9日、東アジアE-1選手権(男子)が開幕し、日本対北朝鮮が東京・味の素スタジアムで行われた。日本は、後半アディショナルタイムにMF井手口陽介(ガンバ大阪)のゴールで北朝鮮に競り勝った。中国代表対韓国代表が2対2の引き分けだったため、日本は首位で大会をスタートした。

 

 中村、デビュー戦で好守連発(味の素スタジアム)

日本代表 1-0 北朝鮮

【得点】

[日] 井手口陽介(90+3分)

 

 今大会はオール国内組で臨む日本代表。約半年後に迫ったロシアW杯に向けにJリーガーたちにとっては貴重なアピールの機会だ。イレブンの中で輝きを放ったのは、抜群の反応でゴールマウスにカギをかけ続けたGK中村航輔(柏レイソル)だった。

 

 最初にチャンスをつくったのは日本。15分、縦パスを受けたFW金崎夢生(鹿島アントラーズ)が右足アウトサイドでDFライン後方へ流す。そこへ左サイドから走り込んできたFW倉田秋(ガンバ大阪)が反応し、右足で冷静に相手GKの股下を狙いゴールネットを揺らした。だが、このプレーは倉田のオフサイドをとられゴールとはならなかった。日本はいいかたちを作ったが、この後はピンチの連続だった。

 

 25分、最初のピンチを迎えた。MFリ・ヨンジがペナルティーエリア手前右サイドからミドルシュートを放つ。このボールをゴール前にいたFWチョン・イルグァンがコースを変えたが中村がセーブした。その2分後にも中村の好守に救われた。FWキム・ユソンに右サイドの角度のない位置から強引にシュートを放たれるが、中村が弾く。こぼれ球をリ・ヨンジにダイビングヘッドで詰められたものの、再び中村のセーブで難を逃れた。

 

 後半に入っても日本は北朝鮮にペースを握られたままだった。9分、チョン・イルグァンに左サイドからクロスを入れられDFパク・ミョンソンにダイビングヘッドで合わせられたが、中村が弾き出してコーナーに逃げた。24分にも左サイドからクロスを入れられる。ゴール前でフリーだったチョン・イルグァンがドンピシャのタイミングで頭で合わせたものの、これも中村がスーパーセーブ。日本は北朝鮮のサイドからの速攻に手を焼くが、代表デビュー戦の中村の奮闘でゴールを割らせない。

 

 守護神のビッグセーブが目立つなか、フィールドプレーヤーはピリッとしなかった。このままスコアレスで試合を終えるかと思った後半アディショナルタイム。途中投入されたFW川又堅碁(ジュビロ磐田)が左サイドからペナルティーエリアのファーサイドにポジションを取るMF今野泰幸(ガンバ大阪)にクロスを送った。今野がヘディングで落とすと、これを後方から走り込んできた井手口が右足で合わせる。インサイドながら鋭いシュートは相手GKが対処しきれず、ゴールネットに突き刺さった。このまま試合は終了し、日本は開幕戦で大きな勝利をあげた。

 

 試合後、ビッグセーブを連発した中村はこう語った。

「普段通りできたと思います。いい準備ができていて、ボールもしっかり見えていたのでいい対応ができた。スカウティングでとてもパワーのあるチームだとわかっていたので、気を付けながらやっていました。(デビュー戦の出来は)良かったと思います」

 

 GKの中村1人が大いに存在感を示した試合だった。つまり、日本にとって芳しくない試合展開だったことを意味する。2015年に中国で行われた東アジア選手権は最下位だった。ホーム開催の今回は優勝が絶対命題。今日のフィールドプレーヤーの出来を見る限り、2大会ぶりの優勝へは不安が頭をよぎる。次は中2日で中国代表と同じ味の素スタジアムで対戦する。わずかな時間で、どこまで状態をあげられるかが、優勝できるか否かのキーポイントとなる。

 

(文/大木雄貴)