(写真:「日の丸を背負うことがどんなに名誉なことかを教えていきたい」と意気込むラモス氏<右から2番目>)

 日本サッカー協会は14日、ラモス瑠偉氏のビーチサッカー日本代表監督復帰会見を都内で開いた。ラモス氏率いるビーチサッカー日本代表は2019年3月に行われるアジア予選(開催地未定)を勝ち抜いて同年(開催地、時期未定)に行われるFIFAビーチサッカーW杯出場を目指す。

 

 ラモス氏は過去に同代表指揮官としてW杯の舞台を4度経験している。05年リオデジャネイロ大会で4位入賞、09年ドバイ大会でベスト8など好成績を残したビーチサッカー界の“名将”である。

 

 昨年4月下旬から5月上旬にかけてバハマで行われたW杯で日本代表は一次リーグ敗退の屈辱を味わった。そこで過去に結果を残したラモス氏の名前が浮上したのだ。

 

 不安があるとすればラモス氏の体調面だった。ラモス氏は16年末、脳梗塞により入院を余儀なくされた。記者から体調面を心配されると「悪かったら、ここ(会見場)にいないよ」と冗談を飛ばし、こう続けた。

 

「おかげ様で、昨年9月の最終検査も非常に良かった。年のためもう1回、12月25日に検査をした。順調すぎて、なんでこんなに回復したのかわからないくらい。問題は全くない。韓国、中国、沖縄と飛行機で行っていますし、全然大丈夫です」

 

 協会サイドから接触があったのは昨年9月。徐々に話し合いを進め、「本格的なオファーがあったのは10月から11月あたり」とラモス氏は振り返る。「ラモスが監督になったからW杯に行けるほど、アジア予選は甘くない」と自ら警鐘を鳴らす。他のアジア諸国は“日本だけには負けたくない”と必死になってくる。過去に結果の残した指揮官の復帰で他のアジアの国々に刺激を与えるのは間違いない。近年のアジア諸国のビーチサッカーの成長についてラモス氏はこう、口にした。

 

「イラン、UAE、バーレーンが強いのは毎日、ビーチサッカーの練習をやっている。それにヨーロッパの大会に参加している。日本は今、やっと、ビーチサッカーの人口が増えたけど(練習する)場所があまりないんですよね。そして寒い時期も長い。そういうところが私たちが遅れているところだと思います」

 

 今の代表の課題についても、新指揮官は厳しい表情で語った。

「今、A代表も同じことが言えるが、粘りやファイトあふれるプレーが足りない。私たちの時代より、ファイティングスピリットがどこかに行ってしまったのかなと疑問に思うこともある。私はビーチサッカーだろうが、フットサルだろうが、野球だろうが、日の丸は日の丸。もうちょっとみんなプライドを持ってプレーをしてほしいなと思います」

 

 会見ではサプライズ招集もほのめかした。09年ドバイ大会では現役を退いていた元サッカー日本代表の前園真聖をメンバーとして招集し、日本をベスト8に導いた。今回も似たような構想があるとのこと。「元Jリーガーも狙っていますし、(現役の)中村俊輔や遠藤保仁はどうかな」と、にやりと笑った。

 

 初陣は今年の夏を予定している。帰ってきたラモス氏の手腕とサプライズ招集にも、注目が集まる。

 

(文・写真/大木雄貴)