松坂大輔は中日入団が決まったものの、村田修一や久保康友、梵英心らの身分は宙に浮いたままである。

 

 プロ野球の世界で1980年4月2日から1981年4月1日までに生まれた選手たちを総称して「松坂世代」と呼ぶ。代表格の松坂にあやかったものだ。この世代にはスター選手が多く、いわゆる"当たり年"だった。

 

 しかし、加齢には勝てない。4月生まれの選手はシーズンが開幕すれば38歳になる。プロ野球選手にとっては、いよいよ晩年だ。多田野数人のようにコーチ兼任として独立リーグ(石川ミリオンスターズ)でプレーを続けている選手もいる。

 

 実は村田にも四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズから入団のオファーがあった。元カープの西田真二監督は「彼が来てくれれば独立リーグの若手にとって非常に勉強になる」と語っていた。結局、香川・村田は実現しなかったが、オファーに対し、村田は感謝の気持ちを伝えたという。

 

 松坂世代の大部分は既に引退している。コーチとして重要な役割を担っている者もいる。カープの東出輝裕は1軍打撃コーチとしてV2を支えた。

 

 松坂世代の結びつきは強く、東出がバッティングで悩んでいた若手を村田に紹介し、アドバイスを求めたこともある。

 

 そう遠くない将来、松坂世代から監督が生まれるだろう。そのためにも晩年の過ごし方は大切だ。若手たちはその背中を凝視している。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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