道山: 幕下筆頭と十両の一番下(13枚目)。1枚違うだけでもガラッと変わります。

 

二宮: 着る物も履く物も変わりますよね。

旭道山: それに立場が全然違うんです。一番戸惑ってしまったのは、申し合い稽古の時でした。

 

二宮: どう違うんですか?

旭道山: 稽古の最初は幕下同士でガンガンやるんです。そこで十両に上がった自分が稽古場に立つわけです。彼らは1カ月、2カ月前まで一緒にガンガン稽古をやっていた相手ですよ。そいつらがまとめて向かってくるんです。

 

二宮: 幕下の力士が順番にかかってくる。

旭道山: 負けられないですよ。コテッと負けたりすると「弱いなぁ」と言われてしまいます。それに稽古で十両以上は白まわしを締めるんです。幕下は黒まわし。このまわしの色の違いでも昇進を実感しました。相撲取りは十両になって一人前、幕下以下はその他大勢なんです。

 

二宮: 厳しい世界ですね。ひとりで何人の相手をしていたんですか?

旭道山: 15人から20人くらいです。あの時は怖かった(笑)。

 

二宮: その時にそば焼酎『雲海』の「そばソーダ」があれば……。

旭道山: これで馬力をつけて申し合い稽古ができればよかったです(笑)。

 

二宮: フルパワーで稽古ができましたね。             

旭道山: もっと早くこのお酒と出合いたかったなァ(笑)。

 

(おわり)

 

プロフ加工済み旭道山和泰(きょくどうざん・かずやす)プロフィール>

1964年10月14日、東京都生まれ。本名、波田和泰。中学卒業後、大島部屋に入門。80年5月場所で初土俵を踏む。翌年7月場所では序ノ口優勝を果たす。88年7月場所で新十両に昇進すると3場所連続で勝ち越し。89年1月場所に新入幕。この場所で9勝をあげて初の敢闘賞を受賞。92年9月場所で小結に昇進。粘り強い戦いから「南海のハブ」と言われた。96年9月場所後に廃業し、同年10月に第41回衆議院議員総選挙に立候補し初当選。衆議院議員を1期務め、現在はタレントや実業家として活動している。現役時代の通算成績は538勝551敗、殊勲賞2回、敢闘賞2回、金星1個。

 


今回、旭道山さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎『雲海』。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
提供/雲海酒造株式会社

 

店舗風景加工済み<対談協力>

凪 ワテラス店
東京都千代田区神田淡路町2-105

TEL: 03-3525-4361

営業時間: ランチ/11時30分~15時00分(LO14時)、平日ディナー/17時~23時(LO22時)、土・日・祝17時~22時(LO21時)
定休日・無(ワテラスの営業日に準ずる)

 

 

☆プレゼント☆
旭道山さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼントいたします。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「旭道山さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は7月13日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

◎クイズ◎
 今回、旭道山さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(構成・写真/大木雄貴)


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